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短信:自家細胞投与による小児先天性単心室症治療

2025年04月15日

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自家細胞投与による小児先天性単心室症治療

 

 日本小児循環器学会によると、単心室症とは4つある心臓の部屋の内、右心室と左心室の区別がなく心室が1つになっている病気とされている。小児単心室症は先天性心疾患の約1.5%を占め、約10,000人に1人の頻度で起こる病気である。心室のあいだの壁がないため心室内で静脈血と動脈血が混ざり、静脈血が混ざった血液が体に流れる。主な症状として、チアノーゼ(血液中の酸素不足が原因で唇や指先の粘膜が青紫色に変化する症状)が起こる。チアノーゼ症状を放置しておくと、息切れや腎臓の障害、脳梗塞等を発症するリスクが高まるため、チアノーゼを無くすことが単心室症の手術の目標の1つとされている。一般的に小児単心室症の手術として、生後3か月から半年にかけて、全身に行く動脈と肺動脈を人工血管で繋ぐシャント手術、元々ある肺動脈の太さを調節する主肺動脈絞扼(バンディング)手術といった方法が採られる。しかし、生後直後に受ける心臓手術から6年間で心不全死や心臓移植を回避出来る頻度は約60%程度となっている。さらに、日常生活には活動制限があり、さまざまな合併症の発症心不全による入院の繰り返しが患者本人を含めご両親にとっても大きな負担になるなど課題とされている。

 岡山大学病院新医療研究開発センター再生医療部の王英正教授と同大学病院小児科の平井健太研究准教授ならびに国内7施設の共同研究グループは、予後不良とされている小児単心室症に対して、細胞移植を併用することで、有意な生命の延伸効果があることを突き止めた。これらの研究成果は11月11日、米国の心臓病学会雑誌「Journal of the American Heart Association」のOriginal Research電子版として掲載された。

 岡山大学病院では、2011~2015 年まで小児単心室症に対する細胞治療法の開発として、これまでに合計 40 人の患者に自分の心臓内に存在する幹細胞を培養し移植する治療を行ってきた。同時期に細胞移植を受けられなかった53人の単心室症患者と比較して今回、2015年に最後の細胞移植を受けた患者さんから8年間経過した現在までの予後を国内8施設で追跡調査し、細胞治療法の長期における臨床的有用性についての解析をおこなった。その結果、細胞移植群は心臓手術単独群に比べ、心不全の発症を避けることができる確率が高く、術後のさまざまな合併症が起こる頻度も明らかに低いことが分かった。また、患者の生命予後を追跡すると、術後4年目までは細胞治療を受けた全ての患者さんにおいて生存率が高く、特に心臓駆出率が50%以下と心臓機能が悪い症例においては、細胞治療を受けることによって心臓手術単独群に比べ、8 年間以上にわたって、術後生存率が有意に高いことが明らかとなった。

 重症度が高い小児心不全は心臓移植が適応となるが、国内での臓器提供者数が少ないため、海外での移植を選択される患者も少なくない。今回の研究成果により、心臓機能が悪い症例においては、8年間以上持続する細胞治療法による生命延伸効果が明らかとなり、新たな小児先天性心疾患治療の選択肢として期待されている。

 

小児先天性心疾患に対する細胞治療法の8年経過予後を解明〜増えぬ小児臓器移植の現状を打破する新たな治療戦略〜

https://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id1299.html

 

日本小児循環器学会「単心室症」

https://www.heart-manabu.jp/sv

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