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No.756 少子高齢化で医療・介護の支え手不足が深刻化する「2040年問題」 介護人材確保のため「外国人介護人材の業務の在り方検討会」が初会合

2023年09月15日

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◇少子高齢化で医療・介護の支え手不足が深刻化する「2040年問題」
 介護人材確保のため「外国人介護人材の業務の在り方検討会」が初会合
 から読みとれるもの

・生産年齢人口6000万人を切り、医療・介護人材不足が深刻化する「2040年問題」

・外国人を「労働力」として位置づける政府有識者会議中間報告を受け厚労省検討会初会合

・「訪問系サービスなどへの従事」など3項目の検討事項

 

■生産年齢人口が2040年に6000万人を切り、医療・介護人材不足が深刻化する「2040年問題」

 少子高齢化に伴い2025年には団塊の世代全員が後期高齢者となり、2040年にかけて生産年齢人口の減少が加速化し、医療・介護の支え手不足が深刻になると予測される「2040年問題」。将来、介護人材不足が見込まれる中で必要な介護人材を確保するための一環として外国人介護人材の確保・定着及び受入環境の整備を図るため、厚労省は7月24日「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」の初会合を開き、訪問系サービスへの従事、技能実習「介護」、特定技能「介護」における固有要件について検討を行い、今年秋を目途に最終報告書を取りまとめる予定だ。

 

 わが国の人口は、2025年にいわゆる団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となり、2040年にかけて75歳以上の増加は緩やかになる。その一方で、2025年以降は生産年齢(労働)人口が年間50~70万人と減少が加速化し、総人口は2022年の1億2544万人から2040年に1億1092万人に減少、生産年齢人口は2022年の7449万人から2040年には6000万人を切ると推測されるのが、「2040年問題」である。2040年に向け生産年齢人口が急減する中で、医療・介護提供体制の確保のために必要な質の高い医療・介護人材を確保するとともに、サービスの質を確保しつつ、従事者の負担軽減が図られた医療・介護の現場を実現することが必要となる(図3 2040年までの人口等に関する短期・中期・長期の見通し)。

 2023年4月に公表された将来推計人口(2023年推計)によると、中長期的な人口減少のトレンドは、前回2017年推計と同様の状況で、少子化・人口減少の流れを変えるとともに、これからも続く超高齢社会に備える必要がある。「2023年推計人口」によると、わが国の人口は1億2600万人(2020年)から1億人を切り8700万人(2070年)に減少。その一方で前回の「2017年推計人口」と比べ、①平均寿命が延伸し、外国人の入国超過数が増加するため、人口減少のペースは緩和する、②将来の出生率は低下(1.44→1.36)と推計される(図4 将来推計人口(令和5年推計)の概要)。

 

■政府の技能実習制度見直しを受け、厚労省の外国人介護人材の検討会が初会合

 2025年以降2040年に向けた生産年齢人口の急減に伴う医療・介護人材の確保対策の1つとして、厚労省は7月24日、「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」の初会合を開いた。厚労省は論点として、「現行制度では認められていない訪問系サービスへの業務拡大」「技能実習生を受け入れる事業所の開設後3年要件の緩和」「外国人の人員配置基準算定の緩和」をあげ、介護の技能実習、特定技能、EPA(経済連携協定)における固有要件の緩和を検討し、今秋をメドに意見をまとめたい考えを示した

 外国人技能実習制度は、わが国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年に創設された制度である。2017年に新たに法律に基づく新制度が施行され、外国人技能実習制度に介護が追加された。

 「技能実習制度」は、①国際貢献のため、開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ、OJTを通じて技能を移転する制度で、②技能実習生は、入国直後の講習期間以外は、雇用関係の下、労働関係法令等が適用されており、2022年末時点で全国に約32万人在留している。わが国の国際貢献において重要な役割を果たしてきた(図5 技能実習制度の仕組み)。

 

 外国人介護人材は、「EPA(経済連携協定:インドネシア・フィリピン・ベトナム)」「在留資格『介護』」「技能実習」「特定技能1号」の4パターンで受け入れが行われている図6 外国人介護人材受入れの仕組み)。

