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No.785 オンライン診療を医療法に規定創設へ 検討を進め2025年通常国会提出を目指す
2024年12月16日
◇「オンライン診療を医療法に規定創設へ 検討を進め2025年通常国会提出を目指す」から読みとれるもの
・コロナ禍をきっかけに拡大傾向のオンライン診療、12500医療機関に
・医療法で「オンライン診療を行う医療機関」「特定オンライン診療受診施設」を明確化
・「医療法改正案」(医師偏在対策、新地域医療構想、医療DX推進など)の中に、「オンライン診療の法制化」規定も盛り込む
■拡大傾向にあるオンライン診療について医療法に総体的な規定
2020年初頭から猛威を振るった新型コロナウイルス感染症をきっかけに「オンライン診療」が拡大、「情報通信機器を用いた初診料等の届出医療機関数」は経時的に増加しており、2024年10月1日時点において 約12500医療機関に達した(図1 情報通信機器を用いた初診料等の届出医療機関数)。
ただし、通常の「医師と患者が相対して実施される診療」(対面診療)に比べ、「触診などが行えない、患者状態を画面越しに行わなければならないなど、医師が得られる患者の情報が少ない」、「医師・患者の本人確認が難しい」(なりすましが可能)といった課題があり、安全性・有効性を担保するために、保険診療・自由診療を問わず、オンライン診療を行う場合に 「オンライン診療の適切な実施に関する指針」を遵守することが求められる。
オンライン診療は、現在は厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に基づいて運用され、①情報通信機器を用いた診療を「遠隔診療」と定義していたものを、新たに「オンライン診療」と定義を変更。 ②医師-患者間で情報通信機器を通じて行う遠隔医療を「オンライン診療」「オンライン受診勧奨」「遠隔健康医療相談」に分類し、オンライン診療について、「最低限遵守する事項」と「推奨される事項」を示す。 ③この指針で「最低限遵守すべき事項」とされていることを守ってオンライン診療を行えば、対面診療を念頭に置いて無診察治療などを禁止している医師法20条に抵触しないとされてきた(図2 オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要)。
厚労省は10月30日開かれた社会保障審議会医療部会で、現在は指針(通知)を基に運用しているオンライン診療について医療法に総体的な規定を設ける方針を示した。 「オンライン診療を行う医療機関はその旨を、届け出る」「特定オンライン診療受診施設の設置者は届け出る」などの内容で、今後検討を進めて早ければ2025年の通常国会に提出予定の「医療法改正案」の中に、 「オンライン診療の法制化」規定も盛り込むことを目指す。
■医療法で「オンライン診療を行う医療機関」「特定オンライン診療受診施設」を明確化
オンライン診療は、「居宅等の生活の場にいる患者」が「医療機関にいる医師」から受ける形態を想定しているが、「患者と医療者が別々の場所にいる」形態は想定していない。 これを解釈(通知)によって「患者と医療者が別々の場所にいる形態のオンライン診療を可能にしている」。このため、政府の規制改革推進会議等からは、「こうした場所(形態)でのオンライン診療も認めるべき」などの要望が出ており、これらの要望について、 厚労省は1つ1つ安全性や必要性などを勘案して実施の適否を判断している。
さらに、オンライン診療が普及・浸透していくことを見据えて、厚労省は、「解釈(通知)によってオンライン適切な実施を図るには課題がある。オンライン診療の『法制上の位置づけ』を明確化し、『適切なオンライン診療』をさらに推進していく必要がある」と判断。 医療法の中に「医療法にオンライン診療の総体的な規定を設ける」検討を行い、法制上の位置づけを明確化することにした(図3 オンライン診療に関する総体的な規定の創設)。
(1)オンライン診療について、「情報通信機器を活用して、医師又は歯科医師が遠隔の地にある患者の状態を視覚及び聴覚により即時に認識した上で、当該患者に対し行う診断又は診療」と定義。 オンライン診療を行う医療機関は、その旨を都道府県へ届けることを義務づける。
