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No.657 厚労省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」が初会合、医師14万人を対象に「医師の働き方実態調査」を実施へ。
2019年08月15日
■2024年医師時間外労働の上限規制に向け、来年の通常国会で医療法改正を目指す
医師に対して2024 年4月から時間外労働の上限規制が適用される。厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」は今年3月末、労働基準法体系において定める上限規制と医事法制・医療政策における対応を組み合わせ、医師の診療業務の特殊性を踏まえた働き方改革を推進していくことを内容とする報告書をとりまとめた。引き続き、「医師の働き方改革の推進に関する検討会」(座長=遠藤久夫・国立社会保障・人口問題研究所長)が設置され、積み残しとなっていた事項についての検討が始まった。
7月5日の推進に関する検討会初会合では、厚労省が論点を提示し、各構成員が意見や質問を出し合った。また、医療機関等1万9112施設、医師14万1880人を対象に、「医師の働き方実態調査」を実施することも決まった。検討会では、時間外労働上限規制の例外「地域医療確保暫定特例水準」と「集中的技能向上水準」の対象医療機関の特定や、医師労働時間短縮計画とその評価機能の枠組みなどについて年内をメドに一定の結論を得て、2020年の通常国会で医療法などの改正を目指す。
3月末の「医師の働き方改革に関する検討会」の報告書では、①2024年4月から「医師の時間外労働上限」を適用し、原則として年間960時間以下とする(すべての医療機関で960時間以下を目指す)(いわゆるA水準)、②ただし、「3次救急病院」や「年間に救急車1000台以上を受け入れる2次救急病院」など地域医療確保に欠かせない機能を持つ医療機関で、労働時間短縮等に限界がある場合には、期限付きで医師の時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるB水準)、③研修医など短期間で集中的に症例経験を積む必要がある場合には、時間外労働を年間1860時間以下までとする(いわゆるC水準)、④2024年4月までの5年間、全医療機関で「労務管理の徹底」(いわゆる「36協定」の適切な締結など)、「労働時間の短縮」(タスク・シフティングなど)を進める-ことなどの方針を明らかにした(図1 医師の時間外労働規制について①)。
これらの機能を持つ医療機関が「労働時間短縮にしっかり取り組んでいるか(計画を適切に定められているか、実践しているか)」などを、都道府県から独立した組織として新たに設けられる第三者による「評価機能」で確認・評価し、その結果を踏まえて「要件を満たしている」と確認されて初めて、都道府県が水準B医療としての「特定」される。今回設置された検討会では、「B水準医療機関特定」に関する仕組みをまず検討。例えば、「評価機能をどういった組織とし、その役割をどう設定するのか」「医師時間短縮計画の内容や対象医療機関をどう設定するのか」「都道府県による「特定」の仕組み(要件や実務)をどう設定するのか」などが重要な論点となる(図2 2024年4月までの見通し(実施主体について))。
■9月に医師14万1880人を対象に「医師の働き方実態調査」を実施
7月5日の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、今年9月に医療機関など1万9112施設とこれらの施設に勤務する医師14万1880人を対象に「医師の働き方実態調査」を実施することになった。
2016年に同規模のいわゆる「10万人調査」を実施したが、医療従事者の「働き方改革」が社会的な問題として認識され始めたばかりの時期のもので、「医師の働き方改革に関する検討会」ではその後の状況を反映できていないことも指摘されていた。その後、3年間でどのような変化があったのかなどが明らかになることも期待される。