 このうち特定技能制度は、国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れることを目的に、2018年に可決・成立した改正出入国管理法により在留資格「特定技能」として創設され、2019年4月から受入れが可能となった(図7 特定技能制度概要)。

 介護の外国人在留者は、技能実習が1万5011人(2022年6月)、特定技能が1万9516人(2023年3月)、EPA介護福祉士・候補者が3213人(同6月)それぞれ日本で生活している。

 

外国人を「労働力」として位置づける政府有識者会議の中間報告

 外国人の技能実習・特定技能両制度の見直しを検討してきた政府有識者会議「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」は2023年5月11日、技能実習制度と特定技能制度が直面する様々な課題を解決した上で、国際的にも理解が得られる制度を目指し、「人材育成」だけでなく「労働力」としての位置づけも明確にした新制度の創設を求める中間報告書を取りまとめた。

 現行の技能実習制度は、人材育成を通じた国際貢献が目的だが、実際は人手を確保する手段になっており、目的と実態がかけ離れ、トラブルも多かったのが見直しの背景である。新制度の目的が、技能の移転から人材確保に切り替わるのを受け、従来は原則、不可能だった転籍制限も緩和される方向になった。一方、介護分野などが対象になっている特定技能制度については、「引き続き活用する方向で検討し、新たな制度との関係性、指導監督体制や支援体制の整備などを引き続き検討」と、こちらは制度を存続させる方向だが、委員からは新制度との一本化を求める意見も強い。有識者会議は新制度の設計などについてさらに議論を進め、今秋にも最終報告書をまとめる予定だ。

 

■厚労省検討会で示された「訪問系サービスなどへの従事」など3項目の検討事項

 厚労省の検討会は、政府の有識者会議が技能実習制度を廃止し新制度の創設を検討していることなどを受け発足したもので、有識者会議が今秋まとめる最終報告の内容に合わせた議論を行う

 この日示された検討会資料では、介護職種の技能実習計画の新規認定件数の推移について、①介護職種の技能実習計画の新規認定件数は、認定を開始した2018年度以降の5年間で累計3万9000件、②2020年度の1万2068件をピークに毎年8000件程度の認定が行われた。③第3号の技能実習計画の認定件数は500件弱となっていること。介護職種の技能実習が行われている施設・事業所は、特別養護老人ホームで最も多く、次いで、病院、介護老人保健施設、特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護の順で実習が行われており、上位5施設・事業所で8割以上となっていること。介護職種の技能実習生の国籍は、ベトナムが最も多く、次いで、インドネシア、ミャンマー、フィリピン、中国の順となっており、上位5カ国で9割以上となっている。EPA介護福祉士候補者を受入れている3カ国はいずれも上位5カ国に入っていること-などの実態が示された。

 

 初会合では厚労省から、①外国人介護人材の訪問系サービスなどへの従事、技能実習「介護」の対象である事業所開設後3年要件、技能実習「介護」等の人員配置基準の3つの検討事項が示された。

 介護は対人サービスであることなどから他分野にない固有の要件が設定されている。現行では訪問系サービスへの従事は技能実習、特定技能、EPAとも認められていない。利用者宅で1対1になるため、言葉や文化の違い、人権擁護などに配慮しているためである。人員配置基準について、技能実習、EPAでは日本語、介護技術が一定程度向上する就労開始6カ月後から算定できるようになっている。また、技能実習の安定した受け入れを担保するため、設立後3年以上の事業所に限定している。

 

 2024年度診療報酬改定は、介護報酬と障害福祉サービス等報酬と同時に行われる「トリプル改定」となる。トリプル改定にかかわる課題として「2025年問題」と「2040年問題」がある。2025年には団塊の世代と呼ばれる1947〜1949年生まれの人(第1次ベビーブーム世代)が全員75歳以上になる。このため、75歳以上の後期高齢者の増加が顕著になる。その後2025年から2040年にかけて高齢者人口の増加自体は落ち着くが、医療・介護の支え手となる生産年齢人口は年々減少していく。これにより、さらに社会保障費の負担が増えることが「2040年問題」でもある。生産年齢人口、つまり労働人口の激減に伴い限りある人材等で増大する医療・介護ニーズを支えていくためには、医療・介護提供体制の最適化・効率化を図っていく視点が重要となる。外国人材の活用も重要な視点の1つと言えそうだ。

