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No.786 タイパ・コスパ重視の若手医師の「直美(ちょくび)」志向、厚労省審議会も問題視

2024年12月16日

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◇「タイパ・コスパ重視の若手医師の「直美(ちょくび)」志向、厚労省審議会も問題視」から読みとれるもの

・年間373.2万回の美容医療施術数、相談件数も5507件に急増

・若手の美容外科医、初期研修修了後従事する「直美」が増加

・美容医療、年1回実態の定期報告義務導入へ

 

■年間373.2万回に達した美容医療施術数、相談件数も急増

 美容医療については近年、施術の幅が広がると共に心理的ハードルも低くなり、比較的侵襲性の低い施術を中心に広く国民の需要が高まり、2019年度の123.0万回から 2020年度には373.2万回に達した。特に、「注入剤」(ボツリヌス菌毒素、ヒアルロン酸等)、「顔面若返り」(ケミカルピール、光若返り等)、「その他」(脱毛、硬化療法等)など 非外科的手技による施術数の増加がみられる(図4 美容医療の施術数①美容医療の施術数の推移)。美容医療を提供する医療機関も増加、美容外科を標榜する診療所 は、医療法人や個人が開設する診療所が多くを占め、2008年度の983施設から2020年度には1404施設とへ増加している。

 

図4 美容医療の施術数①美容医療の施術数の推移

 

 美容医療施術数の急増に伴い、医療サービスに関する相談件数は年々増加し、中でも美容医療に関する相談件数2018年度の1741件から2023年度には5507件に急増。美容医療に関する相談件数の増加に伴い 「危害」と登録された相談件数も年々増加し、2018年度の394件から2023年度は796件に倍増した(図5 美容医療のうち「危害」に関連する相談件数)。

 

図5 美容医療のうち「危害」に関連する相談件数

 

 美容医療の利用件数の増加に伴い、利用者による相談件数や危害事例も増加していることを受け、厚労省は「美容医療の適切な実施に関する検討会」を設置、美容医療に関する被害を防止し、質の高い医療の提供を行うために、どのようなことが考えられるか検討を行った。同省は11月14日の会合で、過去3回の議論を踏まえ、 美容医療を行う医療機関を対象に年1回の定期報告を求めることなどを盛り込んだ報告書案を提示。委員からは様々な意見が出たが異論はなく、同日の意見を踏まえ、座長一任で修文の上、報告書を取りまとめ、年内にも医療部会に報告、今後法改正も視野に入れることになった。

 

■若手を中心に美容医療の道に進む医師が増加、診療所の美容外科医は1230人

 美容医療の市場規模の拡大に伴い、診療所において主に「美容外科」「形成外科」「皮膚科」に従事する医師の数は一貫して増加し、2022年度医師・歯科医師・薬剤師調査によると、診療所の美容外科医は1230人になった。 2008年と比べて、診療所において主に「美容外科」に従事する医師は3倍以上に増加。「形成外科」に従事する医師は約2倍に増加した(図6 美容医療に関連する医師数②)。

 

図6 美容医療に関連する医師数②

 

 特に、若手を中心に美容医療の道に進む医師が増加。診療所において主に「皮膚科」「美容外科」「形成外科」に従事する医師は、医師全体に比べて、30代以下の医師が占める割合が多い。特に 「美容外科」については、近年、20代及び30代の医師数の占める割合が増加、診療所で美容医療に関連する診療科(美容外科、形成外科、皮膚科)に従事する医師数を2022年と2012年で比較すると、20代及び30代の医師数の占める割合が増加している (図7 美容医療に関連する医師数③年齢階級別割合)。

 

図7 美容医療に関連する医師数③年齢階級別割合

 

 このような初期研修修了後すぐに美容クリニックに就職する「直美(ちょくび)」といわれる医師は年間200人を超えるとも言われている。診療科選択で内科は微減で、外科は4割減っているのとは対照的だ。SNSなどできらびやかなライフスタイルが喧伝され、高収入のイメージが先行する美容医療の世界。 「直美(ちょくび)」といわれ、臨床研修を終えた直後から、一般的な医療機関で働かず、美容医療のクリニックで働き始める若手医師について、厚労省の審議会でも問題視されている。

