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No.792 石破首相、OTC類似薬の保険適用除外措置実行を表明 日医、医療機関の受診控えによる健康被害などを懸念し反対

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石破首相、OTC類似薬の保険適用除外措置実行を表明 日医、医療機関の受診控えによる健康被害などを懸念し反対」から読みとれるもの

・予算委員会で石破首相、OTC類似薬の保険適用除外2026年度に措置実行を表明

・維新の会、社会保険料を下げる改革案としてOTC類似薬の保険適用除外を提案

・骨太の方針2024,財政審建議でスイッチOTC化推進を明記

 

■OTC類似薬の保険適用除外で石破首相、2026年度に措置実行へ協議体

 公的医療保険の給付費抑制の焦点となっているOTC(Over The Counter:薬局やドラッグストアなどで処方箋なしで購入できる医薬品)類似薬の保険適用除外を巡り、国会、医療界で議論が高まっている。(※OTC類似薬は、OTC医薬品と効能効果やリスク等が似ていながら保険適用で処方箋が求められる医薬品)

 OTC類似薬の保険適用除外を巡っては日本維新の会が、2025年度予算案を巡る自民、公明と3党の政調会長会談の中で、社会保険料を下げる改革案の方策として提案し、協議が進め、「OTCを活用したセルフメディケーション」の推進で、約1兆円の医療費が削減され、現役世代の負担軽減につながると指摘。2026年度から実施が可能な「先行実施項目」として、“最速”での実現を求めている。社会保障改革を2025年度予算案に賛成する条件の一つとしており、自公に早期の決断を迫った。日本維新の会は2月4日自民、公明、維新の会との政策協議で、教育無償化に加えて2025年度予算案に賛成する条件として、現役世代の負担軽減を図るために①OTC類似薬の保険適用除外、②高齢者の窓口負担への金融資産考慮などにより、社会保険料を引き下げる改革案を提示すると伝えた。

 

 2025年度政府予算案を審議する2月17日の衆院予算委員会で石破茂首相は、前原誠司衆院議員(日本維新の会共同代表)の質問に対し、OTC類似薬の保険給付のあり方を含めた社会保障制度改革について「政党間協議が整えば、2026年度から具体的措置を実行するなど、社会保障改革の実現に向けた政党間の協議体を設けるよう、党に指示したい」と答弁した。前原議員は、「広範な議論を継続的に行っていくことが肝要。予算の賛否という目先の問題だけではなく、この問題について3党(自民・公明・維新)でハイレベルな協議体を設置して話し合いを行い、結論を出していくべきだ」として、石破首相の見解を質した。

 これに対して石破首相は、「問題意識は共有している」と表明。OTC類似薬の保険給付のあり方については、「OTC医薬品と効能効果が同等なOTC類似薬について患者さんにとって必要な医療へのアクセスに配慮しつつ、OTC医薬品との負担のバランスの観点から保険給付のあり方を見直す」などと具体的に説明。これに加えて、応能負担や、医療DXを通じた効率的で質の高い医療の実現などの項目を含めた社会保障改革による国民負担の軽減は「大事な課題」との認識を示した。

 

■受診控えを懸念する日本医師会、医薬品アクセスの観点から日本薬剤師会も反対

 OTC類似薬の保険適用除外の動きについて、日本医師会は2月13日の定例記者会見で、宮川政昭常任理事が社会保険料の削減を目的に、OTC類似薬の保険適用除外やOTC医薬品化を進めることに対し、「社会保険料の削減を目的にOTC類似薬の保険適用除外やOTC医薬品化を進めることは、重大な危険性が伴う」と反対を表明医療機関の受診控えによる健康被害に加え、現役世代を含めた経済的負担の増加につながると指摘、「政策として容認できるものではない」と強調した。

 また、日本薬剤師会の岩月進会長は2月18日の定例会見で、OTC類似薬の保険外しについて、「医薬品アクセスの改善に向けて、厚生労働省の検討会にも委員を出している。保険給付を打ち切ることを前提としてやっている議論ではない。賛成か反対かで言えば反対だ」との立場を表明。社会保険料を引き下げる方法論として、OTC類似薬をターゲットとしたことについて、「保険給付から外すことと医薬品アクセスの改善はやっていることが矛盾している。保険でも面倒を見るし、一般用医薬品としても使うことで医薬品アクセスの幅を広げる」などと批判した。