 

 

 


 ドラゴンボール

 ドクター・スランプ

 

 といえば、筆者が学生の頃、夢中で読んでいた、鳥山明原作の大ヒット漫画だ。ドラゴンボールについては、今でもゲーム化されたり、新作が映画化されるなど、非常に息の長いコンテンツとなっている。

 その鳥山明原作の最新アニメ映画が去る8月に公開された。

 SAND LAND(サンドランド)である。

 筆者は原作を読んだことがなかったが、数か月前に書店のエンドに「映画化」とされた単行本(全1巻)が陳列されていたので、思わず手に取り、買ってしまった。原作はどうも今から20年以上も前に連載されていたものらしい。

 原作を知らず、買ったはずの単行本もまだ見ることなく、夏休みに映画館に足を運んだ。

 手前勝手な感想を言わせてもらえば、鳥山明ワールド全開で、しかしながら突拍子もないほどに超人的なパワーによる戦闘があるのでもなかったが(か○は○波などは出ない)、終わってみれば清々しい気持ちになる、そんな映画だった。

 映画を見たあと、買った単行本を読んだが、映画の方が原作よりもブラッシュアップされ、原作よりも「さらに良い出来だった」。素直にそう感じた。

 ところが、作品自体の評価は高いらしいのだが、興行収入の方はといえば、今一つパッとしないのだそうだ。

 いったい何故?

 正直な疑問である。ただ、これは50代の筆者だからこそ感じる疑問だと言えなくもない。

 現在の小中高生が、鳥山明の作品を読みながら大きくなってきたかというと、もはやそうではないだろう。

 ドラゴンボールの主人公、孫悟空が、今ではとんでもなく強いことも筆者は違和感なく受け止めているが、それこそ何十年もかけて、悟空の成長を見てきたからこその、ある意味納得感(?)ある強さだ。

 それを、もはや超人的としか言えないような孫悟空やベジータを突然見た今の子どもたちにとっては、異次元的な強さの宇宙人が、最初から当然強かったかのように目の前に現れた、くらいにしか感じないのではないか。

 昔SAND LANDの原作を読んだから映画を見よう、という筆者くらいの世代の動機はあったとしても、今の子どもたちに「20年も前だが名作」、「鳥山明ブランド」だけで映画館に動員することを果たして訴求できたのだろうか?そのあたりに要因があるのかもしれない…。

 

 今回のテーマは、これまで何度も採り上げてきた「2040年問題」に関連しているのだが、筆者世代が子どもだった1980年台は約2,000万人いたとされる0~14才人口が、2020年には約1,500万人に減少、ここからは推計だが2070年には797万人、2120年(?!)には445万人まで減少するという(※4)、日本の将来に待ち構えている、今とは全く異なった世界観が、夏休みに見た映画、「SAND LAND」の興行収入についてのニュースが目に入った時、何故か少子高齢化問題とも絡んでいるような、そんな気がしたので、少し冒頭に触れてみた。

 

 コメントを紹介したい。

 

〇政治家:外国人材から「住みたい・働きたい・学びたい国」として選択される日本に

 自民党の外国人労働者等特別委員会(松山政司委員長)は、有識者や自治体からのヒアリングを踏まえた提言を取りまとめ、6月1日に松野官房長官に申し入れた。提言では、外国人材の受け入れに向け、少子高齢化への対応・技術立国としての社会の基盤強化等に取り組んでいくことが必要であり、日本が「住みたい・働きたい・学びたい国」として選ばれるための努力が重要だと訴えた。