 

■美容医療を行う医療機関を対象に年1回の定期報告、法改正も視野

 厚労省の社会保障審議会医療部会は10月30日、同省から「美容医療の適切な実施に関する検討会」での検討状況について報告を受けて議論。「美容医療による合併症を保険診療が後始末」など、委員からは 自由診療の美容医療で合併症が起きた場合の治療を医療機関が行わざるを得ないことや、それが保険診療で行われている疑いの他、年に「大学一つ分」は医師が美容医療に流れることによる医師需給への悪影響など、様々な懸念が示された。

 

 自由診療で行われる美容医療について、不適切な事例に対する対応や、質の高い医療機関が患者に選ばれるための取り組みについて検討してきた厚労省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」(座長:小野太一・政策研究大学院大学政策研究科教授)は11月14日4回目の会合を開き、 「美容医療を行う医療機関を対象に年1回の定期報告を求める」ことなどを盛り込んだ厚労省報告書案の提示を受けた。委員からは診療録記載の徹底を求めるなど、様々な意見が出たが異論はなく、同日の意見を踏まえ、座長一任で修文の上、報告書を取りまとめ、年内にも社会保障審議会医療部会に報告、 今後法改正も視野に入れることになった(図8 美容医療の適切な実施に関する報告書(案)の概要)。

 

図8 美容医療の適切な実施に関する報告書(案)の概要

 

 検討会の議論では、美容医療機関の体制などについて「院内の安全管理の実施状況などを保健所が把握できていない」「患者側も医療機関の状況、体制を知る手段がなく、相談窓口を知らない」などの問題点があげられていた。これらの問題を解決するため、報告書案は、 (1)適切な美容医療が安全に提供されるようにするための対応策、(2)美容医療の質をより高め、質の高い医療機関が患者に選ばれるようにするための対応策-の2つの柱からなる。

 (1)では、医療機関の管理者を対象に、安全管理措置の実施状況や医師の専門医資格の有無、副作用や合併症などの問題が起こった場合の患者が相談できる連絡先などについて、年に1度定期的な報告を求め、都道府県などで公表する対応策 を盛り込んだ。また(2)では、対応策の一つとして今後美容医療の関係学会や日本医師会、日本歯科医師会などが中心となり新たなガイドラインを策定する方針で、医事法制や消費者保護法制などの遵守すべき関係法令、標準的な治療内容・手技、医師数や経歴・専門性、副作用や後遺症に関するリスクの説明方法などの内容を盛り込むとした。

 

 

 


 

 美しさの基準が時代によって異なるのは、歴史的にも判明している。現代の「美」には痩身に重きが置かれる傾向がありそうだが、平安時代の日本は「ふくよかな」女性の方が美しい とされていたという。今よりもろもろが不足していたと思しき時代、「食べる」ことができるというのは、それはそれで恵まれたことであり、そこからもたらされる ふくよかさ が美しいとされたのは、一種の社会的なステータスの要素も関係していたのではなかろうか。

 春秋戦国時代の中国も、痩身よりも ふくよかさ の方に「美」の重点が置かれていたようだ。三国志における絶世の美女、「貂蝉(ちょうせん)」も、現代においては痩身で描かれることが多いが、現実には案外「ふくよか」な女性であったのかもしれない。

 美の基準はともかく、男女を問わず「美しくありたい」というのは人類の永遠のテーマであるのかもしれない。

 

 医療保険制度において健康保険が使用できるのは

社会保険においては

 業務外の理由での疾病・負傷・異常分娩に関して給付(業務上の理由は労災保険)

国民健康保険においては

 業務外、内の区別なく疾病・負傷・異常分娩に関して給付

される。

 

