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No.586 日本の人口は、過去最大減少幅の1億2589万人 65歳以上の老人人口は26.6%に
2016年08月15日
■過去最大の減少数・減少率で人口減少が加速化
総務省は7月13日、「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(平成28年1月1日現在で住民票に記載)」を発表。日本の人口は1億2589万1742人で前年より27万1834人・0.22%減少、減少幅は過去最大となった。現行の調査を開始した1968年(1億198万8,020人)以降、2006年(平成18年)に初めて減少し、2008年、2009年と増加したが、2010年(平成22年)から7年連続で減少している(図2 住民基本台帳人口の推移)。
出生者数を死亡者数が上回る「自然減」の拡大が主な要因。また、65歳以上の老年人口は3334万1594人で、全体の26.59%となり(図3 年齢3区分別人口の推移)、日本の「人口減少社会」「高齢社会」が鮮明となった。
今回の調査結果は、2016年1月1日時点で住民票に記載されている人口(住民基本台帳人口)と、2015年1月1日から12月31日までの間の人口動態をとりまとめたもの。人口のピークとなったのが2009年の1億2708人で、その後、減少を続け、今回の前年比マイナス0.22%という減少率、27万1834人の減少数とも過去最大であり、人口減少が加速していることが明らかになった。
■減少幅が最も大きいのが秋田県の1.29%減、東京への一極集中
都道府県別では、人口が最も多いのは東京都で1297万人、次いで神奈川県896万人、大阪府866万人、愛知県731万人、埼玉県719万人。一方、人口が最も少ないのは鳥取県で58万人、次いで島根県70万人、高知県74万人、徳島県77万人と中四国に集中している。また、前年に比べて人口が増加したのは、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、愛知県、福岡県、沖縄県で、東京都の増加率0.67%が最も大きい。一方で、減少幅が最も大きいのが秋田県の1.29%減。東京への一極集中が続いている。
65歳以上の老年人口は全国で3347万1594人(全体の26.59%)。生産年齢人口2.2人で1人の老年人口を支えている計算とかなり厳しい状態になっている。都道府県別の老年人口の割合が最も高いのは、秋田県で33.39%。次いで高知県32.61%、島根県32.27%、山口県31.98%など。最も低いのが、沖縄県で19.51%、次いで東京都22.97%、神奈川県24.04%、愛知県24.09%などなっている。
当然ながら人口が少ない、減少している地域では老年人口の割合が高くなっており、高齢者の医療・介護の提供体制をどう確保していくか、極めて深刻な問題となっている。
関係者のコメント
<高市総務大臣:「人口減少社会には、複数都市の広域連携で対応」>
安倍首相が提唱するローカルアベノミクス(地域経済の好循環実現)を受けて、高市早苗総務大臣は2014年9月3日の大臣就任記者会見で、「ローカルアベノミクスを成功に導きたい」と地域資源を活かす重要性などを指摘。「人口減少社会においても、活力ある地域を創出していくために、広域連携のための施策を重層的に展開したい。そのためにまず、『まち・ひと・しごと創生総合戦略』に基づき、『地方中枢拠点都市圏』を含む複数の都市圏概念を「連携中枢都市圏」に統一し、地方財政措置などの支援により、その形成を推進したい」などと、人口減少社会への対応を示した。
<袖井お茶の水女子大名誉教授:「人口減少社会では、Aging in Place「地域包括ケア」構築が不可欠>
「在宅医療とケアの原点」をメインテーマに7月16~17日、都内で開かれた第18回日本在宅医学会大会・第21回日本在宅ケア学会学術集会合同大会。「地域包括ケア2035年までになすべきこと」がテーマにメインシンポジウムが行われた。シンポでは、日本の人口減少は加速し、2040年以降は毎年100万人以上が減少するデータが示された。シンポジストの袖井孝子お茶の水女子大学名誉教授(家族社会学が専門)は、「人口減少社会、高齢社会に向けた切り札は、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることできること(Aging in Place)を支える地域包括ケアシステム構築が不可欠」と強調した。
<ある経済ジャーナリストの声:「ますますモノが売れなくなる」>
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、これから50年で日本の人口は4000万人以上減る。わかりやすくいえば、1年後ごとに政令指定都市・新潟市が消えていく「人口激減時代」に突入することなる。人口減少、高齢社会では、当然ながら、医療・介護などの社会保障制度の崩壊が“クライシス”となるが、それ以上に深刻なのが、「モノが売れなくなる」ことだ。1億2000万人もの人口が8000万人になれば、単純に市場は4分の3に縮小する。購買力はグンと落ち込み、倒産する企業がしわじわと増えてくる。大きな戦争や疫病がない状態での人口減少は、日本にとって初めての経験だ。
<マスメディアの論調:このままでは「人口急減社会」になりかねない>