 

■骨太の方針2024、財政審建議でスイッチOTC化推進による薬剤自己負担見直しを明記

 OTC類似薬の保険適用除外については、2024年6月21日に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太方針の2024)で、「更なるスイッチOTC化の推進等によりセルフケア・セルフメディケーションを推進しつつ、薬剤自己負担の見直しについて引き続き検討を進める」ことが明記された。

 その後、財務省の財政制度等審議会が2024年11月29日、加藤財務大臣に提出した「令和7年度予算編成等に関する建議」の中で、保険給付の範囲の在り方の見直しとして、「セルフケア・セルフメディケーションの推進や、費用対効果評価の本格適用により「薬事承認されたが保険収載されていない医薬品」の範囲が拡大していくこと等と整合的な制度改正を検討する必要」が指摘され、セルフケア・セルフメディケーションの推進を支える改革の方向性として、①OTC医薬品の対象拡大、②OTC医薬品と同一の有効成分を含む医療用医薬品の保険給付範囲の在り方の見直し-が示された。(図2 保険給付範囲の在り方の見直し

 

保険給付範囲の在り方の見直し

 

 わが国における医薬品の分類は、①主に医師が処方する医療用医薬品、②薬局・薬店・ドラッグストアなどで処方せん無しに購入できる一般用医薬品等(要指導医薬品と一般用医薬品)に分類。一般用医薬品等はOTC医薬品とも呼ばれる(図3 我が国における医薬品の分類と販売方法について:2024年2月9日厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会資料より)。

 

我が国における医薬品の分類と販売方法について

 

 医療用医薬品から転用され医師の処方箋なしで購入できるスイッチOTC医薬品は、厚生労働省が指定する特定の成分・薬効のOTC医薬品が対象となるセルフメディケーション税制の対象品目で、①医療用医薬品と有効成分が同一、②副作用が少なく、比較的安全性の高い医薬品、③医療機関を受診せずに薬局で購入できる。

 財政制度等審議会の建議では、セルフメディケーションの推進(自助の観点)として、「セルフケア・セルフメディケーションは、国民自ら予防・健康意識の向上にもつながるものであることから、政府としても積極的に推進していく必要がある」と強調。診療や調剤に係る医療費を含めた合計の自己負担額でみても、OTC薬を購入した方が安くなるケースもあると事例(花粉症薬、漢方薬(感冒)、湿布薬、保湿剤)をあげ、改革の方向性として「国民の利便性向上に資する医薬品のスイッチOTC化を進め、薬局で自ら購入できる医薬品の選択肢を増やしていく必要がある」との考えを示した(図4 医療用医薬品を処方された場合とOTC薬を購入した場合の比較(2020年時点))。

 

図4 医療用医薬品を処方された場合とOTC薬を購入した場合の比較(2020年時点)

 

 


 

 度重なる寒波で、大雪による雪害報道も多かった印象を受けた2025年冬。日本全国春爛漫となるには、あと1か月くらいはかかるのだろうが、特にこの時期は朝夕と昼の寒暖差の激しさが顕著だ。

 だからずっと寒い真冬よりも体調を崩す方が多い。筆者はありがたいことに滅多に体調を崩すことがない。

 「効いたよね。早めのパ●ロン」

 「かかったかな?と思ったら…」

 何かのCMにあるように、そんな時には熱い風呂に入り、薬を飲んで厚着をして喉にタオルを巻いて寝ることにしている。たくさんの寝汗をかくことになるが、たいていの場合、翌朝には回復している、というのが相場だ(あくまで筆者の)。

