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No.768 診療報酬改定で医療従事者等の賃上げに新たな評価料 外来・在宅、入院の「ベースアップ評価料」が新設

2024年03月15日

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◇「4月いよいよスタート!「医師の働き方改革」新制度、成否握る患者の理解 厚労省、患者向け「医師の働き方改革」特設サイトを開設から読みとれるもの

法改正「時間外労働の上限規制と健康確保措置の適用」が4月から施行

時間外労働時間「年1860時間相当超の見込み」医師数は68人

「診療時間内の受診」などを呼びかける「医師の働き方改革」に関する特設サイト開設

 

2024年度診療報酬改定で焦点の賃上げは、基本診療料と入院、外来・在宅の「ベースアップ評価料」の二本立てで対応

 中医協は2024年2月14日の総会で2024年度診療報酬改定案を了承し、武見敬三厚生労働大臣に答申した。看護師や薬剤師などの医療従事者等への賃上げの対応として、新たな評価料となる外来・在宅ベースアップ評価料入院ベースアップ評価料が新設、入院基本料や初再診料、外来診療料などの基本報酬も引き上げられる。2024年度診療報酬改定で焦点となっていた賃上げは、初再診料や入院基本料などの基本診療料と、入院、外来・在宅の「ベースアップ評価料」の二本立てで行う仕組みとなった。

 物価高に負けない「賃上げ」の実現を目指し、6月に施行される2024年度診療報酬改定では、①病院、診療所、歯科診療所、訪問看護ステーションに勤務する看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種の賃上げのための特例的な対応として+0.61%の改定、②40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師・薬局の勤務薬剤師、事務職員、歯科技工所等で従事する者の賃上げに資する措置として+0.28%程度の改定を行い、医療従事者の賃上げに必要な診療報酬を創設する。

 また、2024年度にベア+2.5%、2025年度にベア+2.0%の実現に向け「医療機関等の過去の実績」「今般の報酬改定による上乗せの活用」「賃上げ促進税制の活用」を組み合わせることにより、達成を目指す(図8 医療従事者の賃上げの概要 全体の概要②)。

看護職員、病院薬剤師等の医療従事者の基本給を、2024年度にプラス2.5%、2025年度にプラス2.0%とするための特例的な対応として設けられるのが、ベースアップ評価料である。看護師や薬剤師などの医療従事者等への賃上げのため、外来・在宅ベースアップ評価料(I)(1日につき初診時6点、再診時2点、訪問診療時28点)を新たに設ける。同評価料で賃上げ率の基準に達しない医療機関を救済するため、無床診療所を対象にした8段階の外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)(1日につき初診又は訪問診療時8点~64点、再診時1~8点)病院と有床診療所を対象にした165段階の入院ベースアップ評価料(1~165点)を新設し、併せて算定できるようにする。

さらに、今回創設される診療報酬(既存の看護職員処遇改善評価料含む)による賃上げについては、賃上げ促進税制における税額控除の対象となる(図9 医療従事者の賃上げの概要  創設される診療報酬)。

 

外来・在宅ベースアップ評価料の対象は、外来または在宅医療実施の看護師や薬剤師

 外来・在宅ベースアップ評価料(I)の対象は、外来または在宅医療を実施している医療機関の看護師や薬剤師などであり、医師および歯科医師やもっぱら事務作業を行う職員(医師事務作業補助者、看護補助者等が医療を専門とする職員の補助として行う事務作業は除く)は対象外となる。ただし、対象職員の基本給を2023年度と比較して一定水準引き上げた場合は、同評価料で40歳未満の勤務医や事務職員等の賃金改善を行うことができる。2024年度及び2025年度の「賃金改善に係る計画」の作成が必要であり、地方厚生局等への報告が求められる。

 外来・在宅ベースアップ評価料(I)だけでは賃金増率が1.2%に達しない無床診療所では、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)も算定可能とする。厚労省が指定した計算式により8段階の評価料の中から自施設に合った区分の点数を算定。常勤換算で対象職員が2人以上勤務している医療機関が対象だが、特定地域では人数要件は満たしているものとする。

 外来・在宅ベースアップ評価料(I)だけでは賃金増率が2.3%に達しない病院と有床診療所では、入院ベースアップ評価料も算定可能とする。厚労省が指定した計算式により165段階の中から自施設に合った区分の点数を算定する。

 

 訪問看護ステーションでは、訪問看護ベースアップ評価料(I)を新設。同評価料だけでは賃金増率が1.2%に達しない場合は、18区分の訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)から所定の計算式に該当する区分を選択し、補填不足に対応する。

 