 外国人材にとって「住みたい・働きたい・学びたい国」として選んでくれるような努力は必要だ。だがその真意にどこにあるのだろうか?日本人外国人材を単なる働き手としか見ていないのだとしたら選択されるにはなかなか至らないのかもしれない。

 

 経済産業省のコメントだ。

 

〇EPAに厚労省は消極的姿勢だった

 経産省は、経済界の要請を受けて国内労働市場の柔軟な需給システムや、企業の海外展開や輸出市場の拡大につながる貿易・市場の自由化を重要課題としていた。 一方、看護や介護の業界を所管し、介護福祉士の国家資格を創設した厚労省にとっては、国内労働市場を開放することで危惧されるさまざまな社会的なコストが大きな懸念事項であった。結局は渋々とそのEPA交渉結果の内容に従ったという経緯があった。また、受け入れ後は厚労省が外国人候補者の研修・就労に責任を持つことになるため、外務省や経産省とは異なり、厚労省の対応はどちらかと言えば消極的姿勢であったといわれる。


 確かにそうなのだろう。日比EPA協定による外国人材が入国する議論の際(今から17年前頃?)、官僚の方と意見交換をした際の質疑応答

 

外国人労働力の受入れについて】

<質問>

・フィリピンとのEPAにより看護師、介護士が100名ずつを限度、就労ビザは日本人と同様等の条件で日本に来る事となっているが?

・単純な労働力確保という意味合いでない事は理解しているつもりだが、一般論としては低コストで高レベルの労働力を確保しようとしているように見受けられるが如何か?

 

<回答>

・日比EPA交渉における看護師や介護福祉士の受入れ等の人の移動に関する要望については、従来からの外国人労働者の受入れに対する基本的な考え方に基づき、以下の5原則を相手国が受け入れることを前提に交渉を進めてきたところ。

 

専門家の受入れに限定する。

国家資格の取得を求める。

労働市場への悪影響などを避けるため、受入れ枠を設ける。

公的な送り出し及び受入れの枠組みを設定する。

相互主義(相手国も受け入れる)とする。

・一昨年11月に、看護師・介護福祉士の受入れを含む、協定全体の基本的枠組みに関し、大筋合意したところであり、現在、協定の署名に向けた協議を行っているところであるが、物品の分野等で両国間の立場に相違があり、現在のところ署名の時期については目処がたっていない状況である。

・日比EPAに基づく看護師、介護福祉士の受入れについては、協議を進めて行く過程でフィリピン側からの要望を受けて、協定締結を促進する観点から、関係省庁と連携した結果、一定の要件のもとに受入れることとしたものであり、労働力不足に対応するものではない。

・なお、具体的な受入人数については、協定が締結されてから協定の発効までに日本が決め、フィリピン側に通報することとなっており、今後、政府部内で検討していくこととなる。

・日比EPAに基づく看護師の受入れについては、単なる労働者の確保ではなく良質な受入れを目指す観点から、国家資格が取得しやすい環境を整備することとしている。

・特に、資格取得前のフィリピン人看護師候補者は、6月の日本語研修終了後、受入施設において看護補助者として就業しながら、看護師国家資格取得に向けて日本語の継続学習やわが国の看護について学習を行うこととしているが、受入施設においては、これらの学習を支援するため、

・適切な研修計画を策定し、その計画を実施するために必要な体制を整備すること

・日本人と同等の報酬とすること

等を要件として検討しているところであり、これにかかる人的費用も含め、単に低コストのみを求めて受入れを行うことは困難である。


 …確かに、この受け答えからも、それほど積極的に海外人材を受け入れようとしているようには全く感じられない(し、当時も全く感じなかった)。消極的姿勢 といわれればそうなのかもしれない。但し、

 「(その先に起こるであろう諸問題を考えず、ただ)『受け入れる』という派手な取り組みが好きな経済産業省の尻拭いを、あとあと引き受けるのはこっちなんだぞ」

 省庁同士の縦割り行政の中で、お互いの立場が異なるからこその、このような見解の相違がなかったか、と言えば、なかったとは言えないのかもしれない…。

 

 翻って現在。こんなコメントを。

 