調査は、1万9112施設(前回1万2035施設)と所属する医師14万1880人に紙の調査票を配布。9月2日から9月8日までの1週間の勤務状況や施設の労務管理の状況などについて質問する。内訳は、病院8412施設と医師13万110人、有床診療所720施設と720人、無床診療所9430施設と9430人、介護老人保健施設430施設、介護療養型医療施設・介護医療院120施設。
このうち、医師票については、9月2日から9月8日までの1週間について30分刻みで勤務状況と、前月(8月)の宿直やオンコールの回数を記入。また、「コメディカルとの業務分担の取り組み状況」や、出産・育児経験があれば、それによる離職経験や勤務先による支援状況も質問する。施設票では、医師が仕事と家庭生活を両立できるようにするための取り組みや産休や育休などの取得状況、時間外労働に関する労使協定(36協定)の締結状況、宿日直についての労働基準監督署の許可取得状況などについて回答を求める(図3 医師調査票の記載例)。
【事務局のひとりごと】
今を遡ること5年前、平成26年公益財団法人労働科学研究所 酒井一博所長の講演を聴講した。「医療分野の『雇用の質』向上のための仕組みづくりと手引きの活用法」というテーマだ。以下、導入部分の概略である。
2014年6月18日、つまり平成26年に医療・介護総合確保推進法案が成立し、医療法に勤務環境改善システムの法的根拠が出来上がった。
【2000年前後から約15年間に医療分野で起こった出来事】
1995 産婦人科勤務医(35歳、勤務地:山梨県)、過労死
1997 小児科女性勤務医(43歳、勤務地:千葉県)、過労死
1998 関西医大の研修医(26歳、勤務地:大阪府)、過労死
小児科勤務医(44歳、勤務地:東京都)、過労自殺
1999 患者取り違え事故(横浜市立大学病院)←医療安全元年
薬剤取り違え事故(東京都立広尾病院)
2000 エタノール誤注入事故(京都大学病院)
抗がん剤過剰投与事故(埼玉医科大学総合医療センター)
横浜市立大の研修医(30歳、勤務地:神奈川県)、過労自殺
2001 心臓手術事故(東京女子医科大学病院)
国立循環器病センターの看護師(25歳、勤務地:大阪府)過労死
2002 腹腔鏡下手術事故(東京慈恵会医科大学青戸病院)
2003 小児科勤務医(31歳、勤務地:北海道)、過労死
2006 医師逮捕の衝撃(福島県立大野病院事件)
2008 済生会中央病院の看護師(24歳、勤務地:東京都)、過労死
こういった時代背景から、個別病院、職能団体、学会、行政と、個別の取組みから横断的に、そしてオールジャパン体制で医療分野における雇用の質向上の取組みがなされてきた。
ついこの前まで
「患者はどうするの?」
「時間がきたら患者をほおって帰るの?」
「守っていたら経営が破綻しちゃうじゃない」
という理由から労働基準法を守るなんて無理に決まっている、という考え方が現場に定着していたが、ここからの大転換が迫っている。
まず、「労働時間は法定」であり、守らなければいけない。また、夜勤・交代制勤務に関する法的な規制がないため、自主ガイドラインによる運営が有効であり、それぞれの医療機関に個別に求められることになる。
人の生理と心理についても考察されている。
「疲労」とはどういう状態をいうのか。
心身に疲れの自覚感がある→活力が低下する
休息欲求が顕著→休みたい、やめたい(したくない)
パフォーマンスの低下→能率低下、安全配慮が乏しくなり興味がなくなる
また「居眠り」は強度の休息欲求の裏返しでもある。
疲労には2つの性質がある。1つは進行性であり、もう一つは可逆性である。
進行性→疲労はどんどん進むし、たまる
可逆性→疲労は元の状態にもどる
疲労がさらに進むか、元の状態にもどるか、そのターニングポイントは「休息」にある。
つまり、「人は休むことによって次の活力を得ている」のであり、休憩・仮眠は有効である。
体を休めると疲労の進展を止め、疲労の回復を図ることができるといえる。
