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No.775 「医師偏在是正、もはや待ったなし」、「骨太の方針2024」で「総合的な対策のパッケージ」策定を提言

2024年07月16日

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◇「「医師偏在是正、もはや待ったなし」、「骨太の方針2024」で「総合的な対策のパッケージ」策定を提言」から読みとれるもの

・2025年度からの3年間程度で、歳出改革を含めた制度改革を集中的に取り組む

・武見厚生労働大臣「医師偏在是正、もはや待ったなし」

・医師偏在是正、年末までに「総合的な対策のパッケージ」策定

 

■人口減少が本格化する2030年度までが変革のラストチャンス、「骨太の方針2024」

 政府は6月21日、人口減少が本格化する2030年度までが経済構造変革のラストチャンスとして「経済・財政新生計画」を盛り込んだ「経済財政運営と改革の基本方針2024(骨太の方針2024)」を閣議決定した。 「経済・財政新生計画」に基づき、「新たなステージを目指すための5つのビジョン」の実現を目指し2025年度からの3年間程度で、歳出改革を含めた制度改革を集中的に取り組む方針を掲げた(図1 5つのアクション・5つのビジョン)。

 

図1 5つのアクション・ビジョン

 

 5つのビジョンの1つが、「経済・財政・社会保障の持続可能性の確保」である。その中で、「人口減少が本格化する2030年代以降も、実質1%を安定的に上回る成長を確保する必要がある。その上で、更にそれよりも高い成長の実現を目指す。 このため、今動き始めているDX、GXを始めとする投資の拡大、欧米並みの生産性上昇率への引上げ、高齢者の労働参加率の上昇ペース継続や女性の正規化促進など、我が国の成長力を高める取組が必要である。 こうした経済においては、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現の下で、2040年頃に名目1000兆円程度の経済が視野に入る」とした上で。 「人口減少が本格化する2030年度までが、こうした経済構造への変革を起こすラストチャンスである」と強調した。 一方、「これまでと同様に医療・介護給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組む」ことも掲げた。「歳出の目安」に沿った予算編成を継続、歳出効率化に取り組む。

 

 2034年度以降、対GDP比が減少する「長期推計」のシナリオも描いた。 骨太の方針担当の新藤義孝経済再生担当大臣は、現状投影でなく、実質1%を上回る経済成長を確保すれば、医療・介護の保険料負担の上昇を抑制・減少することも可能であるとし、「高齢化が進むとともに、社会保障費が膨らんでいく。 歳出改革の努力はするが、それに加えて大きな病気にならない、自分で活躍できる方には、活躍してもらう機会を作る。そういう中で、予防医療や健康作りに全世代型で取り組んでいくことも、骨太の方針の中に今回初めて盛り込んだ」ことなどを説明した (図2 少子高齢化・人口減少の克服 豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会)。

 

図2 少子高齢化・人口減少の克服 豊かさと幸せを実感できる持続可能な経済社会

 

 「骨太の方針2024」では、概要と計15の主要項目に関する資料を提示。 15項目の1つが、医療・介護DXで、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行など政府が現在掲げる医療DXの方向性を提示、「データの活用により、国民一人一人に最適な医療を提供する」などを掲げた。 また、新たに「全世代型健康診断」を項目の1つに掲げ、 ①若年期から高齢期に至るまでの予防・健康づくりの推進(全世代型健康診断等によるプロアクティブケア推進/ウェアラブル端末などの活用による健康データの利活用/保険者と事業主の連携(コラボヘルス)の深化/若い時期からのプレコンセプションケア:男女ともに性や妊娠・出産に関する正しい知識を身に付け、健康管理を行うよう促すこと)、 ②健康寿命を延伸し、生涯活躍できる社会づくりを推進、あわせて、健康・医療分野の産業化(HX:ヘルスケア・トランスフォーメーション)を進める-ことを掲げた (図3 全世代型健康診断)。

 

図3 全世代型健康診断

 

 このほか、2025年度は薬価の中間年改定の年に当たるが、2025年度薬価改定に関しては、「イノベーションの推進、安定供給確保の必要性、物価上昇など取り巻く環境の変化を踏まえ、国民皆保険の持続可能性を考慮しながら、その在り方について検討する」と記載された。

 