保険診療外の例としては

 ・美容整形

 ・単なる疲労や倦怠

 ・健康診断、人間ドック

 ・正常分娩

 ・予防接種

 ・経済面を理由とした妊娠中絶

が挙げられる。

 

以下、WMN10月号

厚労省「近未来健康活躍社会戦略」公表、

医師偏在対策、医療・介護DXなどを強力に推進(https://www.watakyu.jp/medicalnews/5336/

の ひとりごと 後段を再掲する。医師偏在対策についての記述だ。

 

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〇規制的手法は「医師が他産業に流れてしまう」リスク

 若手医師をターゲットにした対策は限界にきている。「規制的手法は『医師が他産業に流れてしまう』リスクもある。インセンティブをメインにした偏在対策を考えるべき


 「医師偏在対策待ったなし」を謳った、前 武見厚労相の考えは、新 福岡大臣にも継承されるのだろうか?それはそうだろうな。厚労省のお役人の面々は変わっていないのだから…。

 

 最後に、これも深刻な問題となりつつある医師偏在について、こんなコメントを紹介して締めくくりとしたい。

 

〇ある患者:美容外科に進む若手医師が増えている。診療科間の偏在が問題

 テレビCMや駅の看板で目立つのが、「美容外科」の宣伝。それも院長は若手医師が多いように感じる。手っ取り早く「稼げる」のが、美容外科なのか。「美容外科」に進む医師が20代、30代で増加しているらしい。医師偏在以上に診療科間の偏在が問題だ。


 なるほど。今や美容医療のCMや広告が目に入らない日はない。

 

 去る10月2日(水)東京 日本教育会館 一橋ホールで第34回「国民の健康会議」が開催された。

第1部は各界報告、

在宅医療・総合診療医

患者給食の現状

ある自治体病院の現状

医薬品供給の現状と見通し

 

第2部は総合討論、登壇者は

 横倉 義武氏(日本医師会 名誉会長)

 山口 育子氏(認定NPO法人 ささえあい医療人権センターCOML理事長)

 邉見 公雄氏((一社)全国公私病院連盟 会長)

 司会:行天 良雄氏(医事評論家)

であった。

 …(中略)…

 

 また、先の美容医療についても問題提起があった。

近年、美容医療に関わる医師数が800人増えたのだそうだが、そのうち500人が20~30代の年代の医者であるという。折角、一人の医師を育てるために長い年月とお金が投入されたのに、投入された税金の無駄遣いではないか?という意見だ(※2)。美容医療による医師の偏在も新たな課題として認識する必要がある。

 今に始まった議論ではないくらい根の深い「医師の偏在」問題。「近未来健康活躍社会戦略」で「強力に推進」すると掲げられた「実効的な医師配置」。

どのようなもので、果たしてその推進力とはどれくらい「強力」なのか?

それこそが肝心だ。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※2)…

ところがこちらの医師の偏在問題については、財務省による指摘は全くないのだそうだ。なぜなら、美容医療には殆ど保険財源は費やされないから。財務官僚は、むしろニコニコなのだという。なんだかなぁ。

<WMN事務局>

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 もう書くことがないくらい、今回のテーマタイパ・コスパ重視の若手医師の『直美(ちょくび)』志向」にぴったりの内容だ。

 今回はもうこれで締めくくりとしたい…

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 



 

 というわけにはいかないか。

 「タイパ

 タイムパフォーマンスの略である。企業活動でよく言われる、「費用対効果」という用語より、おそらく若者には浸透している言葉だ。

 時間を効果的に使おうとする人がよく使う言葉・考え方 のことらしい。

 一時紙面を賑わせた、映画を超最短で編集して視聴者にその映画を観た気分にさせる「ファスト映画(民事・刑事罰の対象)」はその象徴の一つだ(※3)。

 