 しかし、滅多に発熱しない人間が、たまに発症してしまうと、それはそれはひどい悪寒や、関節の痛み、体のだるさを感じる。とんでもなく体が重く、とにかくしんどい。

 なんてことになる。それでも1~2年に1度、あるかないか程度だ。

 とにかく早めの処方が一番だ。

 「処方」と言っても、生兵法的な経験則に基づく、たんに市販の感冒薬を飲む という行為をするだけだ。

 自分の症状に「感冒」とか「風邪症候群」とか、勝手な病名を思って薬を飲む。これまでの経験から、確率論としてほぼ間違いない結果が出ている。

 それでも最近の呼吸器系疾患は、インフルエンザやコロナウイルスによる呼吸器感染症など、少し厄介なものもあり、滅多にはないものの、できればへぼ医者(筆者)の見立てが間違っていてほしくはないのだが、本当にしんどい時は医療機関にかかるべきか悩んでしまうところだ。正直、本当にしんどい時には動く気すらおきないので、医療機関にかかるのだってかなりの億劫だ。

 結果、セルフメディケーションに失敗し、受診した結果処方された薬は、それでも抗菌剤が出ることなどはよほどのことであり、PL顆粒やロキソニン、整腸薬などの処方箋をもらい、だるい体を引きずりながら調剤薬局へ向かう。今やドラッグストアで比較的容易に手に入る薬だ。それでも保険診療後の処方箋により調剤薬局で購入する方が、薬剤費に関してだけは、確かに安く済むのは間違いない。

 しんどくはあったものの、処方薬を見て(抗菌剤が処方されていないので)、あまり重病でなかったので安心したとか、そんなメンタリティな部分で少し気が楽になる。

 仮に抗菌剤が処方されていたらいたで、少し神妙になってしまう。

 

 今回は、石破首相がOTC類似薬の保険適用除外措置を表明した というのがテーマである。

 コメントを紹介したい。

〇吉村維新の会代表:時として日本医師会とぶつかる時があれば、ぶつかっていかざるを得ない。そこを避けて社会保障改革はできない

 OTC類似薬の保険適用除外について日本医師会が反対していることに対して日本維新の会の吉村洋文代表は日本維新の会公式チャンネルで、「医療費の適切な支出を改革する上で日本医師会は反対することは明らかだと思う。時として日本医師会とぶつかる時があれば、ぶつかっていかざるを得ない。そこを避けて社会保障改革はできない」などとコメントした。

 

〇自民党セルフメディケーション推進議員連盟

 2023年5月に設立された自民党セルフメディケーション推進議員連盟(宮沢洋一会長)は、①セルフメディケーション税制の対象品目の拡大と、購入費から差し引く下限額(12,000円)の引き下げ、所得控除の上限額(88,000円)の引き上げを提案、②OTC医薬品(市販薬)の普及と拡大を図り、適正な薬の使用に関する教育システムの構築、③「自分の健康は自分で守る」という国民意識を醸成し、セルフメディケーションの重要性を広く周知する、④セルフメディケーションの推進により、医療費の削減を図り、国民皆保険制度の持続可能性を確保する-などの活動を通じてセルフメディケーションの普及と医療費削減を両立させるための取り組みを展開している。


 今月号のもう一つのテーマでも ひとりごと のコメントでご登場いただいた一松審議官ご所属の、財務省主管の財政審建議でも、こちらはスイッチOTC化推進が明記されている。セルフメディケーション税制については、後段で ひとりごち たい。

 

 次のコメントを。

〇医薬産業振興・医療情報審議官:2025年夏までにセルフメディケーション税制改正要望を取りまとめたい

 セルフメディケーションの日2024シンポジウムで「厚生労働省におけるセルフメディケーション推進の取り組み」について講演した厚労省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官の内山博之氏は、セルフメディケーション税制の適用期限が2026年12月末に迫っていることを踏まえ、2025年夏までに税制改正要望を取りまとめる必要があると強調。また、現行のセルフメディケーション税制が使いにくい点を指摘し、電子版お薬手帳や民間薬局アプリの活用を通じて、セルフメディケーションが進む機能改修や機能開発に期待感を示した。さらに、内山氏は、革新的な医薬品の創出とともに、薬剤費の適正化・効率化が求められていると述べ、セルフケアやセルフメディケーションの推進を一つの選択肢として進めていくべきだと述べた。


