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短信:新規高血圧患者の医療機関受診率

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新規高血圧患者の医療機関受診率

 

 厚生労働省が3年ごとに行っている「患者調査」の令和2年(2020)の調査によると、現在高血圧性疾患の治療を受けている総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は1,511万人超とされる。高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因である。もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されている。高血圧自体は、過去数十年で大きく減少したが、今なお20歳以上の国民のおよそ二人に一人は高血圧である。日本人の高血圧の最大の原因は食塩のとりすぎと言われている。また若年・中年の男性では、肥満、飲酒、運動不足も高血圧の原因として挙げられる。

 

 琉球大学大学院医学研究科 公衆衛生学・疫学講座の中村幸志教授らは、全国健康保険協会(協会けんぽ)沖縄支部から委託され、沖縄支部が所管する民間中小規模事業所およびその従業員(35~59歳)の2019年度の基礎登録、健康診断、診療情報明細書および事業所の健康管理体制などの調査結果を突合させたデータを解析した。健康診断において所見がある割合が高く、循環器系疾患の主要な危険因子である高血圧に注目し、データ解析を行ったところ、前年度の健康診断にて高血圧がなく、対象年度の健康診断にて新規に高血圧を見出された2,906人において、健康診断の翌1~6ヶ月の各月末までの医療機関受診率は翌1ヶ月末までで2.72%、翌2ヶ月末までで4.03%、翌6ヶ月末まででも7.50%であった。

 また県内の民間中小規模事業所のうち、健康管理担当者(保健医療系資格の有無を問わない)を有する事業所での新規高血圧者の健康診断の翌1ヶ月末までの医療機関受診率は2.97%、有しない事業所では2.00%であった。さらに受診控えがありうるごく軽度の高血圧を除外した収縮期/拡張期血圧≧150/95 mmHgという高血圧では、健康管理担当者を有する事業所での新規高血圧者の健康診断の翌1ヶ月末まで受診率は4.97%、有しない事業所では2.29%であった。

 高血圧は特段の症状が出ないことも多く、健康診断の結果が医療機関への受診を通じた治療行動に繋がっていないという課題が明らかとなった。一方で、人的資源が限られている中小規模事業所では、産業医や保健師などの有資格者に限定せずに健康管理担当者を配置することが健康診断から医療的管理への移行を促進させ得る事を示した。働き盛り世代の循環器系疾患予防のための課題および職域における改善策を示唆する成果といえる。

 

高血圧 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

職域健康診断における新規高血圧者の医療機関受診の実態~新規高血圧者の受診率は6ヶ月後でもわずか7.5%~ | 琉球大学