■「骨太の方針2024」の注目点の1つ医師偏在是正、総合的な対策パッケージを2024年末までに策定

 「骨太の方針2024」の注目点の1つが、医師偏在是正である。 「医師の地域間、診療科間、病院・診療所間の偏在の是正を図るため、医師確保計画を深化させるとともに、医師養成過程での地域枠の活用、大学病院からの医師の派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施等の必要な人材を確保するための取組、 経済的インセンティブによる偏在是正、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策のパッケージを2024年末までに策定 する」、あわせて2026 年度の医学部定員の上限について、「2024年度の医学部定員を超えない範囲で設定するとともに、今後の医師の需給状況を踏まえつつ、2027年度以降の医学部定員の適正化の検討を速やかに行う」と明記した。「経済的インセンティブ」の詳細が今後の議論の大きな焦点となる。

 武見敬三厚生労働大臣は6月15日、都内で開かれた全日本病院協会の第12回定時総会で、来賓として挨拶、「国民皆保険は確実に崩れてきている」と危機感を示した上で、 医師偏在是正は「もはや待ったなし」と指摘医師の地域や診療科の偏在是正に取り組む必要性を強調した。 診療科偏在について武見大臣は、「外科医は減少している。医学・医療の進歩の中で、地域医療サービスを中心に担うプライマリケア・フィジシャン(かかりつけ医)も縮小してしまう」と懸念を示した。

 6月11日の経済財政諮問会議では、医師偏在問題について議論。地域や診療科だけではなく、病院と診療所の偏在是正も求め、経済的インセンティブなどと規制的手法を組み合わせた「総合的な対策のパッケージ」を2024年末までに策定することを決めた。

 5月の財務省財政制度等審議会は「春の建議」では、医師偏在指標について、東京都区中心部(港区等)789.8に対し東京都区島しょ(大島町等)131.6というデータを示し、「現状のままでは、大都市部において医師や診療所数が過剰となり、地方はそれらが過少となる傾向が続くことになる」と指摘。 「地域別診療報酬を活用したインセンティブ措置」「医師過剰地域における開業規制の導入」などを主張した(図4 診療所の偏在是正のための地域別単価の導入について)(図5 医師過剰地域における開業規制の導入について)。

 

図4 診療所の偏在是正のための地域別単価の導入について

 

図5 医師過剰地域における開業規制の導入について

 

 一方、骨太の方針2024では、「経済的インセンティブ」の具体的内容など踏み込んだ提案は盛り込まれず、今後の議論で詰めることになる。

 医師偏在対策について武見厚生労働大臣は、6月21日の閣議後記者会見で、2025年度予算概算要求のタイミングに合わせて今後のスケジュールや対策の骨格案を示す方針を示し、「年末までに具体的な取りまとめを行いたい」との考えを示した。

 

 

 


 

「待ったなし!!」

 

 大相撲○○場所の立ち合いでは、千秋楽以外は「18:00迄に終了する」という時間の制約上、中入り後であっても立ち合いは2度まで。3度目には

 「ハッケヨイ!!」

 となる(※1)。

 相撲における「待ったなし」とは、勝負をつける、白黒をつけるということに直結するわけだが、医師偏在問題については何の白黒をつけようとしているのか?いったいどのような結末を見せるのだろうか?

 

 今回のテーマは、「骨太の方針2024」において、長年の懸案事項となっていた医師偏在の是正に向けて総合的な対策パッケージ策定を提言する、政府の方針についてだ。

 人口減少が本格化する2030年度までが変革のラストチャンス、というわけだ。

 人間、お尻に火が付くと本気を出す、という考え方によるのだろうが、提言内容がどれだけドラスティックなものになるのか分からないが、合計特殊出生率が毎年予想を下回るという要素があったとしても、2030年の人口減少本格化など、とうに分かっていたことではないか。

 自主性を重んじるという、民主主義の錦の御旗が、「ほぼ強制」に見えるようなディスインセンティブとなるのか?はたまた相当メリハリの利いたインセンティブとなるのか。 いずれにしても国のスタンスは「強制」ではなく、あくまで選択肢を示し、どちらを選ぶかは個人の意思を尊重、などとなるのは想像に難くない

 