 現在、確定申告の時期である。スマホでもできるようになったこと、OCR的機能やワークシートファイルの取り込みも可能で、チャットボットによる問合せ体制など、とにかくe-Taxが浸透しつつあるのは間違いないのだろうが、筆者はセルフメディケーション税制は活用したことがない。

 まだ、家族が多いため医療費控除(年10万円以上)を選択している。

 一点、国税庁なのか協会健保にお伝えしたいのは、協会けんぽからマイナポータルと連携できる医療費使用の実績期間は、せめて1月スタートのものにしてほしい。確定申告の期間が1月から12月である以上、昨年データ掲載が間に合わなかったからと言って、(昨年の)10月以降のデータを入れられると、修正がとても面倒だ。結果、「マイナポータルの情報を取り込まない」を選択し、自ら事前に入力した医療費集計フォームのデータを取り込んだ方がよほど早く済む。是非ともご検討いただきたい。

 

 財政審メンバーのコメントを。

〇増田寛也財政審分科会長代理:保険外併用療養費制度を活用し、費用対効果が明らかでないものは民間保険に委ねることなどを検討すべき

 国民皆保険を維持していくため、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しなどを進めるとともに、保険外併用療養費制度を活用し、費用対効果が明らかでないものは民間保険に委ねることなどを検討していくべきである。セルフメディケーションで自ら健康に気をつかって治していくようなチャンスというか選択肢は、以前に比べて非常に増えてきたと思う。

 

〇自助の観点から、軽微な不調は自ら治すセルフメディケーションを推進

 我が国の国民一人当たり外来受診回数が多いこと、診療や調剤に係る医療費を含めた合計の自己負担額で見ると、通院するよりもOTC薬を購入したほうが安くなるケースもあることを踏まえ、自助の観点から、軽微な不調は自ら治すセルフメディケーションを推進していく必要がある。OTC医薬品の選択肢を拡大しつつ、それと整合的な保険給付範囲の在り方を検討する必要がある。


 つまり、この ひとりごと 冒頭に書いたように、筆者のセルフメディケーション行動は財政審としては推奨している行為のようだ。医師に成り代わり、自らの病名を考えるのは背徳感があるが、増え続ける医療費の伸びを抑制するために、多少のエラー(本当は重い症状なのに医療機関にも行くことなく、いつの間にか手遅れになってしまう)には目を瞑っておいた方が美徳な考え方のようだ。医療機関は社会的リソースだが、あまり負荷をかけると(お金もかかるし)良くないので、不用意にかかることを避けましょう、だ。このあたり、「上手な医療のかかり方」につながる考え方なのだろう。

 

 日本医師会のコメントだ。

〇小児では罹患後の症状の変化が急激な場合がある

 OTC類似薬の保険適用除外に反対を表明した日本医師会。定例記者会見で小児科医である日医副会長の釜萢敏氏は、「小児では罹患後の症状の変化が急激な場合もあり、なるべく医療機関への受診のハードルを下げることが重要という点でも、非常に懸念される事態である」とコメントした。


 少しくらい熱があるくらいで医療機関に連れて行くのはやめておこう、その考え方こそ求められているのが現代なのかと思えば、これもまた、もっともなご意見で、自分ではなく、子どもについてはどんな病気に突然かかっているか分からないし、いったいどうしたものか。

 この冬、滅多に体調を崩さなかった次男が、相当しんどそうで熱も38℃以上だったので、休日診療所に連れて行ったのだが、結局、コロナ陰性、インフル陰性だが、抗生剤の処方で様子を見るという結果だったが、市役所裏の集会スペースに臨時で設営された休日救急。驚いたことに処方箋は手書き(これはある程度予想していたが)、何と医療費の一部負担金まで手計算であった。診療報酬明細書も手書きだ。