睡眠は過労対策の特効薬である。反対にいうと睡眠不足は過労の早道であるともいえる。
平均睡眠時間が
5時間未満 赤信号
6時間未満 黄信号
9時間以上 黄信号
10時間以上 赤信号
睡眠時間は少なすぎても多すぎてもいけない。リズムよく、起床時刻のずれにも注意が必要だ。特に2時間以上のずれは禁物である。
また、仮眠は有効である。疲れをとる仮眠は、夜中に2時間、眠気をとる仮眠は20分だ。
人は昼行性の動物である。体温の概日リズムと眠気のモデルを表に表したサーカディアン・リズムが示すとおり、人は昼間に活動、夜間は睡眠をとることが自然だ。サーカディアン・リズムとは、16時~18時の体温は頂点(37℃~)に達し、2時~4時の体温は底点(35℃~)に達する。低体温時は眠気をもよおす。従って、人としての特性で、深夜の業務遂行は辛く、元来苦手なものなのである。
また、“長く働き、長く休む”よりは“短く働き、短く休む”方が効果的であり、作業成績も良好な状態を維持できることが分かっている。
日本医師会による「医師が元気で働くための7カ条」(2009)によれば、
1 睡眠時間を充分確保しよう
2 週に1日は休日をとろう
3 頑張りすぎないようにしよう
4 「うつ」は他人事ではありません
5 体調が悪ければためらわず受診しよう
6 ストレスを健康的に発散しよう
7 自分、そして家族やパートナーを大切にしよう
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人の生理と心理について考察されているように、一般人はもとより、医師も人である。人である以上、医師もまた長く働けば疲労し、疲労すれば作業成績も良好が維持できなくなるわけだ。また、7カ条は、医師でなくとも通用しそうな、普遍的な内容である。
“働き方改革”と声高に叫ばれているが、実は、本質はとてもシンプルなのである。ただ、そこに経営だとか、理念だとか、応召義務、向上心、研鑽など、諸々の要素が複雑に絡み合い、問題となっている。つまるところ、「拘束時間」に絞った目標値が掲げられざるを得ないのだが、日本のあらゆる業界が直面している問題である。医師に対する経過措置はあるものの、医療業界もまた決して例外ではない。
今回のテーマは医師 約14万に対する大規模な実態調査が実施される(タイムスタディ)、という内容だ。
コメントを紹介したい。
○厚労省医事課:「都道府県が医師の働き方改革で役割担わないと、労基署が前に出て指導する」
7月5日の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で厚労省医政局医事課の担当者は、新たに設置される医師の労働実態や時短計画の取り組み状況を分析・評価する都道府県から独立した組織「評価機能」のあり方について、「中立」との認識が妥当であるとの考えを示した。さらに、「医師の働き方改革に関する検討会」報告書で都道府県がさまざまな役割を担う想定となっており、もし都道府県が担わないことになれば「労働基準監督署が前に出る」と述べ、国、すなわち労務関連の問題を所管する労基署が指導する状況が続くと説明した。
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例外はない、という強い意志の現れであるが、“都道府県の様々な役割”とのことだが、都道府県は、果たして国の意向どおりの動きを行っていただけるのだろうか。
勤務医からのコメントを紹介したい。
○「多忙で心身に問題を抱える医療従事者が診療したら、病気の患者は、不幸の二乗になってしまう」
当院では、「循環器」、「消化器」、「呼吸器」の3つの診療領域に「選択」と「集中」を行い、初期・後期研修医を含め、約110人の医師を雇用、「職員第一主義」というトップの考えが徹底していることが短時間労働につながっている。「病気の患者を、多忙で心身に問題を抱える不幸な医療従事者が診療したら、不幸の二乗になってしまう」。
○「専門性の高い診療分野で替えが利かない」