(2)「特定オンライン診療受診施設」とは、「施設にいる患者に対してオンライン診療が行われ、当該施設の設置者が、医師・歯科医師に対し『業としてオンライン診療を行う場』として提供しているもの」と定義。 具体的にどのような形態・施設が該当するのかは、今後明らかにされる。「特定オンライン診療受診施設の届け出を行うことで、特定多数人の利用者にオンライン診療受診の機会を提供する」ことが可能となり、 より広範な場でオンライン診療を受ける環境が整う。一方で、「特定オンライン診療受診施設」には、①所在地の都道府県知事に対し、「特定オンライン診療受診施設」の設置を届け出る。 ②特定オンライン診療受診施設の設置者は「運営者」を置く。③特定オンライン診療受診施設でのオンライン診療の実施の責任は、「オンライン診療を行う病院/診療所の医師」が負う。④「オンライン診療を行う医療機関」の管理者(院長等)は、「特定オンライン診療受診施設」の運営者に対し、「オンライン診療基準への適合性の確認」を行う。⑤「特定オンライン診療受診施設」の運営者は、この確認に対し応答する義務を負う―ことが課される。
「適切にオンライン診療を拡大する、適切なオンライン診療実施をしやすくする」画期的な内容となることから、社保審医療部会の委員からは、厚労省の方針に異論・反論は出なかった。今後も医療部会で「オンライン診療の法制化」について議論を深め、2025年の通常国会に提出予定の「医療法改正案」(医師偏在対策、新地域医療構想、医療DX推進など)の中に、「オンライン診療の法制化」規定も盛り込むことが目指される。
「ブラックフライデーが怖い」
今夏公開後、ロングラン上映となった映画「ラストマイル」で出てきたフレーズだ。
大手ECサイトを持つ企業と、その物流センター機能、メディアマーケティング戦略を駆使して、とんでもない商流を起こすブラックフライデーだ。商品を購入し、届いて喜ぶ利用者やその家族と対照的に、そのバックヤード、当の物流センターや配送業者はてんてこ舞いだ
同作はそこで商品に関わる人々、センター職員一人ひとりの心情や(★)、物流に関わる事業者一人ひとりの心情が細かく描写され、ハッピーエンド(?)に向けて紡がれた映画であるが、大手EC企業(DAILY FAST社)の巨大さと、反面倉庫で機械的に働く人々の感情などどうでもよく、とにかく効率と高稼働、「カスタマーセントリック(顧客中心主義)」の前には物流のコストダウンはもちろん、何でも正当化されるというような企業姿勢の、ある種の恐ろしさ、その先で商品を待つ消費者、それぞれの立場の対比が印象的であった。映画の中では、顧客中心主義、というより「顧客絶対主義」的な意味合いで使われていたのかもしれない。
(★:
センター職員といっても、いわゆる正社員は数えるほどで、センターで働く殆どの、人格・いや名前すら気にもされない、システムの歯車としか見做されていない何百人ものパート社員との対比も描かれていたのだが、これは製作者にこの物流の仕組みを構築したことに対する、もしかすると畏敬と、同時にこちらの方が言いたいことなのだろう、生産性と効率性を追求した結果の企業の姿に対し、「本当にこれでいいんでしょうか?」、と訴える意図の方をこそ、少なくとも筆者には感じてしまった)
今回のテーマである「オンライン診療」。きっかけは通信技術等、技術力の向上と患者のニーズであったはずが、その割には慎重論が勝った上に、設定された点数も中途半端なことも手伝ってそこまで利用が進んでいなかったが、コロナ禍を契機として必然的に利用も増え、医療業界的にも社会的にもある程度認知されつつある。
コロナ禍より前にあったオンラインサービスももちろんあるのだろうが、それを契機として色々な「オンライン〇〇」が生み出されたのも記憶に新しい(か?)。いったい読者諸氏におかれては、どんなオンラインサービスをご経験されたことだろうか。
オンライン授業
オンライン英会話
オンライン会議
オンライン勤務(テレワーク)
オンライン入社式
オンライン飲み会
オンラインカラオケ
オンラインゲーム
オンライン診療
オンライン投薬
もしかしたら、新型コロナウイルス(COVID-19)による呼吸器系感染症が「5類相当」に位置づけされた後、消えてしまったものもあるかもしれないが、今でも世の中に定着している
「オンライン○○」も多い。コロナ禍が人類に課された試練だとすれば、
「災い転じて福となす」ではないのかもしれないが、
その試練を経て新たにビジネスが生まれた、或いは拡大したのは、人類にとってはまさに「禍」でしかなかったようにも思えるが、それでももしかすると、新たなビジネスが生まれたのはコロナ禍にも功罪あって、それはその「功」であったのかもしれない(※1)。
生物ではないし当然意思すらもないウイルスのはずが、(ないはずの)悪意をもってコロナ禍を起こしたわけではないのだろうから…。
コメントを紹介したい。
〇田村衆院議員:オンライン診療を原則解禁は、コロナ禍での緊急対応