〇円安による収入目減りや言葉の壁でフィリピンの看護人材確保は厳しい局面に

 日本で看護師として働くことを目指す人たちを対象にした面接会が今年7月にフィリピンで4年ぶりに開かれたが、応募者は過去最少の17人にとどまり、医療人材をめぐる国際的な獲得競争の厳しさを示す形となったと聞く。フィリピンでは、賃金の低さなどを理由に看護師の資格を持つ人のおよそ3分の1が国外で働いているとされる。しかしコロナ禍を機に、欧米を中心に医療人材の獲得競争が激しくなる中、日本は円安による収入の目減りやことばの壁などが影響したとみられる。会場で事業説明にあたった宮城県にある医療法人の採用担当者は、「応募者が非常に少なく衝撃を受けた」と話していた。


 おお。

 先ほどの質疑応答は、「あくまで経済協定の枠組みの一環だ」的論調だったので、ともすれば「来たくないなら来なくても大丈夫とすら捉えかねないものだった

 それが今は、求めた人材が「非常に少なく衝撃を受けた」なのだ。

 

 

 看護師のコメントだ。

 

【病院勤務】

〇ハングリー精神旺盛な外国人介護人材

 当院で働く中国人看護助手は、本国で看護師免許を持っており、今は日本の看護国家試験合格に向けて勉強中。彼女たちはみんな非常に意欲的で、ハングリー精神がある。ひとつでも新しい技術・知識を習得したいという気持ちに溢れているので、その気迫に日本人職員が煽られるほどである。

 

〇認知症や終末期など専門的なケアができる外国人介護職員がいる

 痴呆患者を抱える中小民間病院の看護師。介護の知識や技能を高め、認知症や終末期など専門的なケアができる外国人介護職員も見られ、多忙な看護師のサポートしてもらっている。

 

【訪問看護師】

〇訪問看護師:多くの外国人介護職員の生活援助・身体介護の対応能力は高い

 民間のナースステーションに勤務する訪問看護師。多くの外国人介護職員の生活援助・身体介護の対応能力は高い。何よりも患者さんに尽くすという姿勢が印象的。


 外国人材は、実際に受け入れた医療現場では、頼りになる存在になっているということなのだろう。

 

 介護業界のコメントだ。

 

〇日本は今や金銭面だけで外国人を引きつける国にはなっていない

 当法人グループでは従業員1600人の内100名が外国人介護士。今では外国人介護士なくしては施設運営ができなくなるほど貴重な人材となっている。出身国としてはフィリピンとベトナムの2カ国で、フィリピンには法人が現地に学校を設立し、日本から専門の講師を派遣して日本語の基礎的な能力を身につけさせてから日本に送り込むような仕組みもできあがっている。ベトナムにも現地の日本語学校との太いパイプができている。日本側でも出入国の管理から下宿先の手配、生活必需品の用意、日本での日常生活の指導、そして勿論日本語教育の充実にも力を注いでいる。いまや外国人労働者は“とりあい”。

 まして介護現場で使う日本語が理解できるレベルの外国人ならなおさら。外国人介護士の必要性をいち早く察知した経営者が10年程前に取り組んで来たことがようやく実を結びつつあるようだ。いずれにしても相当な資金が投入されており、体力のある法人でなければここまではできないと思う。そもそも先進国の中で突出して物価が上がっていない日本は今や金銭面だけで外国人を引きつける国にはなっていないようだ。


 もしもタイムマシンがあったとして、17年前のあの質疑応答で、近未来の現実を、もし突きつけることができていたとしたら…。少しは違う現在になっていただろうか?

