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No.599 介護療養病床からの新たな転換先は「介護医療院」に。来年8月創設に向け厚労省が介護保険法改正案を国会提出

2017年03月15日

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■介護療養病床からの転換には6年間の経過措置

 厚生労働省は2月7日、高所得利用者の3割負担導入や介護医療院の創設などを盛り込んだ介護保険法等改正案(地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律案)を国会に提出した。改正案は、2018年8月から、特に所得の高い高齢者について介護保険サービスの利用者負担を3割に引き上げ、また介護給付金に総報酬割を導入するなど利用者負担増となる改正とともに、介護療養病床からの新たな転換先となる新介護保険施設「介護医療院」を創設(2018年4月施行)することなどが盛り込まれている(図1)。

 

 

 新介護保険施設「介護医療院」の具体的な施設基準については、介護保険法等の一部改正が成立した後、政省令や条例で定められ、また、その報酬も診療報酬・介護報酬の同時改定の点数が明らかにされる2018年の2月頃に分かる(適用は2018年4月から)。このため、2018年の診療報酬・介護報酬同時改定の内容を見て転換を図る施設が多いことから、介護療養病床からの転換には「6年間」の準備期間(経過措置期間の延長)が設けられた。

 

 新たな介護保険施設「介護医療院」の特徴は、①「生活の場としての機能」を兼ね備え、②日常的に長期療養のための医療ケアが必要な重介護者を受け入れ、③ターミナルケアや看取りも対応するというもの。要介護者に対して、医療、介護、住まいを提供する機能を持ち、この機能を果たすために必要な医師・看護師などを配置するほか、療養室、診察室、処置室、機能訓練室など都道府県が条例で定める施設整備が必要となる。また、条例で、介護支援専門員、介護従事者などの配置基準が設けられる。

 

■病院・診療所ではない「介護医療院」、しかし、転換前の名称を引き続き使用可

 「介護医療院」は、「病院・診療所ではない」と規定されるが、既存の病院や診療所から転換する場合は、転換前の「●●病院」「〇〇診療所」などの名称を引き続き使用することが認められる図2)。

 これは、新たな介護保険施設について検討してきた社会保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会での議論の中で、医療関係者の委員から、「病院の医師、病院の看護師として働いてきたスタッフが、突然の名称変更でモチベーションが低下しないよう配慮すべき」との指摘を受け、厚労省当局が配慮したことによる。

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関係者のコメント

 

<厚労省関係者:「介護医療院の施設基準などは介護老人保健施設を参考に」>

 昨年12月の厚生労働省の社会保障審議会医療部会の議論の中で、医政局地域医療計画課長の佐々木健氏は、「新たな施設類型(介護医療院)は、介護保険法の本則に位置付ける。給付範囲も介護保険から行う」と説明。施設基準は、介護老健施設を参考とすると述べており、介護医療院の報酬や施設基準は、現行の介護老人保健施設を参考に設定されるとみられる。

 

<武久日慢協会長:「経過措置期間が終わる6年後まで続くかというと、それは甘い考えだ」>

 介護保険施設「介護医療院」の創設を受け、武久洋三日本慢性期医療協会会長は2月9日の記者会見で、介護療養病床から新類型の介護医療院に転換した場合の試算を発表し、全ての試算パターンで収支の改善がみられるとした。その一方で、「経過措置期間が終わる6年後まで続くかというと、それは甘い考えだ」と指摘。経過措置の終了後に予定される介護報酬改定で、報酬削減が行われる可能性もあるとの厳しい見通しを示した。

 

<中川日医副会長「医療療養病床からの移行も、介護療養病床とそろえて経過措置を設けてもらいたい」>

 1月25日の中医協総会で、中川俊男日本医師会副会長は、医療療養病床の医療法施行規則の経過措置が2017年度末で切れてしまうと、新類型(介護医療院)への移行準備をしている介護療養病床とバッティングして、患者や現場が混乱する恐れがあると指摘。「介護療養病床では6年間の経過措置で、新類型に移行していくことが検討されている。新施設類型には医療療養病床からも移行できる。混乱を避けるため、介護療養病床とそろえて経過措置を設けてもらいたい」と要望した。

 

<介護療養病床群医療関係者:「介護医療院の報酬が、制度スタート直前の2月に分かるなんて…」>

 介護療養病床から新たな介護保険施設「介護医療院」に転換を考えているが、その報酬は、新施設がスタートする2018年4月の直前、診療報酬・介護報酬の同時改定の点数が明らかにされる2018年2月にならないと分からないという。いくら6年間の経過措置期間があると言っても、私どものような中小施設では資金面や人材確保をどう乗り切るか、転換の判断が悩ましい。

 

 <(既に移行してしまった)介護老人保健施設経営者:「梯子を外されてばかりいる」>

 早くから廃止が論議されてきた介護療養病床の転換先として介護老人保健施設に転換してしまったが、思ったほど報酬も良くなく経営的に厳しい。介護療養病床の廃止も再三延長され、政府の医療・介護施策は、コロコロ変わり、“梯子を外されてばかりいる”。

 

 <高齢利用者の声:「ともかくも早く入所できる施設が欲しい」>

 「お国の都合でコロコロと変わる介護保険施設。診療所でも病院でもないという『介護医療院』とは一体どんな施設か、名称からいっても何がなにやら分からない。自宅での介護が困難とった年寄りを抱える家族にとって、ともかくも早く入所できる施設が欲しい」