「人口減少社会」には、各メディアとも、「現状は『人口減少社会』だが、このままでは『人口急減社会』になりかねない」(ある地方紙)などと、危機感をあおる論調が目立つ。そして、人口減少社会の処方箋として、三大紙の1紙は社説で、「外国人との共生社会を築く」「日本の「単一民族神話」の壁を乗り越えてこそ、21世紀にも日本は活力と魅力を保つことができるだろう」と、外国人労働者の力を借りる方策をあげている。
事務局のひとりごと
年間約100万人生まれ、年間約130万人が亡くなる。おおざっぱに言うと、現在の我が国の人口に関する状況だ。しかも、生まれる人は若年層(0才だが)、亡くなる人は大半が高齢者。生まれる若年層を増やさなければ今後人口は増えないのは明らかだ。そういったことはかなり前から言われていることである。人口と年齢に関する研究は将来の見通しが立てやすいためだ。
現在、世界人口は約70億人と増え続けている。減少はしていない。ただ、先進国と言われている国の人口は減少傾向にあるようだ。また、人口1億人以上を有する国は日本も含め10ヶ国程度だ(※4)。といっても、その10ヶ国の人口を合計すると約42億人で、世界人口の6割を占めている。この10ヶ国が世界に与える影響は決して少なくないということがよくわかる。
それでも、この10ヶ国の中には先進国と言われる国ばかりがあるわけでもない。フランスやドイツ、イタリア、イギリスなどの人口はそれぞれ6,000~8,000万人だ。確かにこれまでの日本の高度経済成長を支えてきたのは間違いなく「人口ボーナス」によるものだろうが、この先人口が8,000万人台になったとしても、現在のユーロ圏の先進国と同レベルになるだけだ。国全体が若返るのだ。戦争による急激な人口減から、戦後ここまでの高度経済成長を遂げてきたのとは別次元で、それ以降の日本を背負って立つ世代が人口を増やすことで経済成長を成し遂げようとするならば、それはやはり今、「生めよ増やせよ」ということにならざるを得ない。
このWMNでこれまでも人口問題や子育て、保育の問題などを採り上げてきた。とにかくもこれだけ忙しく、娯楽や余暇の使い方まで多忙を極め、「個」という存在が最大限クローズアップされ最も尊重される中、いじめの問題や共働き、夫婦とその両親とは別居、結果子どもの面倒を誰が見るのかという問題と保育所難…等々、たくさんのお金がかかる社会環境。さらに医療技術の進歩や衛生環境の向上により、新生児の生存率が戦後に比較して飛躍的に向上した現在、様々なリスクを賭して子どもを複数人(最低でも2~3人:2人では人口増にはならないので)に増やそうという夫婦がどれだけいることだろうか。もちろん一般論としては、人口がキープできれば経済活動にも好影響が出るだろうから、子どもを産むことのできる環境にいらっしゃるご夫婦が子どもを増やそうとしてくれた方が良いに決まっているのだが…。ただ待っているだけでは将来、そんな日本にはなり得ないだろう。
ご高齢の方が天寿を全うされた結果、国内が若返り、首都圏の超満員電車が解消され、首都高速の渋滞が緩和される。案外と人口8,000万人の日本にも、光明が見えないこともないのだが…。それとも東京一極集中だけは止まらず、朝のラッシュは変わらないのだろうか。読者の皆さん方のお考えや如何に?
最後に、最近事務局が仕入れたトピックで、長生きに関する研究結果で有用な情報を得たのでご紹介したい(頂戴した原稿を元に事務局が編集)。1億総活躍と無駄な医療費を使わないためにも、「”元気で”長生き」を目指したいものだ。
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和食の世界文化遺産登録がなされて、和食文化を見直す機運が高まっている中、和食の良さを明らかにする目的で中村保幸教授(現 龍谷大学)らの研究により、日頃より和食を摂る機会が多い人は長寿であるとの結果報告がなされた。
その長寿の方々に共通している項目として「漬物を毎日1回以上食べる」があった。
言い換えれば、漬物は和食摂取のマーカー(指標)であると言える。決して漬物が寿命を延ばすという意味ではなく、漬物を1日1回以上食べる人は和食を食べているということだと考えられるらしい。
漬物は和食につきもの。漬物を食べる頻度が高い人は、日本型の食生活をしており、魚や野菜などを豊富に食べているし、肉類の摂取もやや低いと言える。また、発酵漬物は、乳酸菌と野菜を同時に摂れる「素晴らしい機能性食品」であるとも言える。これらの食習慣は、実に理に適った事柄ばかりだ。
それぞれの風土に応じた食を摂ることが健康への近道だ。
その他にも
・肉類は2回/週程度を摂取。
・ラーメンなどの汁を飲み干さない。
ということも大事だそうだ。
食料自給率(カロリーベース)の向上にも1役買うことができるのは、日本の国力増に向けても「一石二鳥」だ。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
(※1)……上位順で、中国(約13.6億)、インド(約12.2億)、アメリカ(約3.2億)、インドネシア(約2.4億)、ブラジル(約1.9億)、パキスタン(約1.7億)、ナイジェリア(約1.6億)、バングラデシュ(約1.5億)、ロシア(約1.4億)、日本(約1.2億)、メキシコ(約1.1億)
<WMN事務局>
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