 筆者がカラオケに行った際は、最近はタイパに気を遣わざるを得ない。なので、あまり長い曲を入れないようにしているのだが、筆者の歌う歌まで勝手にリクエストする知り合いがいるので困ったものだ。そういうリクエスト曲に限って平成初期のヒット曲で(要するに筆者の好んで歌う曲はそんな時代の曲なのである)、間奏がとても長かったり(60秒以上!)、5分以上かかる曲もざらにあり、タイパ重視の世代からは顰蹙をかってしまいかねない。「親父の一番長い日 12分30秒(さだ まさし)」とか、「トイレの神様 9分52秒(植村 花菜)」とかは、長い曲の代名詞だ(その2曲を筆者が歌っているのではない)。時代の流れで「ザ・ベスト10」のような1時間の歌番組がテレビから消えた行ったのは、1曲当たりの時間が長い曲が増え、週間のベスト10曲すべてを紹介しているとCMも入れるともはや1時間枠に収まらなくなってしまったのも理由の一つだとも聞く。

 

 カラオケの話ではない。

「タイパ」である。「番組」という一つの、いわば「作品」を作っていく上で、作品をトータルで考え、一曲当たりの所要時間も一定の規格内に収めた方がもろもろ管理しやすいし、皆が「タイパ」を重視しているという前提で考えた方が、時間的安心感(?)も湧くのかもしれない。

 

 比較的低侵襲の施術、美容、形成、皮膚科(美白?)など、受ける側にとって必ずしも「美しくありたい」だけが理由ではないのだろうが、健康保険が使えない前提でも自ら受けようとする患者(と呼称して良いのか?)が増えている現在、そこは若者が多いとして、その提供側に行こうとする医師も若者なら、「タイパ」重視が根底にあるのだろうか?その「タイパ」の意図するところは、その収入面にあるのだろうか?(拘束時間に比して実入りが多い、と思われがち?)

 

 コメントを紹介したい。

〇医事課長:国内の美容医療の内容の透明化

 社保審医療部会で厚労省医政局の西嶋康浩医事課長は、「外国で美容医療を受けて帰国した後に何らかの症状が出て日本で医療機関にかかっても、どういう手技をされたかわからず対応できない事例の報告もある」と指摘。国内の美容医療の内容の透明化を図り、「正しく利用者が選択できる環境を整備することが必要だ」との考えを示した。


 なるほど。医療保険制度の前提がある以上、これは「論点のすり替え」とは言わないのだろう。日本で受けられないから海外で美容医療を受ける。それで問題があった時に、今度は保険診療として保険財源を使ってもらうのは如何か?というわけだ。

 ということは、外国で、例えば心臓血管外科などの先進医療を受け、見事成功して無事帰国後、急変して地元(若しくは都道府県の3次医療機関を受診したとしても、このように問題視されてきたのだろうか。筆者だけなのかもしれないが、あまり記憶がない。

 

 今度はこんなコメントを。

〇「自由診療の後始末を保険診療でやり保険財政を圧迫するのはおかしい」

 医療部会で全日本病院協会の神野正博副会長は、合併症の対応について、「本当に保険診療をしていないかは押さえる必要がある。自由診療の後始末を保険診療でやって保険財政を圧迫するのはおかしい」と強調。

 

〇医師養成に公的資金には使われている。営利目的で医師をやることには規制が必要だ

 医療DX部会で泉 並木日本病院会副会長は、外科系の医師や看護師を病院で確保することが難しくなっている理由の一つに美容医療への流出があると指摘。「医師損害賠償保険の適用基準を高くするなどの方策を検討できないか。大学の医師養成に公的資金が使われているので、営利目的で医師をやることには規制が必要だ」と指摘した。

 

〇100人単位だと大学一つ分で、医師需給の問題だ

 近年は1年に100人単位で美容外科診療所の従事医師数が増えていることについて、加納繁照日本医療法人協会会長は、「100人単位だと大学一つ分で、医師需給の問題だ。厚労省はしっかり考えているか」と質した。


