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No.698 2021年度介護報酬改定で、介護医療院へ移行の新加算などインセンティブ

2021年04月15日

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■介護医療院のサービス提供の実態など、2021年度介護報酬改定の影響調査を実施

 2021年度介護報酬改定が4月から施行された。介護報酬改定を受け、2021年度に、①介護医療院におけるサービス提供実態等、②科学的介護推進に向けたLIFEデータベース(現在の利用者の状態、ケアの内容に関するデータベース「CHASE」とリハビリに関するデータベース「VISIT」とを2021年度から一体運用するデータベース)の利活用状況、③文書負担軽減や手続きの効率化による介護現場の業務負担軽減、④福祉用具貸与価格の適正化-の4点について、実態把握(改定影響の調査)を行うことが、3月24日開かれた厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会で了承された。介護給付費分科会の下部組織の介護報酬改定検証・研究委員会が9月頃に調査を実施し、2022年3月頃には今般の「2021年度介護報酬改定の効果・影響」の一部が明らかになる(図4 令和3年度介護報酬改定を踏まえた今後の課題及び次期改定に向けた検討について)。

 

 このうち、2017年の改正介護保険法で創設、2018年度の前回介護報酬改定で単位数や人員・設備に関する基準が設定され介護医療院は、介護・医療・住まいの3機能を併せ持つ「医療ニーズの高い重度の要介護者を受け入れる施設」として大きな期待を集めている。2021年度介護報酬改定では、①医療療養に1年以上入院する患者を受け入れる介護医療院を評価する「長期療養生活移行加算(1日につき60単位)」、②寝たきり防止・重度化防止に向けた取り組みを評価する「自立支援促進加算(1か月につき300単位)」などの新加算が創設された。その新加算の効果や、サービス提供の実態、さらに「医療療養・介護療養からの移行状況」などを把握するため調査が行われる。

 

■新型コロナで「介護医療院へ移行できない」介護療養についても報酬上の特例設ける

 介護療養の設置期限は2024年3月31日だが、これまでの調査で、①2023年度末までに介護医療院へ移行を予定している病床数構成比は、病院・診療所で38.4%、診療所のみで13.5%の一方、②病院・診療所で23.7%、診療所のみで56.4%などと、「2024年4月以降も介護療養型医療施設にとどまる」と考えている施設が少なからず存在する(図5 病院・診療所別の介護療養型医療施設の移行状況)。この場合、入所者は保険給付を受けられなくなる(介護保険給付、医療保険給付)ため、その処遇悪化等が強く懸念されることから、今後実施する調査結果を踏まえて「介護療養等から介護医療院への転換を促進する方策」をさらに強化していく必要も出てきそうだ。調査では、すべての介護医療院(2020年12月末時点で562施設)、すべての介護療養(580施設程度)、すべての介護療養型老健施設(160施設程度)、3分の1の医療療養などを対象に詳しく調査される。

 また、3月24日の介護給付費分科会では、新型コロナウイルス感染症に係る介護報酬上の2つの特例を実施していることが報告された。①新型コロナウイルス感染症から回復した利用者を受け入れた介護保険施設で、特例的に「退院前連携加算(500単位)」を入所から最大30日間算定可能とする。②介護療養から介護医療院への転換が「新型コロナウイルス感染症の影響で遅れる」場合に、2021年9月末まで「現行の介護療養の基本報酬」(改定前の低くなっていない報酬)を算定できる。

 ②については、2021年3月末までに、申請等の手続きの開始予定時期、2021年10月1日時点また2022年4月1日時点の予定移行先、2021年3月末までに移行が困難な理由―を提出することで、「新型コロナウイルス感染症の影響で移行手続きが遅れている」介護療養においては、2021年度介護報酬改定前の「基本報酬」を算定できる。介護療養から介護医療院への移行に当たっては、「設備の改修」「許認可手続き」などが必要だが、新型コロナウイルス感染症の影響で「工事が遅れる」などの事態が生じている。通常であれば、2021年4月からは「引き下げられた介護療養の報酬」を算定しなければならないが、「施設の責任に帰すことができない」ということで、上記の特例が設けられた。

