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No.769 出生数の減少が止まらない 2023年出生数、80万人を割り過去最少の75.8万人
2024年04月15日
◇「出生数の減少が止まらない 2023年出生数、80万人を割り過去最少の75.8万人」から読みとれるもの
・1899年の統計開始以来、初めて80万人割れ
・従来の想定を上回るスピードで少子化が進行
・日本以上に深刻な韓国の2023年出生率は0.72と、世界最低水準
■出生数、1899年の統計開始以来、初めて80万人割れ
日本の出生数の減少が止まらない。厚労省は2024年2月、2023年の人口動態統計速報(2023年12月分)を取りまとめ、公表した。①出生数は前年よりも 5.1%少ない75万8631人で、過去最少だった2022年からさらに4万1097人減少し、1899年の統計開始以来、初めて80万人台を割り込んだ。②一方、死亡数は159万503人で3年連続増加し、死亡数から出生数を引いた人口の自然増減数は83万1872人と、過去最大の減少となった(図1 人口動態統計速報(令和5年12月分))。
国立社会保障・人口問題研究所が2017年に公表した将来推計人口(平成29年推計)では、外国人を含む出生数が80万人を下回るのは2033年と見込んでいた。その後、2023年4月に公表された「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では「日本人の出生数は2020年に84万件、死亡数は137万件。出生数は2038年に70万件を下回り、死亡数は2040年に167万件でピークを迎える」との推計を示した(図2 将来人口年表(出生中位(死亡中位)推計))。
岸田文雄首相は「異次元の少子化対策」を打ち出したが、今回公表された2023年の人口動態統計速報(2023年12月分)により、従来の想定を上回るスピードで少子化が進んでいることが明らかになった(図3 日本の人口の推移)。
未婚・晩婚化が進む中、2023年の婚姻数は48万9281組で戦後初めて50万組を割り、前年から3万組以上減少した。新型コロナウイルスの感染拡大や物価上昇などに伴い、妊娠を控える傾向が進み、さらに出生数減少に拍車がかかったとみられる。
■韓国の2023年出生率は0.72と、世界最低水準
日本以上に出生数減少が深刻なのが韓国。韓国統計庁は2月28日、女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す合計特殊出生率が2023年は0.72だったと発表した。既に世界最低水準だった2022年の0.78をさらに下回り、出生率が8年連続減少で前年割れとなった。出生率低下の背景には、住宅価格の高騰や雇用不安などによる未婚・晩婚化などが要因とされる。韓国政府は2006年から2021年にかけて出産・育児支援などに計約280兆ウォンもの巨額予算を投じてきたが、少子化に歯止めがかからない。
出生率「1」を下回るのは経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では韓国だけで、日本の出生率1.26(2022年)と比べても著しく低い。韓国で2023年の出生数は前年比7.7%減の約23万人で、8年間でほぼ半減した(図4 韓国の出生児数と合計特殊出生率の推移)。
消齢化
という言葉を目にされたことはおありだろうか。
読んで字のごとく、と思えるかどうかは分からないが、マーケティングの際の切り分けの基準となる年代差、10代、20代…60代、90代といった年代によって、これまでは異なっていた嗜好や倫理観に、あまり差が見られなくなってしまったというのである。
例えば、
ハンバーグが好き?