 医療も科学だ。どのようにアプローチしたかの理屈が分からなければ、その原因特定と治療(原因の除去?)も叶わない。確かにそうだ。

 人類にとっての強敵、ゴジラ(映画「シン・ゴジラ」や「ゴジラ-1.0」)でも、最初はそうかもしれないが、ただ闇雲に立ち向かうのではなく、科学的に分析されたゴジラの発生要因を根拠として対処法が立案され、人類の敵に向かって力を結集して立ち向かい、しばらくは歴史からご退場いただく。そう、科学によって人類は飛躍的な発展を遂げてきたのである。

 科学には理屈があるのだ。

 

 財務省のコメントだ。

〇特定診療科での医療サービスが過剰と判断される場合、「特定過剰サービス」として減算対象

 地域間や診療科間で生じている医師の偏在を是正するため、財務省は2024年11月13日の財政制度等審議会・財政制度分科会で、医療サービスの過剰地域における保険医の数を制限することに加え、ある地域で特定の診療科での医療サービスが過剰と判断される場合に「特定過剰サービス」として減算対象とすることなどを盛り込んだ改革案を公表した。診療科間では若手医師から産科、小児科、救急科が敬遠される一方、皮膚科、眼科などに医師が集まりやすいことなども影響して診療科間でも偏在が生じている状態で、今後、美容外科についても論議されるか注目される。


 リプライ(WMN10月号のコメント抜粋をもう一度リプライ)。

 

 ところがこちらの医師の偏在問題(直美)については、財務省による指摘は全くないのだそうだ。なぜなら、美容医療には殆ど保険財源は費やされないから。財務官僚は、むしろニコニコなのだという。なんだかなぁ。

 

 つまり、保険財源を使うことに議論が発展してしまうような議論になると、モノ申さなければならなくなるので「注目」されるということか?少しうがった見方をしてしまった。

 

 医師のコメントだ。

【保険診療医】

〇過酷な保険診療に尽力する医師の処遇が改善されなければ、「直美」等への医師流出には歯止めがかからない

 大学病院、市中核病院、救急医療、ER当直業務を含めて、過酷な保険診療に尽力する医師の処遇が改善されなければ、「直美」等への医師流出には歯止めがかからない、根本的な解決には至らない。

 

〇「慶應義塾大学病院で研修」と肩書に利用する美容外科医

 慶應義塾大学病院の形成外科医。形成外科の入局後数カ月で慶応大の医局を辞め、堂々と経歴に「慶應義塾大学病院で研修」などと書く美容外科医も少数ながらいる。「肩書に利用されている」となげく。

 

〇多大に税金を使っている。原則、保険医療に従事すべき

 医師は卒業までに他の学部より多大に税金を使っている。原則、保険医療に従事すべき。

 

【(先輩の)美容医】

〇合併症を診ない、診られない医者は、責任をもって医療機関へ紹介すべき

 皮膚科・美容外科開業医。責任感のない美容外科医が増えることには問題がある。自分で医療行為をしたのに合併症を診ない、診られない医者は、責任をもって医療機関へ紹介すべきだ。

 

〇保険診療をマスターした上で美容医外科医になればいい

 形成外科の研修医。保険診療をマスターした上で、美容医外科医になればいいと思う。そもそも研修期間中は知識だけではなく、医師の倫理観育成のために必要な期間であり、医師の価値観や倫理観が形成される大事な時期を、初期研修修了後すぐに美容外科に所属することによって失っていると思う。

 

〇需要があるところに人や金は動く、当然の帰結

 美容医療は伸び続けると思う。需要があるところに人や金は動く、当然の帰結だと思う。


 いつだっただろう?

