~国際ルール~
「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉を信じて今年もあと数日、と待ち遠しくも暑さに耐えています。
今年の夏は白熊が大ヒット。私の応援する白熊は夏場所で十両優勝を飾り遂に今月から幕内入りする。
我が家では7月にクーラーが故障し、工事業者に入替えて貰うまでに3週間も待たされ久々に過酷な夏を経験しました。その甲斐あってか数件電気屋を回って価格交渉して一番安い日立の「白くまくん」をGETしたのだが、家内の話では日立はエアコン事業から撤退したので激安だったとか。
一方、欧州でも人気が高い様だ。もっともこちらは「白くまくん」という名前ではなく、メーカーの日立にスポットライトが当たっている。何せ日立が撤退するエアコン事業の買収にBoshが$80億(1兆2千億円)と、超高額で買収するらしいから鼻息が荒い。聞くところによると、地球温暖化による欧州の夏の異変が欧州人に与えた影響が尋常ではない。確かに、一昨年の欧州で熱波による死者が6万人以上も出たんだから他人事では済まされないステージに入ってきている。カーボンニュートラルに関しては真剣そのものだ。
エアコンといえば、EUには地場のエアコンメーカーがない為、ルール形成から参画した日本のダイキンがEUで成功を収めている。ここまで来るのに半世紀掛かったと言われているが、これからエアコンという新市場を巡り、自動車同様に激しい戦いが繰り広げられる事を考えると、得意の省エネ性能の高いヒートポンプ技術でルール形成から参画しているので中国の安値攻勢が有っても対抗出来るのではないかと、EU市場での各国の対決がこれから見ものだ。
エアコン事業では善戦しているが、最近はカーボンニュートラルはじめ、我々の仕事も生活も国際ルールに翻弄される様になってきた。日本も何とかビジネスリーダーになりたいと商品開発に熱心だが、開発した途端にEUが新ルールを作って疎外してくる。あのトヨタですら次々にルールを変更され欧州市場参入にてこずっている。ジャンプの高梨沙羅ちゃんに至っては、「昨日優勝したのに何で今日は同じジャンプスーツで失格なんだ!」と理不尽さすら覚える。
オリンピック然り、IFRS然り、何でもかんでも欧州は昔から国際ルールを作っては対抗馬を蹴落とすのが常套手段とするDNAが染みついている様に思われる。不思議なのは、殆どの「国際ルール」が欧州発になっている事である。様々な要因を調査すると17世紀のネーデルラント(現オランダ)で国際法の父と言われたグロチウスが著わした『戦争と平和の法」にまで辿り着き、かなり根深いものが有る事が解った。
ご多分に漏れず我々の取り扱う繊維もアパレルはパリ・ミラノ、寝装品はハノーバー、フランクフルトから毎年新デザインが発信されるので日本のデザイナーがこぞってネタ探しに欧州行脚するのが通例になっている。
こじつけかも知れないが、ウェスティンルホテルベッドコレクションで採用されたテンセルもイギリス、オーストリアでしか生産出来ない事から上手くアングロサクソンに してやられた という所かも知れない。
自分でも実際に感じるが、日本ではグリーン規制認識が十分に広まっていない。グリーン規制に対する厳しい法的措置が整っていない為、企業や消費者の意識が追い付いてない。ところが、この「なんちゃってグリーン規制」につけこむ形でグリーンウォッシング(偽りの環境配慮)やSDGsウォッシングとして日本企業が社会批判を浴びせられる場面が増えてきている。該当する対象にトレードオフの隠蔽や、誤ったラベリング等も含まれているので社員への認識徹底が必要となる。
遅まきながらホテル営業本部でも昨年より定番資材にグリーン規制を取り入れてきている。地味な活動ではあるが、真剣モードのインバウンドの目に留まる事でどれ程の反響が出てくるかが楽しみだ。企業にとって戦略を実行する手段の一つにルール形成があるが、ルール形成に参画出来ずとも今の時代ルールに関わらないリスクも計り知れない。業績向上だけでなく環境にどう貢献するか、グリーン規制も企業の盛衰を決める要素の一つになっている。