という問いに対し、20年ほど前は2割くらいしか好きと言っていなかった60代が、今や20代の「好き」と殆ど変わらない割合で「好き」と考えているとか、
20年前は、
生涯離婚をすることはあり得ない、
と考えていた60代が、今や、20代が考えている割合に近しいくらい、離婚に対して鷹揚であるとか、
そんな世代間の考え方が、年齢というものを切り口にして考えるという、従来のマーケティングの手法では有意差を見つけることが出来にくい現象が起こっており、それが「消齢化」と表現されているのだそうだ。
もちろん、ありとあらゆることが消齢化しているのでもなく、
これも例えば、50代、60代の世代は朝食時にTVを観たり、また、新聞を読む時は紙を好む傾向があるようだが、対して20代は、TVも見なければ新聞も読まないのだそうだ(情報入手のリソースがそもそもTVでも新聞でもなくネット:スマホ なので)。
また、電車の待ち時間にイライラするのが50代、60代だそうで、20代はその待ち時間を「待つ時間」と考えないのでイライラもしないのだそうだ。何故かといえば、その時間にスマホを使用し、情報収集の時間に充てるので、むしろ時間が生まれて良かった、と考えるのだそうだ。だからイライラもしない。
そもそもITリテラシーに関する世代間格差が甚だしいので、それを背景とする内容に消齢化現象は起こっていないのだそうだ。もっとも、あと20年もすればそれすら消齢化現象が起こることだろう(※1)。
消齢化は少子高齢化がもたらした現象というわけでなく、おそらく情報化社会と科学技術や医療技術が発達した結果、高齢者の、高齢を理由とした行動制限がかなりなくなってきたことに起因しているのだろう。
一方で異次元の少子化対策を看板政策とした現政権の思いとは裏腹に、少子高齢化社会が「超」少子高齢化社会に向かって進むのを助長するかのごとく、出生率の減少が止まらない、というのが由々しき今回のテーマである。
コメントを紹介したい
〇野田聖子衆院議員:人口減少、安全保障にも影響
少子化対策担当大臣を務めた野田聖子衆院議員は大臣記者会見で、少子化が止まらない日本の現状について、「最大の国難。安全保障の担い手である警察や 消防、自衛官が人口減少の影響をもろに受けている」と述べ、人口減が日本の安全保障に不備を生みかねないと危機感を示した。
終戦後、世界が目を見張るような復興と経済成長を遂げた日本。人口ボーナス期が終わり、現在は人口オーナス期を迎えている。終戦後、残された日本人、我々の諸先輩方はどんな気持ちで頑張って下さったのだろうか?現在の日本のおかれている現状など、想像もできなかったのではないだろうか。
ロシアとウクライナの情勢をはじめ、不穏な世界情勢を思うにつけ、戦争のような有事があってはならないのは自明の理だ。
終戦後の日本人が感じた危機感、復興に向けた気概、そのような感情が、それでは現在の日本人に果たして湧くか、といえば、それは決してそうではないだろう。
住む場所を決める自由、働き方を決める自由、今日どんなものを食べようかを選択する自由…、自由には責任がつきまとうが、民主主義とはその「自由」こそが旗印であり、民主主義政治の下、日本人がいろいろなことを選択してきた延長線上に現在があり、(方向は確定しないが)その先に未来がある。
今度はこんなコメントを。
〇厚生労働大臣:若年人口が急激に減少する2030年代までが、少子化反転のラストチャンス
3月1日の厚生労働大臣記者会見で武見大臣は、「若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6年程度が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めている。厚労省としては、昨年末に取りまとめられたこども未来戦略に基づき、共働き・共育てを推進することとしている。具体的には、子ども子育て支援法等改正法案の中で雇用保険法や国民年金法を改正し、両親がともに育児休業を取得することを促進するための、最大28日間の育児休業給付率の手取り10割相当への引上げ、そして2歳未満の子を養育するための、時短勤務をしている場合に時短勤務時の賃金の10%を支給する育児時短就業給付の創設、国民年金第1号被保険者についての、その子が1歳になるまでの期間の国民年金保険料免除措置の創設を行うこととしている。また育児期に出社や退社時刻の調整、テレワーク、短時間勤務などの柔軟な働き方を選べるようにする制度の創設などを内容とする所要の法案を今国会に提出することとしている。引き続き厚労省としても、医療・福祉・雇用政策等を所管する立場として、こども家庭庁を始めとする関係省庁と連携しながら、少子化対策にしっかり努めていきたい」などと、少子化対策について説明した。
これからの6年程度がラストチャンスか。
こんなコメントも。
〇大島事務次官:社会保障の根本には少子化問題
2022年6月に厚生労働事務次官に就任した大島一博氏は記者会見で、「医療、年金、福祉など多岐にわたる社会保障の根本には少子化問題がある。大きな変動の中で社会保障の担い手、財政そのものが大きな影響を受ける」と指摘、人口減少、少子化対策などに注力したいと述べた。
さらにこんなコメントも。
〇加藤鮎子大臣:若い世代の所得増、社会全体の構造や意識変革、ライフステージに応じて切れ目なく支援-の3本柱で取り組む
2月13日のこども家庭庁大臣記者会見で加藤鮎子大臣は、少子化対策先進国フランスの2023年の出生率が1.68と過去最低水準になったことを受け、「わが国においても、少子化の進行は危機的な状況にあり、若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでのこれからの6~7年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスであり、少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあると受け止めている」との認識を示した。その上で、「昨年末に取りまとめられた『こども未来戦略』に基づき、若い世代の所得を増やすこと、社会全体の構造や意識を変えること、全てのこども・子育て世帯をライフステージに応じて切れ目なく支援をすることの3点を柱に据えて、前例のない規模で少子化対策の強化に取り組んでいきたい」と述べた