初診を含めたオンライン診療を原則解禁に導いたのが、田村憲久・元厚生労働大臣である。田村氏は、2020年10月9日の閣議後会見で、オンライン診療について、「安全性と信頼性をベースに、初診を含めたオンライン診療を原則解禁する」との見解を示した。医療は対面診療が原則であるが、一定の条件の下で、オンライン診療が実施されていた。一定の条件は「オンライン診療の適切な実施に関する指針」で定め、ICTの発展・普及を踏まえ、定期的に見直すことになっている。一方、コロナ禍において、オンライン診療を特例的に緩和した。特例では、指針では認めていない初診からのオンライン診療を可能とした。田村氏は、この状況について、「当初は、コロナ禍で医療機関に行くことを非常に恐れる方々がいた。医療機関に行かないよりは、電話を含めて対応ができればよいと考えた」と述べ、ことを強調した。
「指針では認めていない初診からのオンライン診療」が「本来は望ましくないが、緊急事態であったがゆえの対応」を背景に、「田村憲久・元厚生労働大臣」によって「初診を含めたオンライン診療を原則解禁に導」びかれた。
このくらいの緊急事態でなければ、通常、規制緩和というのは起こり得ない、ということもできる。
次はこんなコメントを。
〇感染症法に基づく発生届方法は『FAXですか?!』
厚労省医務技監で、内閣感染症危機管理対策官の迫井正深氏は2023年10月14日、広島市で開催された第64回全日本病院学会の特別講演「新型コロナパンデミックから学ぶこと」で、コロナパンデミックで医療体制が直面した様々な課題として医療DXに触れ、「医療におけるDXが全く進んでいなかったことに、私達は散々責められ怒られた。オンライン診療が普及していなかったのはご案内の通りであり、極めつけは感染症法に基づく発生届方法について『FAXですか?!』と言われたことだ」と、アナログな発生届方法に驚きの反応を受けたエピソードを明らかにした。
〇森光医政局長:オンライン診療の積極的な活用整備は難しい。効率的な在宅医療を提供できる体制
青森市で85歳以上の高齢者が増加する将来の医療体制について講演した厚生労働省の森光敬子医政局長は、現在の医療体制は入院治療を中心として医療や介護施設が連携してきたが、85歳以上の人口が増加する2040年に向けては、訪問診療の需要が急激に高まるため、一層の在宅医療が必要と指摘。「オンライン診療の積極的な活用は、なかなか整備は難しい。効率的な在宅医療を提供できる体制を作っていきましょう」と呼びかけた。
FAXか。いまだ通信手段として利便性が評価されている故か、このデジタル時代にも根強く生き残っている。迫井医務技監が散々責められたのは、いったいどなたからなのだろう
官邸?経済界?メディア?
DX化を怠って(?)きたとされる届け出体制だが、それぞれの医療機関がデジタル化を怠ったのか、それとも情報を収集するための厚労省の出先機関である保健所がデジタル化を推進しなかったからなのか、保健所を所管する厚労省が指示しなかったからなのか。
コロナ禍当時、長年の人員削減も相俟って、保健所の職員の疲弊が何度も報道され、応援にも似たエールが送られていたように記憶しているが、果たして現在、どうなっておられるのだろうか。その後人員体制は手厚くなったのだろうか。そして届け出体制はオンラインなどの方策が採られたのだろうか。
厚労省のホームページ 届け出基準及び届け出様式を拝見するに、様式はPDF、Word、Excelだ。PDFも存在するということは、いまだFAXによる届け出体制は健在ということなのだろう
当時技監を責め倒した存在は、この現状をお責めになられないのだろうか?「DX」などという言葉がこれだけ定着している昨今である。WordやExcel様式がある ということだけでも手書きの届け出は少なくとも減ったのかもしれないが、この体制がDX化した、などと到底呼べるものではないことは、厚労省もお分かりのはずだ。
しかし…
報道で言われているほど、現在、ありとあらゆる現場でDX化が図られている、とは言い難いなぁ。DX業界はさぞかし大忙しなのだろう。
続いては中医協委員のコメントだ。
〇支払側:医療DX推進体制整備加算、目的通りの成果が出なければ、早急に修正を
中医協の論議で松本真人健康保険組合連合会理事。オンライン資格確認に加えて電子処方箋の活用や電子カルテ情報の共有を促進するため新設された「医療DX推進体制整備加算」について、「新設加算には実績要件を設けてコストを補償するという一定の妥当性はあるものの、診療報酬によって医療機関の取り組みを誘導する側面が強い。医療の質の向上と効率化が両立できるよう、患者への影響を含めて実態を把握し、目的通りの成果が出なければ、早急に修正すべきである」と注文を付けた。
〇診療側:医療DXの基盤として大変重要なマイナ保険証
