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短信:漢方診療の実態と将来課題

2025年02月17日

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漢方診療の実態と将来課題

 

 我々が日常的に接している医療は西洋医学に根差したもので、患者が感じる不調や種々の検査法で特徴付けられる症状を分類・命名し、これに対して内科的・外科的な治療を行ってくものである。これに対して漢方では病気をみるのではなく、患者の今の体調や、もともとの体質、なぜそうなったかの病因などを総合的に分析して治療を行うという特徴がある。そのために用いられるものさし(判断基準)は「証(しょう)」と呼ばれ、漢方診療の重要な概念となっている。証には、体質や体力の観点から、「陰証と陽証」「表証と裏証」「寒証と熱証」「気虚証・瘀血証・水毒証」など様々な切り口がるが、なかでもよく用いられるのが「虚証と実証」である。これは外見や体力をあらわすもので、証の基本となる。西洋医学では異なる病名が付される場合でも、漢方診療においては患者の証が一致していれば同じ処方をすることが少なくない。現在、伝統医学である漢方医学は様々な臨床現場で用いられているが、医療現場を担う医師の大半は漢方医学教育の機会に恵まれておらず、漢方医学の考え方に則った診療の実施状況も把握されていなかった。

 臨床現場における漢方診療の実態を正確に把握するため、東海大学医学部医学科専門診療学系漢方医学の野上達也准教授を代表とする共同研究グループは、国内の医師685人を対象とした漢方医学に関するオンライン調査を実施した。その結果、回答者から初期臨床研修医を除いた652人のうち86.7%にあたる565人の医師が日常診療に漢方薬を活用している実態が明らかになった。さらに現在漢方薬を処方する565人の回答者を対象に、漢方薬の具体的な使用状況について質問したところ、多くの医師は約8~9種類の漢方薬を使用していることが判明した。漢方薬を処方する理由としては、「西洋薬治療で効果がなかった症例で漢方治療により効果が認められたから」と「患者さんの要望があったから」が多い結果となった。漢方薬を活用する疾患や症状として多かったのは、「筋けいれん」「便秘」「不定愁訴(MUS)」「更年期障害」「食欲不振」「栄養失調」「倦怠感」などであった。一方で同様の565人の回答者を対象に、漢方薬を処方する時の診断について質問したところ、約半数の医師は漢方医学的診断(証)を考慮せず、西洋医学診断のみを根拠に漢方薬を処方していることが判明した。また回答者の中からは証を考慮しない漢方診療によって、「十分な治療効果が期待できない」「患者の治療満足度が上がらない」といった弊害の懸念も寄せられた。

 本調査結果は、国内における漢方薬の高い普及率を証明した一方、漢方医学的診断(証)を根拠とする漢方薬の利用については、向上の必要性が明らかとなった。漢方医学の更なる発展のため、証を考慮した漢方薬の利用を促進する研究・施策が期待される。

 

漢方Q&A - その他⑤漢方でよく言う「証(しょう)」とは? | 日本臨床漢方医会

【研究発表】 国内の漢方診療の実態と将来的課題 調査結果まとまる ~日常診療に漢方薬を活用している医師は8割以上に~|ニュース|学校法人東海大学

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