終戦後、今ほど衛生環境も整っていなかった日本は、生まれた子どもの生存率も現在ほど高くはなく、手塩にかけた我が子が仮に一人だったとして、その子がいつどうなるか分からない(特に病気関連で)、ということになると、必然的に何人か子を持とう、という考え方が通例で、「子どもは一人でいい」などという考え方自体があまりなかったのかもしれない。
先進国で、もろもろ国が安定してくると、それと反比例するかのように、少子化の進行という社会問題が首をもたげてくるようだ。
果たして我が国以外の先進国は、少子化問題に対しどのように取り組んでいるのだろうか。
〇内閣府「選択する未来」委員会報告より
<仕事と子育て「両立支援」施策を推進してきたフランス、北欧諸国>
北欧諸国やフランスなどでは、政策対応により少子化を克服し、人口置換水準近傍まで合計特殊出生率を回復させている。フランスは家族給付の水準が全体的に手厚い上に、特に、第3子以上の子をもつ家族に有利になっているのが特徴である。また、かつては家族手当等の経済的支援が中心であったが、1990年代以降、保育の充実へシフトし、その後さらに出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備、すなわち「両立支援」を強める方向で進められている。
スウェーデンでは、40年近くに渡り経済的支援や「両立支援」施策を進めてきた。多子加算を適用した児童手当制度、両親保険(1974年に導入された世界初の両性が取得できる育児休業の収入補填制度)に代表される充実した育児休業制度、開放型就学前学校等の多様かつ柔軟な保育サービスを展開し、男女平等の視点から社会全体で子どもを育む支援制度を整備している。また、フィンランドでは、ネウボラ(妊娠期から就学前までの切れ目のない子育て支援制度)を市町村が主体で実施し、子育てにおける心身や経済の負担軽減に努めている。
<米国は家庭政策に不介入が基本>
高い出生率を維持している英国(2021年1.56)、米国(2021年1.66)は家庭政策に不介入が基本といわれる。米国では税制の所得控除を除けば、児童手当制度や出産休暇・育児休暇の制度や公的な保育サービスがないながらも、民間の保育サービスが発達しており、また、日本などで特徴的な固定的な雇用制度に対し子育て後の再雇用や子育て前後のキャリアの継続が容易であること、男性の家事参加が比較的高いといった社会経済的な環境を持つ。
加藤鮎子大臣のコメントに出てきたフランスは、少子化対策が功を奏した先進国であり、お手本にしようと視察に行く国も多い。そのフランスの2023年の出生率が1.68で過去最低水準か…。コロナ禍が影響した背景があるのだろうか。
ただ、今紹介した国は、少子化対策が奏功しているとされている。
今度はこんな国を紹介したい。
〇人口減少が進む先進国
<欧州連合で最も高齢化が進むイタリア>
国連の調査によると、主要先進国にて2015年から2050年までの間に人口減少が見込まれているのが日本以外では、イタリア(5.5%減)、ドイツ(7.7%減)。このうち、イタリアは欧州連合で最も高齢化が進んでいる国であり65歳以上の高齢化率は24%で、高齢化による死亡者数が出生数をはるかに上回っている。2022年の出生数は39万2600人と、40万人の大台を割り込んで過去最低を記録、2022年の総人口は17万9000人減の5855万人で2014年以降減少傾向にある。イタリアの合計特殊出生率は1.25(2021年)で、その理由に、 失業率の高さ・出産への財政支援の少なさ・出産休暇の短さ・子育て体制の貧困さ・保育園/学校の不足などがあげられる。
<移民が支えるドイツの人口>
ドイツは2000年代前半から人口減少が始まり現在8200万人の人口は、2050年には7000万人割れになると推計されるなか、ドイツの人口が2022年に1.3%増え8440万人と1990年東西ドイツ統一以後で最大の年間増を記録した。従来から移民が多い国であったが、2021年の32万9000人から急増し146万人に達した。ウクライナからの避難民流入が主因だという。
日独伊三国同盟だった国々は、「同盟」とは関係ないのかもしれないが、人口減少問題が深刻なようだ。さらには日本では公式見解として「ない」とされる(?)、「移民」の問題も横たわる。日本より大変かもしれない。
そしていずれの人口減少が見えている国はというと、
〇中国:出生数902万人と1949年の建国以来で最低を更新
中国の国家統計局は2024年1月17日、2023年末時点の人口は14億967万人で、前年から208万人減少したと発表した。人口減少は2年連続となる。出生数は902万人と前年から54万人減少した。2年連続で1000万人を下回り、1949年の建国以来で最低を更新した。出生数は「1人っ子政策」が廃止された初年度の16年に微増したものの、その後減り続け、2022年の総人口は14億1175万人と前年より85万人減った。人口減は「大躍進政策」の失敗で多くの餓死者が出た1961年以来のこととされる。65歳以上の人口は2億1,676万人で、高齢化率は15.4%となり、前年から0.5ポイント増加した。政府は2035年前後に60歳以上人口が30%を超えると予測している。
何にしても中国のスケールはでかい。中国の動きはとにかく世界を動かす。仮に報道で言われているように、公式発表されている数字が実態とかけ離れているというような現状があるとすれば、その時歴史はどう動くのか?