 

 2018年4月の制度創設以降、介護医療院の施設数は増加傾向にあり、2020年12月時点で562施設・3万5005床に達している。介護療養型医療施設に関する経過措置の期限は、次期介護報酬改定の年となる2024(令和6)年3月末まで延長されており、介護療養型医療施設についてはこの期間内に介護医療院などの施設への移行等が必要になる。移行定着支援加算など早期移行に関するインセンティブが設定されており、次期介護報酬改定の2024年までの間がラストチャンスとなることは確かなようだ(図6 介護療養型医療施設等に関するスケジュールのイメージ)。

【事務局のひとりごと】

 

 4月8日、全国経済同友会セミナーが、初のリアルとWebを利用したハイブリッド方式で開催され、全国で約1,100名が参加した。基調講演は華厳宗管長・第223世東大寺別当 狹川 普文(さがわ ふもん)。師の基調講演内容を少し抜粋してご紹介する。

 

 天平7年(735)、大陸から伝わった天然痘は九州北部で大流行しており、大宰府は九州の住民に対する税の一部を免除するよう朝廷に要請し、認可されている。天平8年(736)になっても九州での流行は続き、同年4月に平城京を出発した遣新羅使節団が九州を経由して新羅に向かうが、往来の途中で天然痘による病死者が出た。一行が平城京に戻ると本州にウィルスが持ち込まれ、天平9年(737)には天然痘が全国に流行することとなった。

 この年は官人の多くが罹患し、藤原四兄弟も相次いで病死し、朝廷の政務も停止を余儀なくされた。また、近畿・東海・中国の諸地域が天然痘の大流行を報告し、税免除の対象が日本全国に広げられた。しかし天平10年(738)の1月までに天然痘の流行はほぼ終息した。

 この2年間の天然痘による日本の死亡者数は当時の総人口の25~35%に達したという研究者の報告(『正倉院文書』の正税帳に依る研究)がある。

 救済措置を全国規模で講じたのは聖武天皇が初めてで、日本における医療福祉が国の政策として始まったのは奈良時代であったのだという。

 (参考:全国経済同友会セミナー 華厳宗管長・第223世東大寺別当 狹川 普文/資料)

 

 今から約1,300年前の出来事である。現在コロナ禍は世界規模で起こっているが、ウィルスによる感染症の拡大は、決して今が初めてではないことはこれまで何度も報道でなされてきたことだが、奈良時代と令和現代。時代を経ても人類と感染症の付き合い(敢えてそう表現した)の長さを感じる、何とも壮大なエピソードである。一つ確実なのは、今ほど医療技術に関する知見や技術が発展していなかった時代でも、天平7年から天平10年の1月までで天然痘の流行が終息したのだ。その史実に基づけば、現在のコロナ禍にも必ず終息(収束?)が訪れるのだろうということだ。しかもそれこそ、知見や医療技術の向上で、総人口の約3割が亡くなるなどということも、さすがにないと信じたい。

 

 話は変わって今回のテーマは、久々登場の介護医療院についてである。

 

 今回は引用が多いが、日本介護医療院協会 会長 鈴木 龍太郎氏 の講演内容が、公益社団法人 日本医業経営コンサルタント協会 発行のJAHMC(ジャーマック)3月号に掲載されていた。非常に分かり易くまとめられていたので、一部抜粋・若干編集しながら以下、ご紹介したい

 

 「介護老人福祉施設」「介護老人保健施設」「介護療養型医療施設」の3施設だった介護保険施設に「介護医療院」が加わったのは2018年4月。創設から間もなく3年を迎えるが、直近(2020年12月31日現在)の開設状況は、562施設・3万5,005床となった。開設数の変遷を見ると、介護医療院への転換促進策として創設時に設定された「移行定着支援加算」(93点/日、介護療養や医療療養などから転換した介護医療院において最初に転換した日から起算して1年間に限り算定できる)の適用が、ラストチャンスとなった2020年4月を挟んで急増、172施設・1万896床が開設されていた。

