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短信:組織再生型靭帯を用いた膝前十字靭帯再建術の治験開始

2024年12月16日

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組織再生型靭帯を用いた膝前十字靭帯再建術の治験開始

 

 スケートの高橋大輔さん、バトミントンの広田彩花さん、体操の岡慎之助さん、競技の種類に関わらず膝の前十字靭帯断裂による大怪我を負いながらも、競技を続けこれを克服したスポーツ選手は数多い。前十字靭帯は膝関節の中で、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)をつないでいる強力な靭帯で、その役割は、主に2本の骨の前後方向のずれ制御及び、捻り方向(回旋方向)のずれ制御の2つある。損傷直後は激しい痛みや、腫れ、膝が曲げられない、などの顕著な症状が特長である。また急性期の症状が緩和された後でもこれを放置すると、膝崩れ(膝が外れたような感覚と、場合によっては激痛を伴う)により、半月板損傷等の二次損傷のリスクが高まる。損傷した前十字靱帯が自然経過中で100%の状態にまで修復することは極めて難しいと考えられており、スポーツ活動を継続したい場合や日常生活でも膝崩れ症状が出現してしまう方は、再建手術を行うことが望ましいとされている。膝前十字靭帯の再建術は、患者自身の健康なハムストリング腱(太ももの裏側にある腱)や膝蓋腱等を採取し、それを加工して切れた靭帯の代替として移植する術式が一般的に普及しており、この治療を受ける患者は日本で年間約1万9千人、世界では年間80万人以上いると推定されている。現在多く用いられる再建術式においては、ハムストリング腱の採取に伴って神経麻痺や筋力低下の発生や、患者自身から十分な太さの腱が採取できない場合があるなど、自己組織を利用することに由来する課題があった。

 早稲田大学理工学術院の岩﨑 清隆(いわさき きよたか)教授、東京女子医科大学の岡崎 賢(おかざき けん)教授、伊藤 匡史(いとう まさふみ)講師らの研究グループは、脱細胞化技術を用いた膝前十字靭帯再建用の組織再生型靭帯を開発した。

 この組織再生型靭帯は、患者組織ではなくウシ腱の組織構造を利用したもので、「厚い生体組織からでも細胞成分を効率よく除去する脱細胞化技術」と「組織の力学強度を維持する凍結乾燥・滅菌技術」の両立により、これまで課題であった「耐久性」と「生体親和性」が同時に実現された。哺乳類はコラーゲンなどの構造が共通であり、ウシの腱には太さがあるため、膝前十字靭帯再建用の靭帯として適している。一方、そのまま移植すると炎症などの免疫拒絶の問題があるため、組織を破壊することなく免疫源となる組織中の細胞成分だけを除去することが必須であった。また臨床での実用のためには、細胞を取り除いた組織を保存・滅菌して、使用直前に水分のある組織に戻すことが必要であった。この技術を用いた前臨床試験では、ヒツジに対してウシの脱細胞腱とヒツジ自身の腱を用いて膝前十字靭帯の再建手術を実施したところ、再建組織(靭帯)と骨がしっかりと固着するとともに、術後3カ月後と1年後を比較すると1年後にコラーゲンの密度が上昇していた。これは再建組織にヒツジ自身の細胞が入り込んだ自己組織化を意味しており、人工材料では困難な生体適合性が示された。研究グループは本研究の実用化手続きを進め、治験届の独立行政法人医薬品医療機器総合機構による受理、10月には東京女子医科大学の倫理委員会にて治験実施が了承された。11月から治験第一例目が開始される。 

 

新着情報 – 東京女子医科大学

脱細胞化技術を用いた膝前十字靭帯再建用の組織再生型靭帯 治験開始 – 早稲田大学 研究活動

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