 

 現在、現場で活躍する、海外人材のコメントを紹介したい。

 

 【EPA人材】

〇介護福祉士の資格を持つEPA介護職員が新たな技能実習生の指導役を担っている

 老人保健施設で介護福祉士の資格を持つEPA介護職員。同施設では学習支援による職員のモチベーションアップに力を入れ、介護福祉士の資格を持つEPA介護職員に「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」のアセッサー講習(介護現場で実践スキルを評価する評価者を養成する講習)を受講。新たに技能実習生を受け入れ、EPA介護職員がその指導役を担っている。

 

 【在留資格 介護人材】

〇勤務先の皆さんも応援してくれたことを感謝

 「介護福祉士」に合格した特定技能外国人。「特定技能 介護」から「在留資格 介護」にビザを切り替え、介護福祉士として引き続き介護現場に携わる。「在留資格 介護」の在留期間は5年、3年、1年又は3か月だが、更新回数に制限がないため、日本国内での永続的な就労が可能となる。「介護福祉士」受検に当たっては、勤務先施設の介護福祉士の先輩に過去問やテキストの問題を教えてくれるなど、勤務先の皆さんも応援してくれたことを感謝している。


 こうなられるまでに何年もの月日が必要だったことだろう。EPA人材の方、日本に来ることができてさぞ良かったことでしょうね。

 などと上から目線でなく、むしろ、

  よくぞ日本を選んでくださって、そして頑張ってくれてありがとう

 という方が、彼ら(彼女ら)に対する正しい礼儀だろう

  感謝すべきなのは、むしろ我々日本人の方なのかもしれない。

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

 

〇外国人介護職員に活躍してもらうための3つの支援

 外国人介護職員に活躍してもらうためには、①日本の職場の基本的なルール、介護業務の標準化や言葉使いの見直し、外国人介護職員の文化や生活習慣を理解するなど職場での定着支援、②生活必需品、生活マナーやルールの指導など生活基盤を整える支援、③地域との関係づくりや外国人介護職員の家族に対する支援など地域社会になじむ支援-が不可欠である。


 昨年、筆者の所属する部門でもこの取り組みを行ったのだが、このコンサルタントのいう通り。言葉の壁をこえた人間関係・信頼関係の構築が、非常に重要なことを感じた

 

 最後に、こんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇重度障害者ケアでバーンアウトの看護師をサポートする外国人介護人材を

 先日、コロナで公的病院の救急外来に搬送。その後1日かけてようやく入院先が見つかり、80床民間病院のコロナ病床に入院、コロナ陰性後6人部屋に移動。周りの患者さんは認知症で中心静脈カテーテル装着、人工呼吸器を装着している重度の障害者。24時間ナースコールがなり、看護師が喀痰吸引に追われていた。特に夜間は1人の看護師が喀痰吸引に追われ、仮眠もできない厳しい看護環境だった。中小の民間病院の人材確保は厳しく、この病院は数名のパートの看護師で対応せざるを得ない状況だった。看護師をサポートする看護助手に外国人が就労するには、介護ビザが必要と聞く。看護助手に外国人が就くには日本語のコミュニケーション能力が必要だが、毎晩の重度の障害者のお世話でバーンアウトの看護師を救う手だての1つとして、外国人人材の活用を考えていくべきだと感じた。


 コロナ病床。看護師。ナースコール鳴りっぱなし。夜間1人。仮眠もできない。数名のパート看護師での対応。

 …バーンアウト。

 ここに外国人材活用も当然必要なのかもしれないが、日本人こそが頑張らないといけないのでは?

 と最初に思ったが、そうだ。今はそこに敢えて身をおこうとする日本人が不足しているのだ。

 

 SAND LANDは、砂漠化した世界の中で貴重品とされる「水(幻の水源)」を求める冒険活劇だった。

 今回は2023年の、深刻な日本の医療・介護現場の一部を垣間見た。

 2040年の日本には一体何が不足しているのだろうか

 水か?若者か?働き手か?それとも?…

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※4)…【図-4】将来推計人口(令和5年推計)の概要 によれば

 

 2120年 日本の全人口は4,973万人

      65才以上人口は2,011万人(40.4%)

      15~64才人口は2,517万人

      0~14才人口は445万人

 

なのだそうだ。

 現在の韓国、コロンビア、スペインと同規模の人口である。

0~14才人口が圧倒的に少ない。同学年が約31万人の時代だ。

<WMN事務局>

 

 

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