 コメントを紹介したい。

〇田村衆院議員:大学病院の医師派遣機能を確保しなければ、地域医療を守ることはできない

 医師の働き方改革に伴う大学病院改革に向けた支援として、文科省は2023年度補正予算で大学病院における医学生の教育研究環境の充実を図るため、最先端医療設備の整備を支援する「高度医療人材養成事業(大学病院の環境整備)」として140億円を確保。2024年度予算案でも、高度な臨床・研究能力を有する医師養成促進を支援する「高度医療人材養成拠点形成事業」として21億円を計上した。文科省から説明を受けた自民党の「医師養成の過程から医師偏在是正を求める議員連盟」の田村憲久会長は議連会議で大学病院の環境整備に文科省が予算を確保したことを評価し、「大学病院の環境整備を進めた上で、大学病院の医師派遣機能を確保しなければ、地域医療を守ることはできない」と強調した。


 医師の人事</strongについて、大学病院の医局、教授の影響力は非常に大きい。確かに大学病院は地域医療における最後の砦なのかもしれない。

 

 今度は経産省のコメントを。

〇2050年に累計77兆円市場の構築を目指す「健康・医療分野の産業化:HX」

 「骨太の方針2024」では、「全世代型健康診断」を掲げ、健康寿命を延伸し、生涯活躍できる社会づくりを推進。あわせて、健康・医療分野の産業化(HX:ヘルスケア・トランスフォーメーション)を進めることを示した。経産省は、PHR・健康経営等の施策を推進することで、健康づくり・公的保険外の介護領域で2050年に累計77兆円市場の構築を目指す(健康・医療分野の産業化:HX)。医療機器分野も世界市場の確保による拡大を目指す。 特に、医療DXや健康経営の進展により、関連業種における市場拡大や新たなサービス提供が見込まれる。


なんでも数値化して「○○兆円市場」を生み出す経産省のコメントは夢がある。これまで掲げてきた旗印は総括されたことがあるのだろうか。 社会保障給付費はこの金額に含まれていなさそうなので、考え方(特に介護分野)がいろいろあるので一概には言えないものの、医療福祉分野で現在約70兆円市場と言われているが(筆者の捉え方はそうである)、あと25年間でそれが倍になるというのだ。その通りに行けばなんと素晴らしいことか。日本の未来は明るいではないか。

 

 財務省のコメントを。

〇奈良県副知事時代に「地域別診療報酬」仕掛けた財務省官僚は、現在首相秘書官>

 都内で開かれた勉強会で講演した財務省主計局の一松 旬主計官(当時)は、「私共財政当局が取り組んでいるのは、増加の一途を辿る社会保障関係費や医療費の伸びを少しでも抑制する事であって、医療費を減少傾向に持って行く事や、医薬品市場の縮小ではない」と、あくまでも医療費適正化であると強調した。一松氏は、開成高校時代から秀才と呼ばれ、財務省内でも「10年に1人」と言われる逸材で、かつて奈良県副知事を務めた時代には「地域別診療報酬」の活用を企てたため、医療界では警戒されている。一松氏は2023年7月から、開成高校の先輩である岸田文雄首相の秘書官を務めている。


 一松主計官のお名前は、何度かWMNでも採り上げさせていただいたが、「10年に1人の」逸材とは…。いったいどんな頭の構造をしておられるのだろう。しかも「企てた」か。当時の一松副知事が、本当に地域医療別診療報酬を実現しようとしておられたかは、今となっては分からないが、少なくとも医療業界に大きな波紋を呼ぶ一石を投じたことは確かだ。いまだに語り草となっていることがその証左だろう。

 

 武見厚労相のコメントを。

〇私の父親(武見太郎元日医会長)の時代に築かれた国民皆保険制度基盤の崩壊を懸念

 6月15日の全日本病院協会の第12回定時総会の来賓挨拶で武見敬三厚生労働大臣は、「私の父親(元日本医師会会長の武見太郎氏)の時代に築かれた国民皆保険制度の基盤が確実に崩れてきている」「日進月歩の医学・医療の進歩が、デジタル化やデータサイエンスを通じてさらに加速化されており、保険医療制度の枠組みではもはや対応できない大変深刻な時代にある」などと昨今の医療情勢に危機感を示し、新しい財源をどう確保するかが重要な課題になっていると述べた。