11月13日の中医協総会でマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行に向け、現行の健康保険証の新規発行が停止する12月2日以降の資格確認方法について、療養担当規則等の改正案を答申した。診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は「医療DXの基盤として大変重要なマイナ保険証の推進にしっかりと取り組んでまいりたい。国、保険者、医療機関など関係者全員が一致協力して、国民の理解を丁寧に得ながら、しっかり安心を抱いていただきながら推進する必要がある」と述べた。
今月12月2日より、マイナ保険証を基本とした仕組みに移行したわけだが、今もいろいろ言われ倒しているのだが、とにもかくにも、医療DXの基盤として大きな転換期を迎えたわけだ。
オンライン診療の話に戻ろう。
〇新浪民間議員のサントリーHD、社員家族(後期高齢者)が在宅でオンライン診療
経済財政諮問会議の民間議員の新浪剛史氏が社長を務めるサントリーホールディングスは、同社社員の家族(後期高齢者)が在宅でオンライン診療を受けられる施策を2018年10月から導入した。タブレット端末やアプリをダウンロードしたスマートフォン(スマホ)の画面を通じて医師や保健師とやり取りする。社員と離れて暮らす75歳以上の両親がかかりつけの医師から在宅で診療を受けられる。タブレット端末はサントリーHDが貸与する。新浪剛史社長は記者会見で、「当社では介護を理由に年約10人が退職する。不安に感じている人も多く、間違いなく生産性が落ちている。対策が必要だと認識した」と述べた。
さすがは経済財政諮問会議の民間議員が社長の企業である。福利厚生制度としては時代の最先端を走っている企業の一つに違いない。
サントリーのみならず、果たして今後、生産性が落ちていくのが間違いない企業は、いったいどれだけあるのだろう?いや当然、企業だけでなく、行政、社会全体も生産性が落ちていくのだろう。だからこそのDX化、省人化、自動化の動きである。
最近、主に小売業・接客業・飲食業等を中心に「カスハラ対策(カスタマーハラスメント)」が前面に押し出され、いかに顧客といえども、一定の礼節をわきまえましょう、という取り組みをしている企業が、好意的に受け止められつつ報道で採り上げられている(少なくとも筆者はそう感じた)。
「お客様は神様です」
を金科玉条として掲げられていた昭和の時代から数十年を経た現在、意味合いとしては「カスタマーセントリック」、顧客中心主義は、どちらかといえばそれに近い考え方であるだろう。少し行き過ぎた解釈になると、ともすればそれは「顧客絶対主義」に陥りかねない。経済成長とともに利便性がどんどん向上した長年の間に、
「顧客は絶対」、顧客側にそう勘違いしてしまう土壌ができてきてしまった結果なのかもしれない。
「カスハラ対策」、いわば働き手を守るという視点は、果たして今後両立し得るのだろうか。それとも共存可能なのだろうか。
もちろん後者であってほしいのだが…。
今度は病院経営層からのコメントだ。
〇緊急時に対応可能な近隣医療機関との連携体制の構築を
自由診療のオンライン診療で「全国の患者を対象にしている」ケースがあるが、患者状態の急変時に受け入れ可能な近隣医療機関との連携体制が構築されているのか疑問である。保険診療のみならず、自由診療もこの仕組みの対象とすべきである。
〇オンライン診療のサイバーセキュリティ対策コスト増が病院経営を圧迫
オンライン診療にはサイバーセキュリティ対策が欠かせないが、民間小規模医療機関ではコスト増になり、病院経営を圧迫する。2024年度診療報酬改定で「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」を踏まえ非常時に備えたサイバーセキュリティ対策等の整備を評価した「診療録管理体制加算1」が増点されたが(100点から140点)、施設基準が200床以上で専任の医療情報システム安全管理責任者を配置するなど中小民間病院にとっては到底対応できる点数ではない。
オンライン診療が今後も拡大していけば、確かに患者は場所を選ばず、医療圏を超えて診療を受けることができるのかもしれない。
一方で地域完結型医療も厚労省が求めている医療提供体制の在り方だ。先のコメントにあるように、オンライン診療提供医療機関が「連携体制の構築」も行いながら展開するという観点において、越境的なオンライン診療というのは、もしかしたらそれほど増えないのかもしれない。
ただ、オンライン投薬と軽度の初診患者によるオンライン診療と初診・投薬のみでほぼ完結 するようなケースの場合、もしその仕組みを構築できたとすればどうなるか?その時に問題が出るようであれば、それは当然その時に問題視されるのだろうな。
複数の医師のコメントだ。
〇医師・患者双方の負担軽減につながる大きなメリット