 ♪「職業選択の自由 アハハーン」という、転職雑誌(?)のCMが流れ出した頃。終身雇用を前提とした日本企業の経営形態が主流とされ、もちろん無いわけではなかったのだろうが、「転職」することが「色めがね」で見られてしまいかねないような時代(「外様」扱いのような)、「転職」という行為が、そのCMを契機に、いわば世の中から肯定的に受け止められるようなムーブメントを起こしたきっかけではなかったか(現在は転職を推進するような風潮のCMの方が多いような気がする)。

 

 最後のコメント「需要があるところに人や金は動く、当然の帰結だ」というのも、ある意味納得せざるを得ないのだが、保険医側も、美容医側も、 近年の「直美傾向に対しては問題意識をお持ちのようだ。

 仮に「保険診療をマスター」した上での美容医外科医になるのであれば、医師免許取得・初期研修修了後、通算して保険医療機関での勤務を例えば10年以上経験、というのであれば、30代中盤の医師が美容医に行く権利を行使できるとか、いわばプロ野球のF.A.制みたいなものか?

でも、そう言ってしまうと美容医の方がなんだか上位の存在のように捉えられかねないのでよろしくないか…。

 それよりも奨学金を返済しないでよいようにするため、奨学金を受けた医療機関に最低でも3年間は勤めるという、看護師のいわゆるお礼奉公的な、医師を育てるためにかかった税負担分の一定額を設定し、それを返済し(お礼奉公)、完済した後は保険医から独立しても良い、とか。これはこれで波紋を呼びそうだ。

あくまで ひとりごと である(☆)。

 また、今回の問題とは少し異なるが、若くして勤務医をやめ開業医を目指すことについても、話題となってしまっており、そこから自由開業医制の問題、医師の偏在問題へと続く、本来は本丸の問題があるのだが、ここへ来て美容医療が注目されることになろうとは…。

 

(☆)…

今月号のひとりごとを書き終えた後、12月5日の新聞で、「美容医療 開業規制 5年の保険診療を条件に」見出しが出ていた。美容医療業界の直美に関する問題意識の高さを物語っていると言えるが、では、医師の偏在問題は、何十年も前から問題意識が高かった割に、今なお「待ったなし」とか言われているのだ。直美の問題はここ数年の話だ。美容医療業界の政界とのつながり(ステークホルダーが如何に少なかったか)が、いかに はかない ものだったのか、容易に想像できようというものだ。

 

 次のコメントだ。

〇モラルを逸脱しているドクターは、先生方が想像する以上に増えている

 6月27日の厚労省「美容医療の適切な実施に関する検討会」の初会合で、共立美容外科を全国で26院展開する医療法人美人会共立美容外科理事長の久次米秋人氏は、「問題は医師のモラル。ここを何とかしない限りは多分、前には進まない。モラルを逸脱しているドクターは、先生方が想像する以上に増えていると思う」と危機感を明らかにした。

 

〇問題多い美容医療のアルバイト

 美容医療へのスポットバイトは多く、関連の専門医以外でも可という募集もある。この現状が是正されない限り、トラブルは減らない。


 美川憲一出演のCMの歌が頭の中でこだまする。

 確かに医師免許には専門医を除けば、取得した以上診療科は問われていないからなぁ。医師免許は「医師免許」なのである。

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

〇美容医療のオーナーは医師がやるべき

 ここ数年、美容外科業界で「医師ではない経営者」が増加しており、それに伴って開業詐欺や悪質なコンサルタントによるトラブルも増加している。特に、美容外科は他の医療分野と比べて自由診療が多く、経営的な側面が強調されがち。そのため、医師自身がビジネスの知識に乏しいことを逆手に取って、不正行為を行うケースが見られる。美容医療は自由診療と言えど、結局は医療行為。万が一の場合の合併症のリスクなどにもキチンと対応できることも必要だし、オーナーは医師がやるべきである。


 このあたり、もう何が正しいのか分からなくなってしまう。真っ当なご意見に聞こえなくもないが、医師だろうが医師免許を持っていなかろうが、「医療が生業であり」当然社会的責任がある、という自覚を持った経営者であれば、筆者は医師であるかどうかは問題ではないとも考えてしまうが、果たして読者諸氏におかれては如何だろうか。

 