 当方の支払いは何も考えずとも小児医療証の提出で200円で済むことが分かっていたのだが、その時受診していたのは我が子だけだったにも拘らず、診療後の会計待ちと処方待ち(分封と薬袋印刷など)に、ものすごく手間と時間をかけていただいたことに感謝だ。但し、印刷機のずれによるものなのか、薬袋に記載の字はほとんど読み取ることができなかった…。

 それくらい、通常時間帯に社会保障的インフラを利用することは、気軽にやってはいけないのだなということも感じた。休日は病気にもお休みいただいておくことはできないものか。

 

 日本薬剤師会のコメントだ。

〇日薬会長:医薬品アクセスの観点から反対を主張

 日本薬剤師会の岩月進会長は2月18日の定例記者会見で、OTC類似薬の保険外しについて、「今回は唐突に出てきた感がある」と述べ、保険給付除外とすることは「医薬品アクセスの改善をやっていることと矛盾している。保険でも面倒を見るし、一般用医薬品としても使うことで医薬品アクセスの幅を広げる。今までの仕組みを壊すことになる」との考えを示し、医薬品アクセスの観点から反対を主張した


 高額療養費制度の問題と同様に、こちらも「唐突感」が指摘されている。

 「薬局で買うと高いので、処方箋を出してもらって薬を入手する方が安い。」

 つまり、この考え方がけしからん、患者側のモラルの問題だからこその動きだと考える方が自然か。

 「上手な医療のかかり方」を。

 

 医師のコメントだ。

〇風邪薬や湿布は、公的医療保険の対象から外されても仕方がない

 勤務医。風邪薬や湿布に関しては真っ先に公的医療保険の対象から外されても仕方がない。

 

〇自己判断からの受診控えにより症状増悪に心配

 開業医。外用薬であれば必要最低限の処方枚数にするなど急性疾患患者への配慮はした方が良いと思う。自己判断からの受診控えにより症状増悪等につながらないか心配。

 

〇OTC類似薬を医療機関で自費販売すれば患者の安全性が確保

 OTC類似薬を公的医療保険の対象から外し、医療機関で自費販売すれば患者の安全性が確保されかつ医療保険の低減に繋がるのではないか。


 医療機関が薬価差益を確保しすぎたことへのある意味、罰則とも思えるような院外処方が推進された結果、とにかく、患者の利便性向上というよりも、医療機関の権益外しの要素が強かった「医薬分業」、調剤薬局の件数増加。

 「異世界薬局」や「薬屋のひとりごと(こちらは見たことがないが)」を見たからだろうか。医師にすらお目にかかることが難しい庶民にとって、薬剤師の存在がそれを補完することができる、という考え方に、そう違和感を覚えない。

 セルフメディケーションの増進は、件数が増加した調剤薬局の薬剤師に活躍の場を提供しようとする、いわば医師から薬剤師へのタスクシフトの一環考えることもできる。先ほどの医師の懸念は、薬剤師の活躍で案外事足りるのかもしれない

 

 今度は薬剤師のコメントだ。

〇生活改善意思のない患者への睡眠薬の過剰処方も制限した方がよい

 美容目的と思われる保湿剤やビタミン剤、生活改善意思のない患者への睡眠薬の過剰処方も制限した方がよい。

 

〇病院や薬局の経営基盤を大きく揺るがす恐れ

 風邪薬や湿布は日常の汎用薬なので保険から外されると病院や薬局の経営基盤を大きく揺るがす恐れがある。


 「生活改善意思のない患者」か。

 そうですね。【図-3】医薬品の分類と販売規制・国民リテラシーの関係について に記載されている、「求められる国民のリテラシー」が問われるということなのだろう。

 「上手な医療のかかり方」だ。

我が国における医薬品の分類と販売方法について

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

〇スイッチOTC医薬品を購入できるECサイトを設置し、購入時に同サイトで使用 できるポイントを付与している事例

 健保組合加入者の健康につながる活動にポイントを付与し、貯めたポイントを健康にまつわるグッズなどと交換できるようにするポイントインセンティブプログラムは、セルフメディケーション促進につながる。ポイントの対象とする活動は、ウォーキングや禁煙などの生活習慣改善、健診の受診、予防接種、健康コラムの閲覧など多岐にわたる。さらに先進的な取り組みとして、加入者がスイッチOTC医薬品を購入できるECサイトを設置し、購入時に同サイトで使用できるポイントを付与している事例(三菱商事健康保険組合)もある。