今度は人口増の国だ。
〇人口ボーナス、30年以上続くインド
ついにインドが世界最大の人口大国となった。国連経済社会局の推計によると、インドは2023年4月末までに総人口が14億2577万人余に達し中国を追い越した。予測では、「逆転は2030年前後」というようにもう少し先の話だったのだが、インドの人口増と中国の少子化のスピードが予想よりもかなり早かった。国連の推計によると、インドの人口は今後2060年前後に17億人前後まで増加し、その後は緩やかに減少していく見込み。人口ボーナス(人口増加による利益)を享受できる期間は、30年以上と極めて長い。また、14歳以下の若年層が人口の約25%を占め、このうち日本の小・中学生に相当する6歳~14歳の義務教育年齢層が2億2000万人もいるという「若者大国」だ。労働力人口(15歳~64歳)は9億6000万人に達している。インドの大きな課題は、若者の雇用創出である。増え続ける労働力人口を吸収するには、2030年までに推計であと9000万人の新規雇用創出が必要とされる。
なんだかなぁ。こちらもとんでもないスケールのでかさだ。9000万人か。うち2000万人でも我が国にいらっしゃったら、イタリアもドイツでも受け入れるとしたら、もしかしたら先進国の少子化問題はしばらく棚上げだ(言語・宗教・住居・治安、諸々の問題を全く考慮に入れていない無責任発言だが。すみません)。
ところで、地球上の人口は、すでに80億人を突破し、2037年には90億人、2058年には100億人を超えると予想されているのだそう。もしかしたら人口増で地球自体の存続が危ぶまれるのかもしれない。
かたや人口減少で危機的な状況、とされる我が国、日本(他、多くの先進国も)。一体何が違うのだろうか?
本文中に出てきたお隣の国、韓国は、
〇これまでの少子化対策は効果が出ていない
韓国政府はこれまで無償保育や児童手当の拡充、育児休業制度の強化に取り組んできた。ユン大統領は2023年3月、自身が委員長を務める「低出産高齢社会委員会」で、これまでの少子化対策は効果が出ていないと指摘した上で「科学的根拠に基づいて対策を冷静に再検討し、原因をしっかりと突き止めなければならない」と指示した。
韓流、ともてはやされている、きらびやかさとは裏腹に、相当色濃い影もある。光が強ければ影も強いのか…。
翻って我が国。今度は医師会のコメントを。
〇日医常任理事:人口動態を見れば、医師の養成数を減らしていく必要
厚労省は1月29日に「第1回医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」を開催、短期的課題として2025年度の医学部臨時定員の各大学への割り振り方、2026年度の地域枠など臨時定員の総数について、長期的課題として2027年度以降の臨時定員のほか、医師の地域・診療科偏在の対策について議論する方針を示した。これに対して、検討会メンバーの釜萢敏日本医師会常任理事は、「人口動態を見れば、医師の養成数を減らしていく必要がある。生産年齢人口が減少してくる中で、医師だけが増えることはあり得ない。この点を考えてしっかりと議論していくべきだ」と指摘。医師の偏在対策としては、地域枠の取り組みは大変効果があったとし、今後は臨床研修や専門研修の募集定員へのシーリングだけではなく、例えば病院勤務医がリタイアした後に医師不足地域で勤務する仕組みなどの検討を提案した。
医師の養成には年数がかかる。計画的に。
今度はこんなコメントを。
〇生産年齢人口減少による働き手不足が病院経営上最大の影響要因