 次のコメント。

〇SNSの普及など、情報の入手先が多様化する美容医療業界

 SNSが普及してきたことで、それまでメディア等で紹介されることがなかった診療所などが同時に広報できるようになり、「技術と経験のない先生方が若い患者を集めて、いろいろなことが起きている。情報の入手先が多様化している故に適切な情報を届ける難しさがある。


 保険医療に関する広告規制に比して、美容医療については情報が氾濫している。利用者はネット上の広告や情報を頼りにしてしまうことが多くなってしまうのだろうが、選択する側の見る目を養わなければ、文字通り「痛い目」をみることになってしまう。なかなか難しい問題だ。

 

 利用者のコメントだ。

〇非外科的手技による美容医療施術トップは「脱毛」、次いで「ボツリヌス菌毒素注入」

 日本美容外科学会(JSAPS)調査委員会が実施した「美容医療実態調査」によると、非外科的手技による美容医療の施術内容では、「脱毛」「ボツリヌス菌毒素注入」が多い。

 

〇男性の美容医療の理由、「コンプレックスの解消」「手軽に出来るようになったから」

 ㈱リクルートの「美容医療センサス」調査によると、男性の美容医療経験者が美容医療を受けた理由は、「コンプレックスの解消」や「手軽に出来るようになったか ら」が増加し、一方、「自己満足」や「モテたい」が減少している。

 

〇10~20代の半数以上が抵抗感・違和感がないと回答

 ㈱リクルートの「美容医療センサス」調査によると、美容医療の施術を自分自身がすることに対して、女性10~20代、男性20代の半数以上が抵抗感・違和感がないと回答している。

 

〇国民生活センターに寄せられた脱毛医療トラブル

 独立行政法人国民生活センターに寄せられた脱毛医療トラブルの一部。
ひげのレーザー脱毛を受けている 5回目の施術の1週間後くらいからほほの赤みが目立つようになり、丸くやけどのような状態になってしまった(男性・30歳代)。

 ネットで見つけた美容外科クリニックで膝下のレーザー脱毛を受けた。やけどを負い、色素沈着が残った(女性・40歳代)。


 脱毛の話。

 美容脱毛というより、医療脱毛だ。医療脱毛は毛根にレーザーで影響を与え、結果として毛が生えにくくするのが理屈だが、それ故に機器を扱うには医師免許が必要だ。もちろん、まつわる相談件数も多いのだろうが、少し前なら、脱毛は女性がするのが主流だと思われていたところ(VIO)、近年は男性も当然のように脱毛しているそうだ。例えば素足が目に入るスポーツマン。とにかくすね毛(を含んだ体毛)が毛深いより、スベスベな方が現在の美的感覚としては受けが良い、と大半の人が考えているようで、施術することに何の抵抗感もないという(※4)。

 

 さらに、20代という若い世代でなく、50代以上のミドル世代にご検討いただきたいのは「介護脱毛」だという。将来、他人に下の世話をしてもらうことになった際、毛が多いと、ケア(する方)が大変だ というのはご想像いただければある意味当然で、毛にまとわりついたアルカリ成分で肌荒れを起こすなど、ケアする側・される側、双方にとってよろしくない。そのためまだ介護を必要としない50代のうちに脱毛しておく、というものだ。「そんなに早く?」という声もあるかもしれないが、レーザー照射で毛根に影響を与えるには、毛が「黒い」必要もある。レーザーは黒に反応するからだという。つまり、もう少し年を重ね、毛が白くなってしまっては、レーザー照射しても無意味になってしまうのだとか。

もちろん健康保険は(介護保険も)使えませんが…(施術する機関も慎重な選択を)。

 

 あ~。

 PPK(ピンピンコロリ)で晩年を迎えたいものだ、と書きながら思ってしまった。

 

 そういえば、今回は生成AIを回してコメントを作るのを忘れてしまった。

 後でゆっくりプロンプトを考えて「生成」ボタンを押してみようかな(※5)。

 

 本年も一年間お付き合いいただき、ありがとうございました。

 2025年もワタキューメディカルニュースをよろしくお願いいたします。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※3)…