 「生活施設としての機能を持つという新介護保険施設・介護医療院。実際どのような利用料になるのか、早く教えて欲しい。医療・介護に係るお金の出費は、年々家計を圧迫している。お金がかかるようだったら、介護医療院の入所もあきらめなければならない」

事務局のひとりごと

 

 とある土曜日。子育てのイライラが募る家内を、少しでもイライラから解放すべく、約2時間ほどではあるが、3人の子どもたちを散髪に連れて行った。文字通り、「勉めを強いる」“勉強”で、言うことを聞かない子どもたちも、たまの外出であれば話は別。パパの教えを良く守ってくれる。とは言え、どんなハプニングが起こるか分からない。羊飼いの心境である。

 土曜日の午後の散髪屋は客で一杯。時間帯によっては待たずにすぐに案内されるのだが、しまった、当日は多くのご同輩と行動パターンがかぶってしまったようだ。

 しかも店側にしてみれば、われら親子どもが店に入った瞬間、4名の客が一気に増える。「今入ったお客様、長椅子にかけてお待ちくださーい!」長椅子にかけながら気長に順番を待つ。ようやく、「お待ちの方、1番の椅子にどうぞ!」との声。子どもの髪型についていちいちオーダーを出さなければならない身としては、自分は一番最後のつもりで、子どもを先に席に送り出す。「どんな髪型で?」家内からオーダーを出されたとおりの細かい注文で理容師にお願いする。「前髪は眉毛が半分隠れるくらいの長さで・・・。」「はぁ?さすがに髪の毛を湿らせて切ってから、さらに後で乾燥した時にそんな細かい仕上げ(が実現できるなんて)は、保証できませんわ」と返され、「ですよねぇ」と苦笑(心の中で家内に毒づく)。「できるだけそれを意識して」と無理を承知でお願いし、次の子どもを送り出す順番を待つ。

 と、わが子の椅子の隣でカミソリをあてられている若い男性が突然「アツっ!!」と声を上げた。カミソリをあてていた理容師が使っていたシャボンに指を突っ込みながら「そんなに熱くありません。大丈夫ですよ。」と返す。このあたりから雲行きが怪しくなった。折角わが子の髪型のイメージを描いていたはずの理容師が不穏な雲行きを感じて隣のやり取りに割って入り、カミソリをあてていた理容師に「替わって下さい(殆ど有無を言わせないような口調で)!私がします」と、わが子をそっちのけで「ツメシボ(冷たいオシボリ)」を持ってきながら事態の修復に入る。何が起こっているのかまだ理解できていないわが子のすぐそばで、「まるで、熱湯をかけられたみたいに熱かったんや!」と若い男性。とにかくすごい剣幕だが、だからといって取り乱しているわけでもない。先を急いでいるらしく、時間を気にしながら「とにかく急いでやって!!」

 そこから暫く沈黙の時間が流れ、ほどなく顔剃りが終了した。店長を含め今一度お詫びをし、最初にカミソリをあてていた理容師も謝罪する。先ほどから暫くは無言だった若い男性が最後に一言。「あのなぁ、熱いんかどうか決めるのは俺のほう違うん?あんた医者とちゃうねんから!!」と言う言葉を残し、代金はきちんと支払って去っていった・・・。紆余曲折を経て、ようやくわが子の散髪が回ってきたのであった・・・。

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 果たして、この若い男性がこの店に再び来店するかどうかはともかく、長々と私生活をご紹介したのには訳がある。

 「あんた医者とちゃうねんから!!」

 この言葉である。これを言われると、医者以外、ぐうの音もでないのだ。一般人において、いや、医療に携わる人においても「医者」とは、やはり特別な存在として扱われるのだろう。

 

 今回のテーマである、総称としての「介護医療院」は、「●●病院」や、「○○診療所」と名乗っても良いことになっている。その施設の施設長は、「施設長」ではなく恐らく「院長(医者)」を名乗ることが可能なのだろう

 

 本文中にもあった、「新たな介護保険施設について検討してきた社会保障審議会・療養病床の在り方等に関する特別部会での議論の中で、医療関係者の委員から、『病院の医師、病院の看護師として働いてきたスタッフが、突然の名称変更でモチベーションが低下しないよう配慮すべき』との指摘を受け、厚労省当局が配慮したことによる」という記述は、非常に意味深だ。そう感じたのは筆者だけではないだろう。

 現在進行形である「地域包括ケアシステム」構築に向けた「医療」と「介護」の垣根が取り払われたシームレスな連携構築のために、厚労省は「名より実をとる」ために「名を残す」ことを選択肢の一つとしたわけだ

 2018年の2月頃に分かるとされる新類型の報酬を含めた診療報酬・介護報酬の同時改定。今年末迄には色々な情報が漏れ聞こえてくるのだろうが、次期改定は「2021年問題」を目前とした最後の同時改定だ。その行く末を業界が固唾をのんで見守っている。

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 自らも横になってカミソリを入れられている最中、入れ替わり立ち代り、「お父さんに見てもらって」と言われた「てるてる坊主」たちの髪型を、「これでいいです。ありがとうございます。」という殆ど儀式的な言葉を述べつつ(それしか言いようがない)、自分の洗髪・仕上げを経て4人の散髪が終了した。「ありがとうございましたー!!」という大きな声で理容師たちに見送られ、4人はさも当然のように散髪屋の向かいのファーストフード店にフライドポテトを食べに消えて行くのだった(実はこれがあるから子どもたちは喜んでパパについてくるのだが・・・)。「分かってるな?ママには内緒やで」。当然ばれてしまうことになるのだが、ご馳走にありつく前に、一応もったいつけて釘をさす。これは大事な儀式だ。


<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

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