タスク・シフティングというが、専門性の高い診療分野で替えが利かず、自分がやるしかない。相談もできないのが現状だ。
○「全員が同じように働かなければいけないといった思い込みを捨てるなど、意識改革を」
今年6月に都内で開かれた医師の働き方に関するシンポジウムで、大阪府の民間病院の産婦人科医は、勤務する病院で患者に対して、①病状説明の時間の掲示(平日の8時30分から17時20分までとし、時間外では行わない)、②時間外に主治医を呼び出さない、③情報共有ツールの導入などを進め、5年前は時間外労働が月100時間を超えることもあったが、現在は月40時間程度まで減ったことを報告。「最も重要なのは、間違った思い込みを捨てること」とし、「残業は必要悪である」、「全員が同じように働かなければいけない」という思い込みを捨て、意識改革から始める必要性を訴えた。
○外科医:「タスク・シフティングを十分行い、外科医が手術に専念できる環境を」
7月17日開かれた厚労省の「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」の第2回会合で、日本外科学会・外科医労働環境改善委員長の馬場秀夫・熊本大学大学院教授は、医師から看護師への業務移管(タスク・シフティング)可能な業務として、手術の際の手術部位(創部)の消毒やドレープがけ、術後24時間以内の疼痛管理目的での麻薬の投与など14項目をあげ、現行法でも看護師が実施可能だと指摘。しかし、日本外科学会の調査では、移管が進んでいない業務が多数あるとし、「タスク・シフティングを十分行い、外科医が手術に専念できる環境をつくらなければいけない」と訴えた。
○救急医:「救急室で看護師に7項目、救急救命士に13項目が業務移管可能
またヒアリングでは、織田 順・東京医科大学病院救命救急センター長が、救急室(救急外来、初療室)を主とする院内での診療補助は、看護師に病歴聴取、バイタルサイン測定など7項目と、救急救命士に13項目、集中治療室における診療補助については看護師に7項目、体表面の切創・挫創の洗浄と縫合処置も看護師に移管可能だと述べた。
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一部のコメントを除けば、医師の働き方改革への対応を行おうとしているコメントである。一方で「替えが利かない」、「相談もできない」という病院は、地域性の問題なのか、組織の問題であるのか、その専門性故なのか、おかれた環境は非常にお気の毒であるが、しかし何かを前向きに検討し、取り組むことは必要なのだろう。
その中でタスク・シフティングは医師の働き方改革の成否に重要な要素で、先述のコメントにも出てきたわけだが、コメントを紹介したい。
○日医、タスク・シフティングで「新職種の創設反対」
タスク・シフティングに関するヒアリングの6月17日初会合で、今村 聡・日本医師会副会長は、「国民にとって安全な医療を守るため、医師による“メディカルコントロール”(医療統括)の下で業務を行うことが原則である」などとする5項目の「タスク・シフティングなどに関する基本方針」を示し、「新たな職種の創設ではなく、既に認められている業務の周知の徹底、並びにそれらが実践されていない場合の着実な検証を実行するべきである」と主張した。
○ある看護師:「病院経営者はタスク・シフティングへの理解がない」
看護師の特定行為研修を受けるため、病院を休職して大学院に入学した。同期の看護師は半数以上が、一旦退職して入学したという。幸い、本格的な特定行為研修を受けて後輩の看護師を指導する人材を育てたいという病院理事長の理解があり、私の場合は休職扱いとなった。厚労省は盛んにタスク・シフティングの推進を強調しているが、現場の病院経営者の理解がないのが現状だ。
○医業系コンサルタント:勤務医の満足度と生産性向上の両立が課題
病院経営者にとって、勤務医の満足度と生産性向上の両立が課題となると思う。医師に応じて待遇やルールを微調整したり、最も多い世代のニーズを優先的に満たしたりなど、現状に合わせてPDCA(計画、実行、評価、改善)を繰り返す柔軟性も求められる。