たしかに早く内容を知りたい、というのはあるのかもしれないが、「ゆとり」とか「スローライフ」とかが重要視される現代に、ゆとりの時間を作って、約2時間、映画の世界に没頭する という方がよほど有意義なような気もするが。
ただ、今夏公開の「ルックバック」というアニメ映画は、どうもそのタイパも意識した作品でもあったようだ(ODS作品という扱いらしい)。58分という、非常に短時間で高品質な作画とストーリーが興行収入をたたき出した秘訣でもあるようだ(上演数の高回転と話題性、さらにロングラン)。

<筆者>

 

(※4)…

美容医療ではないが、美容整形に因んで。
ある年末に起こった、日本全国を震撼させた家族惨殺事件の犯人(死刑囚:演 横浜流星)が脱獄。一般社会に紛れ込んで転々と生活し、当然追う警察と、当然偽名で変装をして様々な職場を転々とする。彼に関わった人は、なぜか彼を助けようとする。彼に好感を持つ。深まる謎、徐々に明らかになっていく真実。そして迎える、涙なしに観ることのできない感動のクライマックス…。
横浜流星主演の映画、「正体」は、そんな映画であった。映画館から出る人の会話を聞くに、どうも原作(があったのか)とは異なるエンディングだったようで、筆者はこのストーリーは映画が初見だったため自然に入ってきたのだが、原作を知る観客に、それはどう映ったのだろうか。
「正体」は横浜流星の代表作の一つになるだろう。個人的には彼の主演なら「春に散る」も素晴らしかった(こちらは佐藤浩市、横浜流星のダブル主演のボクシング映画)。橋本環奈の控えめな演技も光っていた(と思う)。
ただ、「正体」では物語の設定上、いろいろな人に扮しながらの演技を使い分けるという点で、ボクサーとしての体づくりが大変であった「春に散る」よりも、こと演技力という点において、こちらに軍配が上がるのかもしれない。

<筆者>

 

(※5)…

そういえばすでに回していた。
かっこいい言い回しだけご紹介。
「きれいになりたい」
この願望は、おそらく人類が生まれて以来、永遠のテーマである。
古代エジプトのクレオパトラはロバの乳で美容浴をしていたという。現代では、エステティックサロンやスパ、美容クリニックなど、美を追求する手段は多様化している。
健康診断の結果をきっかけに生活習慣を見直すことは大切だが、「見た目」の改善も人々の関心事であることは間違いない。
特に近年は、SNSの普及により「映える」ことへの意識が高まっている。自撮り写真を投稿する際の「盛れる・盛れない」が、若者の間で重要なキーワードとなっている。
そんな中で浮上してきたのが、美容医療における「直美(ちょくび)」志向である。これは
…(中略)…
「美しくなること」は決して否定されるべきではない。ただし、その追求は安全性を第一に考え、専門家の適切なアドバイスのもとで行われるべきである。
そして何より、内面の美しさを磨くことも忘れずに。
外科医の漫画家・佐々木倫子氏の「動物のお医者さん」に登場する主人公のセリフを借りれば
「美しさは、形だけではない」
のである。

<生成AI>

 

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ご本人からの求めにより、当社が保有する保有個人データの開示・利用目的の通知・訂正等・利用停止等・第三者提供の停止又は第三者提供記録の開示等(「開示等」といいます。)に応じます。

開示等に関する窓口は、以下の「個人情報 苦情・相談窓口」をご覧下さい。

7.個人情報を入力するにあたっての注意事項

個人情報の提供は任意ですが、正確な情報をご提供いただけない場合、WMNの送信及び最新情報などのご案内が出来ない場合がありますので、予めご了承下さい。

8.本人が容易に認識できない方法による個人情報の取得

クッキーやウェブビーコン等を用いるなどして、本人が容易に認識できない方法による個人情報の取得は行っておりません。

9.個人情報の安全管理措置について

取得した個人情報の漏洩、滅失または毀損の防止及び是正、その他個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じます。

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