 

 介護医療院は、2023年度末(2024年3月末)に廃止予定の介護療養病床の受け皿として創設された側面どおり、転換元の病床割合を見ると、介護療養病床からの転換は69.7%(病院2万3,964床+診療所422床)となっていた。以下、医療療養病床15.9%(病院5,316床+診療所238床)、介護療養型老人保健施設13.2%(4,608床)と続き、介護系施設からの転換が8割強を占める。

 

 これら開設状況と介護療養病床を有する医療機関数・病床数の変遷を見比べると、2020年10月までの2年半で病院の介護療養病床は6割強減少し(4万4,602床→1万5,973床)、それら減少した2万8,629床のうち8割強が介護医療院に移行したわけだが、診療所については3割強の減少(2,554床→1,642床)にとどまり、減少した913床のうち介護医療院に転換していた病床は5割に満たず、病院に比べると移行は進んでいないことも明らかになっている。

 それでも介護療養病床全体で見ると、一度目の廃止延長の措置が取られた2012年4月当時と比べると介護療養病床は5万6千床が減少、さらに療養病床の再編が始まった(=介護療養病床廃止が決まった)2006年4月と比べると10万床強が減少した。

 

 都道府県の開設状況については、2020年3月末には開設0施設の県(宮城県)があったが6月末には解消され、介護医療院がない都道府県はなくなった(※2)。

 

 「移行定着支援加算」の算定開始がラストチャンスだった2020年3~6月に一気に約千床増えたという背景がある。残る病院の介護療養病床は1万5,973床であるが、このうち都道府県別で最も多くを占めているのが東京都(1,862床)でもある。

 一方で少ない県は、山梨県(1施設・114床)、岩手県(2施設・74床)、山形県(3施設・61床)などとなっている。

 介護医療院は、長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ要介護高齢者を対象として、以下の条件を兼ね備えた施設と位置付けられている。

 

 「日常的な医学管理」

 「看取りやターミナルケア」等の医療機能

         +

 「生活施設」としての機能

 

 日本介護医療院協会2020年度調査(2020年8月実施、143施設[9,688床]回答)によると、入所者の平均要介護度は4.24と要介護度は高く、医療行為は包括評価となっているが頻回に実施されていた。

 また、「死亡退所」が47.4%、特にI型では半数以上が死亡退所になっており、ターミナルの機能を担っていることがうかがえた。いわゆるACP(アドバンスド・ケア・プランニング)の開催状況については83.2%の施設で、平均23.5回開催されていた。ただし、本人が参加してのACP実施は平均2.6回にとどまる。

 

 介護医療院での介護保険算定単価(1人/日)については1万5,212円。収益上よかったかとの設問に「よかった」と回答した施設が60%、「変わらず」は23%だった。しかし、2021年度改定の新たな介護報酬が決まり、介護医療院については増点が図られたが、ボーナス得点の移行定着支援加算は廃止となっており、今後の経営動向が注視される。

 (参考:(公社)日本医業経営コンサルタント協会 JAHMC 3月号20~22頁

 鈴木 龍太郎氏(日本介護医療院協会会長ご講演「介護医療院の現状と日本介護医療院協会調査2020年度調査」を元に構成)

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 コメントを紹介したい。

 

〇老人保健課長:2023年度末の介護療養病床の経過措置期限に備え、早い段階から計画的な対応を強調

 3月9日、オンラインで開催された令和2年度全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議で真鍋 馨老人保健課長は、「2023年度(令和5年度)末の介護療養病床の経過措置期限まで約3年が残されているが、多数の申請に対応するには時間がかかること、補助金の使用を希望する事業者が急増すると補助金の確保が困難になる」と指摘し、早い段階から計画的に移行するよう、都道府県と事業者が相談することが望ましいとの考えを示した。