オンライン診療は、患者がなかなか仕事を休めないときは効力を発揮する。移動困難な患者の医療アクセスを改善、移動・診療時間短縮による医師・患者双方の負担軽減につながるなど、大きなメリットがあり推進すべきである。
〇コロナ禍の「良い」産物
オンラインならではの強みを生かした診療が進化したことがコロナ禍の「良い」産物。より良い使用法が定着するように希望する。
〇ある程度患者のインテリジェンスが必要
オンラインだとある程度落ち着いた患者は診られる反面、患者の訴えに依存するため、ある程度患者のインテリジェンスが必要。また、見落としの可能性も十分考えられるため、患者がそのことに納得した上での受診が必要。
〇多数の疾患がある高齢者は対面診療
多数の疾患がある高齢者は、オンライン診療は不向き。年に一度は本人が自覚しない何らかの異常が生じる。放置すると重症になる可能性があり、対面診療で実施すべき。
どの先生の意見もその通りですね。
患者の視点、医療版「カスタマーセントリック」の観点からも、「何でもダメ」ではなく、得手不得手、患者の特性を見極めた上で、オンライン診療を効果的に活用する。そういうことなのだろう。
この方のコメントも紹介したい。
〇受診歴のない患者をオンラインで診るのは難しい
コロナ収束後のオンライン診療のあり方について検討した2020年11月2日の厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、厚労省の初診も含めてオンライン診療を原則解禁する方針に対し、認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口育子氏は、「受診歴のない患者をオンラインで診るのは難しいため、初診については対象をある程度限定すべきではないか」と主張した。
4年前の氏のコメントは、原則として大いに理解できるところだ。そうありつつも、今後の議論で解釈は時代とともに変化しているのではないか。
システムベンダーからのコメントだ。
〇十分なセキュリティ対策を踏まえたオンライン診療システム構築にはお金がかかる
マイナンバーカードリーダーなどオンライン診療に関して国の施策に便乗してベンダーが「稼いでいる」との批判があるが、十分なセキュリティ対策を踏まえたオンライン診療システム構築にはお金がかかることを理解してほしい。
なるほど。「稼いでいる」か。そういう見方もあるかもしれない。
とにかく、IT化、DX化など、医療機関にとっては、決して馬鹿にできない金額がかかってしまう。それを、何でも行為と点数を結び付けられた上で成り立っている(と思ってしまっている)診療報酬の中だけで遣り繰りしなさい、というのはこれまでの流れから言って、その配分点数とかかる費用のアンバランス等、いささか無理があるのだろう。
その結果、別な話題となってしまうが医療機関のサイバーセキュリティ問題も生まれてしまうわけだ。
とにかく、医療機関は診療報酬によってのみ、経営を行わねばならない、というような考え方(提供側も患者側も)から一段超え、例えば寄付金の活用(と、もしかしたら税制優遇などの合わせ技)等、地域医療に住むものとして、地域医療を患者自らがどうやって守っていくことに貢献していくか、こんな視点も必要ではなかろうか。
せっかく新しい診療の在り方が医療法に規定される、医療における新たな第一歩でもあるのだ。医療版カスタマーセントリックから、医療サービス(介護サービスも含め)などの社会インフラ的リソースをお互いに守ろうとする視点、行き過ぎた「個」ばかりを中心に据えたままの成長に限界が見られてきた超少子高齢化の日本においては、「個」は大切にしつつも地域のことを中心に考える、地域(region)中心主義、「カスタマー&リージョンセントリック」のような考え方も語られるべき時代に突入したのかもしれない。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
(※1)…
コロナ禍中におそらく筆者は3回、参加した。オンライン飲み会、「Zoom飲み会」というやつである。今後また新興感染症が発生し、一時的にでも人が人とリアルで会えなくなる可能性もゼロとは言えないが、どうだろう、あの時も思ったが、Zoom飲み会は、また「やりたい」とは思わないかもしれないなぁ。一人飲みなのでペースが速いと酔いが回るのも早く、気を付けていればいたでシラフのまま。常に全員が同じ話題で話に花を咲かせ、常にその会話に耳を傾けている必要がある。でないと勝手に退出する人間が続出してしまうからだ。飲み会なのにファシリテーターの存在がなければ成立しないのは、いろいろ無理がある…。
<筆者>
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