 確かに。医療保険制度、医療提供体制、公的年金制度も含め、人口ボーナス期にあった昭和の後期、今の日本の姿を想像できた人は、(特に政治家に)いったいどれだけいたのだろう。仮に学識者が予想していたとしても、それが表に出てきていなかったり、マスコミにも採り上げられていなかったならば、それは後の祭りに過ぎない。

 因みに、筆者が高校卒業前に、周囲の勧めもあり普通自動車免許を取得するため自動車学校に通っていた頃、仮免許を取得後緊張感丸出しで仮免運転走行中(今から30年以上も前のこと)、

「あなたはこれからも科学技術は進歩していくと思いますか?」との教官の問い。

当たろうが外れようが、見極め(授業の及第点的な表現:自動車学校独特の言い回し)に何の関係もない質問だ。当時は確か平成元年(昭和64年)だったが、教官としては公害問題の背景ともなってしまいかねない、行き過ぎた科学技術偏重の世の中に警鐘を鳴らしたかったのかもしれない。

 しかし筆者は

「これからも科学技術は進歩・発展していくと思います」

などと、左折しながらトップギアをセカンドギアに戻し、クラッチをつなぎながら答えた気がする。

ほっとしたのも束の間。

「はい、下り坂でクラッチをつなぐとき、アクセル踏んで加速しないほうがいいですね~」

「はいっ」

…今となっては運転しながらの会話などおそらく造作もないことなのだが、当時緊張の極みの中で回答した、これに関してだけは、筆者の予想は当たっていた。何の根拠もなかったが。まあ、殆どの人がこう答えていたのではないかとも思うが。

 

 いよいよ、今回のテーマである医師偏在についてのコメントを紹介したい。

〇伊原元医政局長:医師偏在対策とか、地域医療の確保をトータルに考えて進めていく

 2024年7月の人事異動で厚生労働事務次官に就任した伊原和人氏は、医政局長時代の2022年2月の衆院予算委員会第5分科会で働き方改革の進め方が地域医療に大きな影響を与える可能性があるとの認識を示し、「医師偏在対策とか、地域医療の確保といったことをトータルに考えて進めていく必要がある」と述べた。


 本年4月より、医師の働き方改革もいよいよスタートした。すぐに上手くいくとは少なくとも筆者には思えない。伊原局長におかれてもそうなのかもしれない。しかし、まずはゴールを設定しないと、人間そこを目指すことはない。

 二の矢、三の矢も用意されているのかもしれない。

 この難局にご就任なさった伊原局長の手腕に期待したい。

ところで、今の時代、左団扇(ひだりうちわ)のような業界って、果たしてあるのだろうか?

 

 各病院団体のコメントだ。

〇全日病会長:医師不足地域への医師派遣などを決める都道府県地域医療対策協議会の全国版設置を提案

 猪口雄二全日本病院協会長は5月22日開かれた四病院団体協議会で、厚労省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」では、強力な医師偏在対策が打ち出せず、医学部臨時定員数を動かせない状況にあると指摘。「地域枠を設定して一定期間医師不足地域の勤務を義務付けてもそれが終了すれば都会に移ってしまう。医師養成課程の偏在対策とともに、中堅医師に対する対策が重要である」と述べた。その手段として猪口会長は、医師不足地域への医師派遣などを決める都道府県の地域医療対策協議会の全国版を厚労省に設置することを提案した。

 

〇全自病新会長:地域医療支援病院管理者要件の医師不足地域勤務義務を全医療機関に拡大を

 6月13日の全国自治体病院協議会総会で、新会長に選出された望月泉氏(岩手県・八幡平市病院事業管理者兼八幡平市立病院統括院長)は、会長所信として「地域に必要な、地域になくてはならない自治体病院になる」と表明。医師の偏在対策では、地域医療支援病院の管理者要件に医師不足地域勤務が義務づけられているが、「全ての医療機関に拡大することを考えてほしい」との見解を示した。

 

〇日病会長:二次医療圏の抜本的見直しを

 相澤孝夫日本病院会長は6月18日の定例記者会見で、二次医療圏そのものが、設定時と比べて交通の状況・人口の状況・医療提供体制の状況は大きく変化していること、圏域内の市町村が話し合って設定したものではないこと、などを考慮すれば「二次医療圏の設定」そのものを抜本的に見直す必要があると指摘した。


 どうやったら、医師不足(当然いろんな症例やもろもろのリソースも不足している)の地域に、自ら喜んで行く医師を確保すればよいのか。インセンティブのような、半ば義務のような、なんとももどかしい施策しかできていないなぁ、と感じるのは筆者だけだろうか?