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 当時の老健課長によれば、移行してもらいたいのは本音のところであるが、しかし財源の問題もあるので、そちらは都道府県とよく相談をしてくださいね、ということだろう。

 

 では都道府県の思いはどうだろうか。

 

〇介護医療院への転換、医療保険の出費を介護保険に回しているだけではないか

 介護医療院への転換によるデメリットとして、従来の療養病床では医療費として扱われていた入院費用が、介護医療院では介護保険によって支払われること、つまり、市区町村など介護保険の保険者となっている地方自治体がある程度医療費を肩代わりする構図が生まれることになる。社保審介護保険部会の中で介護医療院の普及を進める方針が示された際には、肯定的な意見がある一方で、全国市長会や全国町村会の代表委員から、「医療保険の出費を介護保険に回しているだけではないか」などと、介護保険の財政負担増加の可能性を指摘した意見が出された。

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 ある意味、当然のコメントである。

 

 先ほどもご紹介したが、日本介護医療院協会 鈴木会長のコメントも紹介したい。

 

〇鈴木会長:経営調査で移行前より6割が収益増。比較的良い数字

 日本介護医療院協会の鈴木龍太会長は、介護医療院への移行による経営への影響や今後の課題などについて396施設を対象に昨年8月に実施した同協会調査結果について、移行前よりも「収益が増えた」が59.6%、「変わらず」は22.8%だったことを明らかにし、鈴木会長は「比較的良い数字になっていると思う」と評価した。調査結果では、介護医療院の開設によるメリットについて、移行定着支援加算や助成金、収益増加などの回答が多かった。

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 介護医療院の点数設定については、筆者はおおむね好意的に受け止められていると考えているが、同協会の調査委においても、ある程度満足した結果が現れていると言えるだろう。

 

 実際に介護医療院に転換された施設からのコメントを紹介したい。

 

〇病床稼働率低下を背景に、医療療養病棟の一部を介護医療院に移行

 2020年12月にオンラインで開催された第3回介護医療院セミナーで講演した山梨県甲府市の城東病院(医療療養病床120床・介護医療院114床)の佐藤仁美院長は、2018年と2019年に医療療養病棟の一部を介護医療院に移行した背景として、「医療区分2、同3の割合を80%以上維持しようとすると、医療療養病棟の稼働率が下がる。2010年に95%以上だったのが、85%を切るようになった」と、病床稼働率低下をあげた。

 

〇介護療養型老健施設からⅠ型介護医療院サービス費Ⅱに移行したが、収益は安定できず

 同じく第3回介護医療院セミナーで、介護療養型老人保健施設からⅠ型介護医療院サービス費Ⅱに移行した静岡県の医療法人社団和恵会の猿原大和理事長は、「Ⅰ型介護医療院サービス費Ⅱになれば、療養強化型老人保健施設より月76万590円報酬が多くなると予測していた。しかし実際は、ターミナルケア患者を多く受け入れるようになり退所が増え、空床が多くなり入所稼働率が低下、移行前より収益が安定しなくなった」ことを明らかにした。

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 全ての施設が上手くいくとは限らないが、終末期医療に力を入れているゆえの稼働率低下に対する対策は、その取り組みの意義からも、いずれ何らかの手当がなされることを願いたい。

 

 介護医療院については、転換を肯定的に受け止めるコメントが多いと感じるが、そのネーミングの時からも多くの配慮が垣間見えた。それがここへ来てより顕著になったような気がする。

 

〇一般病床からの移行は空床対策に有効

 第3回介護医療院セミナーで、日本介護医療院協会副会長の進藤 晃氏(東京都西多摩郡 大久野病院理事長/158床:回復期リハ病棟50床・医療療養病床50床・介護医療院58床)は、介護医療院への移行について、①介護療養型医療施設・ユニット型介護療養型医療施設・介護療養型老健施設・医療療養型Ⅱ経過措置20:1以下からの移行が適している、②医療療養型Ⅰは、自院の機能によって検討する、③一般病床は、今後移行が可能となり、空床対策には極めて有効である-との考えを示した。