生産年齢人口減少は、中長期的には経営上の最大の影響要因となる。まさに「働き手不足倒産」が迫っている。国立社会保障・人口問題研究所が2023年4月26日に公表した「日本の将来推計人口(令和5年推計)」では、2020年から2040年の20年間で日本の生産年齢人口(15~64歳)が約1295万人減少すると予測されている。その上、4月からは医師の時間外労働規制が施行される。解決策の1つとしてあげられるのが、多職種協働型のチーム医療により、業務の仕分けを含めた組織変革でデジタルへの業務シフトを実現して「コスト構造を変革」する「病院DX」が注目される。病院DXを実現するための「デジタル人材が確保できる人事制度改革」も求められる。生産年齢人口急減の2040年問題を前にして、病院経営においてDXは不可避。短期的なコスト増を嫌ってDX推進しない病院は、将来の生産年齢人口減という外部環境の急変に適応できず、「働き手不足倒産」として淘汰される。病院団体幹部の一人は「医療DX、病院DXは、病院成長の必要経費である」と強調している。
WMN2月号、「2024年度トリプル改定、『DX推進による医療・介護連携』がキーワード 厚労省予算案で『医療・介護のイノベーションに向けたDXの推進』に30億円計上」では、DX推進について採り上げた。ご参考のほど。
高齢世代のコメントだ。
〇プレ団塊の世代:ハッピーリタイアメントは、夢の夢に
フランス人の一般的なサラリーマンと結婚した高校の同窓生。年金暮らしで慎ましい生活をしているという彼女の一家。孫を連れて、毎夏2週間ヨーロッパ各地でバカンスを楽しんでいるそうだ。われわれプレ団塊の世代は、フランス人のような老後のハッピーリタイアメントを夢見てそれなりに働いてきた。ハッピーリタイアメントは、夢の夢に。
※今年夏オリンピックを控えるフランスでは、年金受給開始年齢を62歳から64歳に引き上げる政府の年金制度改革への抗議はやまず、大規模デモは10回目となるなど騒然としている。
うーむ。ハッピーリタイアメントか。毎日、何かに縛られることなく、お金の心配もせず、好きなように余生を過ごす。夫婦二人で、たまには孫や親戚に囲まれて…。はたまた憧れの国に移住して余生を過ごす?
例えばそういうことを「ハッピーリタイアメント」というのだろうか。確かに夢のような日々だ。
筆者のこれまでの人生の中で、長期間の休暇と言えば、大学生時代の夏期休暇だ。約2か月間。初めの1か月はサークル活動で忙しく、むしろ休む暇などなかった。しかしもっとも思い出深い。それが終わってからの1か月。あまり思い出がない。前者は身体がしんどくても心が充実していた。後者は身体は楽だったかもしれないが、反面心の充実も少なかった(それは筆者の責任だが)。
リタイアメントした後の「ハッピー」を「ハッピー」と感じるか否かは、それはその人の心次第なのだろう。
出生率が低下し、国を支える働き手が少なくなり、働き手を確保できない企業は淘汰され…。
どちらかと言えば暗いイメージばかりが浮かんでしまうこの問題だが、しかしながら、筆者も子を持つ親でもある。
我々から見れば危機的な将来なのかもしれないが、だからといって、子どもたちの目に映っている未来は、大人たちの目に映っている未来と同じとは限らない。その時に舵を取る人間が、どんな意志を持ち、どんな行動をとっていくのか。
科学技術がどれだけ進歩したとしても、どれだけ荒廃した社会になったとしても、その未来を切り拓いていくのは、その時代に、そこに生きる人間の意志次第だ。
我が子をはじめ、これからを担っていく子どもたちには、是非とも強い意志を培ってもらいたい。
そう強く考えさせられるテーマであった。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
(※1)…消齢化が起こっているということは、商品開発の際、20代をターゲットに、とか考えなくとも、幅広い層に受け入れられるものだってある、という考え方ができてチャンスと捉える向きもあるかもしれないし、限られた世代に焦点を絞った商売を行う業界は、人口オーナス期を迎える中で、そのサービスの存在そのものを見つめ直さねばならないほどの危機感を覚えることすらある、というから、「消齢化」とは、良くも悪くも、非常にセンセーショナルな言葉であると言えなくもない。
<WMN事務局>
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