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医師による統制と、議論が再燃しそうなナース・プラクティショナー、生産性向上と職員満足度の向上、いろいろ思うところである。
苦労は買ってでもしたいと考えている研修医からのコメントを紹介したい。
○医師としてのキャリア形成に不安
初期研修2年目。コロコロと変わる専門医制度に加え、国が進める医師の働き方改革で、医師の勤務時間規制が問題となり、検討会などで意見が色々と出て、その情報に戸惑っている。例えば、救急救命センターでの夜勤も時間制限されるようになれば、救急の現場での研修が十分に身につくことが出来なくなる。医師としてキャリア形成に不安を感じている。
○医師としてモチベーションを支えるもの3点
医師となり5年目を迎えた後期研修医。今まで現場で働いて感じたことは、医師のモチベーションを支えるものは3つあり、それがかなえやすいことが働きやすさに繋がる。1つ目は報酬。2つ目はキャリアアップや専門医・指導医の資格取得といった自己実現。そして3つ目は、「感謝される、尊敬される」といった社会的動機である。
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“自己研鑽”とは異なるのだろうが、さらに、何を以って“一人前”となるのかという問題もあるが、学術・スポーツ・芸術を問わず、何らかのプロになった方(目指していたがなれなかった方も含め)、“一日8時間”で縛られるとすれば、それはこの先どうなっていくのだろうか。
こと医療に関していうなら、自己研鑽も臨床現場において行うのが理に適っているのだろう。そうなると臨床現場にいるということは、ほぼ実務(時間的拘束)につながりかねないわけだ。他方で、いろいろな道で何かを極めようとする人はプロアマを問わず、当然、労力・時間・お金を使って自主練習や勉学・研究をするのだろう。患者の命を扱う医師について、それをどう考えるべきなのか。厚労省のお役人には答えがあるのかもしれないが、筆者にはまだ答えが見つからない。
ただ、「医師も人」、“疲労は蓄積”し“可逆性がある”ということだけは確かなのだ・・・。
こんなコメントも紹介したい。
○「親の立場から、時間外労働が多い診療科よりも負担の少ない診療科を選んで欲しい」
初期研修医の息子を抱える内科開業医。後期研修に入ると息子は診療科を選択することになるが、親の立場、さらに医師としての経験から率直に言うと、当直やオンコールなど時間外労働が多い診療科よりも、負担の少ない診療科を選んで欲しいというのが本音だ。
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親心である。
先日、日本の青少年と海外の青少年が1年間、互いの国にホームステイする取組みのお話と、実際に帰国された青少年の体験談を聞く機会があった。3人の女性(大学生・高校生)であったが、言葉・文化・風習など、いろいろな壁が立ちはだかっただろうことが容易に想像できた。決して楽しいことばかりではなかったことだろう。いや、むしろ最初の数ヶ月は発表した殆どの青少年が苦悩を抱えていた。それをいろいろな人に支えられながらではあるが、やはり最後は自らが自問自答しながら答えを見つけ、得難い経験に、さらに自らの糧に変えていったのだ。そして最後に出てくるのは「感謝」なのである。短い発表の中に、葛藤と決意、そこから生まれた新たな自信、いろいろなことを教えていただいた。なぜか歳を重ねるごとに涙腺が弱くなる。
わが国の学校教育制度と、それを取り巻く社会の中で、“現役ストレートで社会人に”というのが、仮に一般的価値観だとすると、1年間のホームステイは“留年”ということにもつながりかねない。それについて一人の彼女に問うてみた。
「留年?全く構いません。覚悟の上でしたから。」
きっぱりと自信に満ちた顔。筆者が高校生の時、50歳にもなろうかとする社会人からの問いかけに、果たしてあんな受け答えができていたであろうか?