 

 医師のコメントだ。

〇勤務医師の給与に診療科による差をつけるべき

 勤務医。診療所の新規開業だけでなく、病院勤務医師の給与に診療科による差をつけるべき。診療科によって忙しいのに稼げない。暇なのに稼げるという病院給与の異常を修正すべき。

 

〇勤務医にも地域ごとの定員を

 開業医。医師の偏在是正に一定の役割を果たしてきた医局や医師会が機能しなくなっているためだ。医師の偏在は診療所に限った話ではないので、病院の勤務医も地域ごとに定員を設けて調整されることが望ましい。

 

〇勤務医が開業に逃げなくていいように勤務医の給料・待遇を上げるべき

 開業医。開業医が増えると不必要な需要を掘り起こし医療費が増大する。病院勤務医が足りず医師一人当たりの負担が大きいのに対し、開業医が少なくて困るという話は聞かない。勤務医が開業に逃げなくていいように勤務医の給料・待遇を上げるべき。

 

〇都道府県の医療政策として医療提供体制を集約する以外に合理的な道はない

 勤務医。地方自治体が人口あたりで必要な開業医数を算定し開業申請があれば審査し許可する制度とすべき。勤務医も同様で、総合病院自体を集約化して、都道府県が診療科ごとに必要医師数を算定し求人募集するべき。都道府県の医療政策として集約する以外に合理的な道はない。


 どの意見もごもっとも。

 筆者は大学卒業時に教員免許を取得した(社会科 中学・高校一種、国語科 中学校二種)。小学六年生の時の担任だった先生に憧れて、一時は教師を目指そうとした筆者であったが、結局教壇に立つことができたのは母校での教育実習の時だけだ。

 今も筆者の教員免許が有効なのかは判然としないが、私学はともかく、公立学校の教師になるためには、教員免許があることは勿論のこと、希望の地で教壇に立つためには、その地域の教員採用試験で上位の成績を修める必要がある。でないと教壇に立つ夢は叶わないし、成績如何によっては代替教員になることだって覚束ない。

 やはり学力がモノをいうのだ。

 翻って医師はどうか?

すでに医学部という最高学府を卒業されているので学力については申し分ない。ことと思うが、我が国の医療保険制度の三大特徴の一つ、「自由開業制」によって開業する地を選択する権利が医師には認められているのだ。

 民主主義を標榜して止まない我が国にとって、医師偏在問題の、まさにネックとなっている部分だ。

 それでも先述の医師のコメントは、医師偏在問題への処方箋としては、結構的を得た内容ではないか。そう思える。

 医師のそれより、教員の働き方改革の方が、実は根深いのかもしれないし、もはや教員は不足している世の中になっているのかもしれないが何らかのゲートキーパー的機能は必要なのだろう、ということは、おそらく医師会も十分に理解されているに違いない。

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

〇医療圏の在り方、新たな地域医療構想に影響する「新たな地域生活圏の形成」

 「骨太の方針2024」では、持続可能な経済社会として、①文化的・自然的一体性や将来の人口動態等を踏まえた広域的な都市圏のコンパクト化を推進。②暮らしに必要なサービスを持続的に提供するため、広域・多分野・官民の連携による地域生活圏の構築・展開を推進。地域経済の循環に向け、自立した地域経営主体を育成する「新たな地域生活圏の形成」を示した。

 デジタル化の進展、在宅医療の需要の高まりなどもあり、日常生活の圏域の考え方、そして二次医療圏の考え方を変える必要がある。そこで、国土交通省からは二次医療圏の考え方も見直した人口10万人規模を一つの圏域とした新たな地域生活圏について提示してきた。「骨太の方針2024」では、この地域生活圏の形成に関して明記されている。今後、医療圏の在り方、2027年度からはじまる新たな地域医療構想にも影響があることだろう。自院のカバーする圏域、圏域内での連携関係など確認をしておきたい。