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 介護医療院セミナーなので、後押しするコメントが多いのは当然だろうが、しかし話の背景に納得感がある

 

 さらにはこんなコメントも。

 

〇介護医療院への移行に係る収支シミュレーションツール

 独立行政法人福祉医療機構(WAM)は、介護医療院への移行に経営上の不安を抱えている施設のために、介護医療院に転換した場合の施設経営についてシミュレートすることができる「介護医療院への移行に係る収支シミュレーションツール」を作成し、配布している。病棟や要介護度別の利用者数について、詳細に設定して収支の計算ができるほか、利用者向けの負担額の変化についてもシミュレートすることが可能なツールである。

介護医療院への移行に係る収支シミュレーションツール運用マニュアル

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 非常に分かり易くまとめられたマニュアルである。ご一読いただければ、移行支援に関して多くのバックアップが存在していることをお感じいただけるだろう。

 

 さらに財政面の支援も。

 

〇福祉医療機構:介護医療院への移行のための融資制度

 福祉医療機構(WAM)では、介護医療院への移行を支援するため、介護医療院への転換に必要な建築資金等の融資制度を設けている。また、都道府県の地域ケア体制整備構想に沿って、病院又は診療所から介護医療院等への移行を行う場合には、療養病床整備時に民間金融機関から借入れている債務の償還負担軽減又は移行計画遂行のために一時的に必要な運転資金の融資や、WAMの既往貸付金について償還期間を延長する支援策を講じている。

 (WAM経営サポート事業 介護医療院

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 建築資金は 12億円以内、土地取得資金 3億円以内までは融資制度の活用も可能だ。

 

 ご利用者はどう考えているだろうか。

 

〇介護医療院には医師が常駐しているから安心

 介護医療院は、長期にわたり療養が必要な要介護者に対して、「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能とを兼ね備えた介護保険施設である。特に、看取りやターミナルケアに対応し、医師が常駐しており、重症な入所者を対象とする介護医療院には当直医がおり、安心だ。

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 とても好意的に受け止めておられると感じる。

 

 おわりに、こんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

〇認知症専門の介護医療院設置を提案

 高齢者が急増する中で、認知症患者も急激な勢いで増加している。認知症の進行した患者は、精神科病院を中心に長期入院しており、基本的に「認知症は精神科で診るべき」との考えはあると思う。しかし、高齢の認知症患者は認知症だけでなく様々な身体合併症を抱えていることが多く、精神科の専門医だけではなかなか対応が厳しい事例がみられる。今後、精神疾患を有する入院患者数は減少すると予測され、空いた精神病床を活用して、認知症専門の介護医療院で認知症患者を精神科の医師と慢性期の総合診療医で対応できるようになれば、2025年には700万人を突破し、65歳以上の5人に1人が認知症になる時代に、より手厚い認知症に対する支援ができるのではないか。

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 認知症。少子高齢化社会を迎える我が国において、もう一つ忘れてはならないテーマである。

 介護医療院に対する期待は、財源論の問題はあるものの、国からも、利用者からも大きい。そのことが実感できる話題であった。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 (※2)…療養床が多いのは、京都府(17施設・2,340床)、福岡県(38施設・2,390床)、静岡県(21施設・1,854床)、山口県(23施設・1,685床)、広島県(21施設・1,685床)などで、高知県(27施設・1,614床)と東京都(16施設・1,496床)、も多いが、先述した「移行定着支援加算」の算定開始がラストチャンスだった2020年3~6月に一気に約千床増えたという背景がある(高知県674→1,614床、東京都510→1,496床)。また、北海道は2020年3月~12月で800床増えていた。なお、残る病院の介護療養病床は1万5,973床であるが、このうち都道府県別で最も多くを占めているのが東京都(1,862床)でもある。

 一方で少ない県は、山梨県(1施設・114床)、岩手県(2施設・74床)、山形県(3施設・61床)などとなっている。

<鈴木 龍太郎氏ご講演>

 

 

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