最初に見かけた時は、どこにでもいそうな、大変失礼ながら普通のおとなしい高校生に見えた彼女が、発表とその会話を経た後、私の彼女に対する見方が一変したのはいうまでもない。
もし、わが子にこんな経験をさせることができる機会があるなら(もちろん多くの艱難辛苦が待ち構えているのだろうし、現役ストレート でもなくなるのかもしれないが)、是非とも与えてあげたい。素直にそう思った。これも親心である。
本文中【図-3】 医師調査票の記載例をごらんになられただろうか。タイムスタディに関する様式であることは一目瞭然だが、
○大学病院長:「医師の働き方実態調査、何が一番大事な項目なのかがボケてしまっている」
医師の働き方改革の推進に関する検討会のメンバーである山本修一・千葉大学医学部附属病院長は、「医師の働き方実態調査」について「何が一番大事な項目なのかがボケてしまっている。時間を聞くところに主眼があるのであれば、前の方に離職云々があるのはどうか。離職にしてもパワハラや燃え尽きなどの要因も深掘りするやり方はある」と指摘した。
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「前の方に離職云々があるのは」という、離職に関する記載部分を筆者は確認できなかったが(調査様式の別頁なのかもしれない)、14万人調査で見えてくるのは如何?
医師の拘束時間は長い、ということなのだろうか。
それとも自己研鑽が多い、ということなのだろうか。
患者はどう思っているだろうか?
○「患者離れのいい医師」が医師の働き方改革につながるかも
「他の医療機関に紹介してほしい」「セカンドオピニオンを聞きたい」と伝えた時、不機嫌な顔をする医師が、まだいるようだ。別のお医者さんを紹介してもらおうとしたところ、「私を信頼できないのか」と言われた。多数の患者を抱えず「患者離れのいい医師」が、「3時間待ちで3分間診療」ではなくなり、医師の働き方改革につながるのではないか。
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フリーアクセスの問題と病病・病診連携のあり方が今後どうなっていくのか。
大型病院よりもクリニックなどで待ち時間の問題(というより予約システムや待ち状況の見える化)に取り組んでいる事例も、昨今はよく見かける(※1)。あるレストラン事業者と先日会話をした際、
「昔は大型病院の外来レストランは賑わっていました(病院では待ち時間が読めないので)。今全然です。」
待ち時間があるとはいえ、患者には時間を読むことができるようになったからだ。間接的に多くの患者それぞれの一人ひとりの時間を犠牲にしながらも賑わっていた時代を懐かしんでいた。もしかすると中には、たとえ読めない待ち時間でも、レストランでくつろぎ、世間話や病気の話に花を咲かせる、それを大事に捉えていた患者・患者の家族・お見舞いの方々がいらっしゃったのかもしれない。そういった時間を無駄と捉える(?)わけでもないのだろうが、“効率化”という言葉の名の下に、あらゆる余裕にメスがあてられる現在である。そんな古きよき時代は過去のものとなってしまったのか・・・。
最後にこんなコメントを。
○コンビニエンスストア店主:「公的な財源で守られている医療は、別世界」
実質的に24時間営業が“義務づけられている”コンビニでは、夜間の店員確保に常に頭を悩ませている。コンビニ間で競争も激しく、時給を上げアルバイトの確保に努めているが、少ない利益でそのお金を確保するのが大変だ。医療では、最終的には、医療費を上げたり(診療報酬を上げる)、また、公的補助金で賄うことが出来る。公的な財源で守られている医療の世界は、我々にとっては「別世界」だ。医療と同じように、コンビニも地域住民の生活を担っている欠かせない産業であるのだが‥。
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確かに地域住民の生活を担っていただいているコンビニエンスストア。昨今の報道で24時間営業の見直しなど、働き方改革(というより人手不足対応)の議論(コンビニ本部寄りの報道からオーナー寄り報道へ)が活発となったコンビニ業界であるが、“医療の世界は別世界”か・・・。
<ワタキューメディカルニュース事務局>
(※1)・・・営業車で外回りしていた頃、車専門店でオイル交換をお願いしたところ、「これでお呼びするまで店内でお寛ぎ下さい」とPHSを渡された。待ち時間に、いつ呼ばれるか分からないのでその場でずっと待つ、ということが全く無く、いろいろなカー用品を物色することができた(買うわけでもなかったが)。客商売と、サービス業とはいいながらルール遵守が求められる病院外来との差か。今より20年以上も前の話である。
<筆者>
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