 なんとなく、だが、人口減少、少子高齢化、生産年齢人口の減少が叫ばれている我が国であるが、住む場所、働く場所、それも偏在せぬように統制することができれば、まだまだやりようは十分にあると思う。医師偏在問題の裏側で、実はそれも大きな問題なのだろうな。

 

 毛色の違う話題だが、本文中に「骨太の方針2024」において計15の主要項目の中に盛り込まれた「プレコンセプションケア」についてのコメントを紹介し、締めくくりとしたい。

〇プレコンセプションケア:将来の妊娠やカラダの変化に男女で備えるヘルスケア

 プレコンセプションケアは、ライフステージやライフプランに応じた健康づくりの考え方を表す言葉。プレ(pre)は「〜の前」、コンセプション(conception)は「受精・懐妊」を意味し、つまり「おなかに新しい命を授かる前のヘルスケア」を意味する。現在のカラダの状態を知り、生活習慣の見直しや、将来の妊娠・出産や子育て、さらには年齢とともに訪れるカラダの変化などに備えて正しい知識を身につけ、自分自身と家族、そして将来生まれてくる赤ちゃんの健康に役立てるための考え方である。ライフプランを早い段階から意識していくためにも、思春期以降の若い世代の男女を中心に推奨されている。

 

〇「やせすぎ」で日本では約10人に1人が低出生体重児、プレコン実践が必要

 なぜプレコセプションケアが必要なのか。低出生体重児の割合が1970年代に比べて増加傾向にある。の要因として、栄養不足による「やせすぎ」や、妊娠中の体重増加不足がみられる女性が増えていることが考えられる。厚労省の国民健康・栄養調査によると、現在20代女性の約5人に1人が「やせすぎ」と報告されている。やせすぎの女性が妊娠した場合、低体重児の出産につながりやすいとされ、日本では約10人に1人の赤ちゃんが低出生体重児として生まれている。プレコンセプションケア(プレコン)を実践することで、生まれてくる赤ちゃんの健康リスクを減らすことができる可能性がある。

 

〇国立成育医療研究センターの「プレコン・チェックシート」

 国立成育医療研究センターが作成している「プレコン・チェックシート」では、男女の健康チェックができる。

 https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/pcc_check-list.html


 恥ずかしながら筆者は プレコンセプション という言葉を今回のテーマの中で採り上げたことで初めて知った。読者諸氏におかれても、是非プレコン・チェックシートをご確認いただきたい。もっとも、成人が読めば当たり前のように思える内容ばかりだが、未成年にとっては、意識すべき項目出しが 見える化 されているので参考になることだろう。

 大泉 洋主演の「新解釈・三国志」(2020年 監督 福田雄一)では、中国の四大美女と謳われている 貂蝉(ちょうせん) という悲劇のヒロインが登場する。当時の中国における「美人」の概念は、現代とこんなにも違うのか、ということを分かり易い表現で 渡辺直美 と 広瀬すず が演じていた(どちらがどうなのかは読者諸氏のご想像にお任せする)。

 時代が現代に近づくにつれ、「痩せる」ということが美的意識につながってきたのだろうな。

 18才~29才の一日当たりエネルギー必要量はその人の運動量にもよるが男性で2,300kcal~3,050 kcal、女性で1,700kcal~2,300 kcalだという。

 戦後間もない頃1,700kcalを若干下回っていた日本人の摂取カロリーよりも、「痩せすぎ」と呼ばれる現代の女性は一日当たり摂取カロリーが低いのだそうだ。 しかも8人に1人はそうらしい。

 なんとも言えないが、時代の揺り戻しで人間の美的感覚が変化してゆけば、もしかしたら少子化問題にも何らかの好影響があるかもしれない。

 ただ、合計特殊出生率向上を日本がまだ目論んでいるとするならば、その頃にはもう、「時すでに遅し」かもしれないが…。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※1)…野球観戦などとは違い、相撲はほぼ時間通りに終わってくれるので、その後の食事の予約時間に遅れるなどということを気にしなくてよい。まさに「ごっちゃん」な感じがする。武道でもあるが、「ジャパニーズエンターテインメント」なのかもしれない。

<筆者>

 

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