 読者諸氏におかれては、どれだけの「ポイント」をお持ちだろうか。「生活改善意思のない」患者も、「ポイント付与」というインセンティブがあれば、生活改善の意思が生まれるかもしれない。「ふるさと納税」などは良い例だ。返礼品につられ、その利用者は拡大の一途だ。

 

 今度はこんなコメントを。

〇アカデミアとDXを通じてOTC医薬品活用を拡大

 日本OTC医薬品協会の杉本雅史会長(ロート製薬社長)は2024年5月の総会後の記者会見で、今後の中核的事業に位置付ける「OTC薬情報提供ポータルサイト」構築に加え、日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会との連携により、学術的見地からOTC薬のあり方を検討する学会設立を目指す活動へ着手したことをトピックスに、よりOTC薬の活用拡大とセルフメディケーション推進に向けた活動を進展させる構えを示した。

※日本OTC医薬品協会が運営する、おくすりを「学ぶ」「選ぶ」「使う」ために必要な情報が満載のポータルサイト「上手なセルフメディケーション」https://www.jsmi.jp/selfmedication/


 同協会のホームページ、「上手なセルフメディケーション」を拝見してみた7月24は「セルフメディケーションの日」で、その日を含む月曜日から日曜日までの1週間をセルフメディケーション週間と制定されているそうだ。良い勉強になった。

 

 最後に、患者からのこんなコメントを紹介して締めくくりとしたい。

〇花粉症のシーズンはOTCが頼り

 花粉症のシーズンは耳鼻科クリニックでは2時間以上も待つので、ドラッグストアで直ぐに買えるOTC医薬品は便利。

 

〇セルフメディケーション税制は、システムが煩雑で申告したことがない

 10万円の医療費控除に届かないが、市薬品の金額が1万2千円を超えると、その超えた額が所得控除されるセルフメディケーション税制。確定申告の添付書類として①セルフメディケーション税制の明細書、②保持増進及び疾病の予防への取組を行っていることを証明する書類が必要で申告したことがない。対象となる市販薬(スイッチOTC薬)は、購入した際の領収書やレシートにセルフメディケーション税制の対象であることが表示され(★や◆印で記載)。セルフメディケーション税制の対象とされるスイッチOTC薬(約1,700品目が対象)の詳細は厚生労働省ホームページに記載されている。とにかく煩雑で面倒だ。


 セルフメディケーションに適した症状(薬)は、確かにあるのだろうな。上手にセルフメディケーションを利用する というのは、必要なことなのかもしれない。

 セルフメディケーション税制。果たして1万2千円(~10万円)で、どれくらいの金額が還付されるのか。また、前段にあった、自民党セルフメディケーション推進議員連盟による

 ①セルフメディケーション税制の対象品目の拡大と、購入費から差し引く下限額(12,000円)の引き下げ

 は、利用できる範囲が拡大するのは間違いないのだろうが、仮に下限額12,000円が5,000円に下がったとして、確定申告自体は金額の多寡にかかわらず、一定の時間と労力は間違いなくかかるので、その労力に見合うだけのメリットある金額が還付されるとは、少し思えない(※1)。わざわざ還付を求める以上、せめて〇万円以上の金額の還付を期待してしまうのではないか?

 

 杉に代わってヒノキ花粉が心配なこれからの季節。涙目と鼻づまりに悩まされそうな予感。

時には「セルフメディケーション」を「上手に」活用して乗り切っていきたい。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)…

10万円近くもOTC医薬品を買おうとなると、例えば1,280円の風邪薬は、78箱も買わなければならない。ちょっと多いか。非現実的である。それこそ「オーバードーズ(過剰摂取)」になりかねない。いっぺんにとは思わないが、まとめて購入、となると薬局側が売ってくれない可能性もある。
「上手に買って税制活用」も、結構難しいのかもしれない。

<筆者>