40歳未満の勤務医・勤務歯科医、事務職員等は、入院基本料、初再診料の引き上げで対応

 40歳未満の勤務医・勤務歯科医、事務職員等の賃上げに資する措置分としては、プラス0.28%程度の診療報酬を充当する。様々な勤務形態を考慮して一律の評価にはせず、入院基本料の引き上げ初診料3点再診料と外来診療料をそれぞれ2点引き上げることで対応する。これにより、初診料は291点、再診料は75点に増加。入院基本料は急性期一般入院料1が1688点、特定機能病院の7対1入院基本料が1822点に大幅な引き上げなどを行い、これらの増点分も賃上げの財源となる。大学病院は40歳未満の勤務医師が多いため、他の入院基本料よりも上げ幅が大きく設定されている。

 

また、入院基本料の見直しでは、標準的な栄養評価手法の活用及び退院時も含めた定期的な栄養状態の評価を栄養管理手順に位置付けることや、人生の最終段階における適切な意思決定支援に係る指針の作成が要件化される。さらに、身体拘束を最小化する体制の整備も求められる。初再診料と外来診療料の引き上げに当たっては、賃上げのほか、外来診療における標準的な感染防止対策を日常的に講じている評価も含まれる。

 

 賃上げのスケジュールについては、賃金引き上げの計画の作成→計画に基づく労使交渉等→計画に基づく給与規程の改正→施設基準の届出及び期中の区分変更の届出→賃上げ状況の報告(2024年度・2025年度)を実施。例えば、2024年6月1日から賃上げを行う場合は、2024年2~3月に賃上げ計画書作成や労使交渉を行い、報告は2024年度分を2025年8月まで、2025年度分を2026年8月までに行う(図10 医療従事者賃上げの具体的なスケジュール)。

 

 

 

 


 

 ダマされた。

 ああダマされた。

 ダマされた。

 

 3月に公開されたマシュー・ボーン監督の最新映画、ARGYLE(アーガイル)は、同監督作品で好評を博した「キングスマン」シリーズを彷彿とさせる作品だ。というわけでテーマは諜報員(エージェント)、つまりスパイが主人公である(※1)。ひととき、素敵にダマされた。

 これまでにないタイプのスパイ映画であった。先の「ダマされた…」は、鑑賞後に筆者が詠んだ一句である(季語もないし、韻しか踏んでいない駄作だ)。

 

 今回は、2024年トリプル改定本丸の診療報酬において、基本的な項目に(あくまで賃上げ原資として)、点数増や評価料が設定された、という、「本体プラス改定」の看板通り、医療業界としては喜ばしい(はずの)内容がテーマである。

 

 コメントを紹介したい。

〇武見厚労大臣:賃上げの実績報告を求めるなどフォローアップ、着実な賃上げを図りたい

 武見厚生労働大臣は2月16日の大臣記者会見で、「今回の診療報酬改定の内容は、30年来の物価高騰、賃金上昇という経済情勢の中での医療従事者の賃上げという側面が極めて大きかったと申し上げておきたいと思う」と述べた上で、賃上げに関する具体的な対応について、「看護職員や病院薬剤師、リハビリ専門職といった医療関係職種の賃上げについては、新たな加算措置を設けたほか、若手の勤務医師や事務職員等の賃上げについては、初診料や再診料、入院基本料の引上げの対応を行っており、これらの措置については賃上げの実績の報告を求める等フォローアップの対応を行い、着実な賃上げを図ってまいりたいと思う」と、医療関係職種の賃上げを確実なものにする決意を明らかにした。


 所属している組織の収入増が先か、組織に所属している職員の収入増が先か。

 ここは「賃上げに軍配が上がった

 これまでの長い歴史観から鑑みるに、財務省も認め、中医協も認め、厚労省も認め、つまり国も認める「プラス改定」となるにためは(※2)、(おそらく「高い」と世間では思われがちな医師以外の)「賃上げ」という理由は、水戸のご老公の印籠並みの効果を発揮したのだろう。

 今度はこんなコメントを。

〇厚労省保険局医療課:「医療では生活の視点を」「介護では医療の視点の継続を」重視する同時改定

 眞鍋医療課長は診療報酬改定セミナーで、ポスト2024を見据えた同時改定という重要な機会において念頭に置いたのは、少子高齢化に伴う人材不足をはじめ医療・介護資源に制約がある中でも、「医療においては生活の視点を」「介護においては医療の視点の継続を」重視していこうということである。「今回の改定はこの視点で読み解けば全体をご理解いただけるものと認識している」と、改定の意図について説明した。


 「医療」でも「介護」でもない、その間をシームレスな連携によって「地域包括ケア」を完成させる。国の軸としてはブレていないのだろう

 

 昨年末に「本体プラス改定」で各団体が一息ついたのは記憶に新しいが、短冊が明確になってきた今、今改定はどう捉えられているのだろうか。

 

【各病院団体】

〇日病会長:入院基本料増による「経営改善は部分的」

 日本病院会会長の相澤孝夫氏は2月20日の記者会見で、2024年度診療報酬改定で入院基本料のアップやベースアップ評価料の新設が行われたことについて、「経営が少し良い方に向いていく可能性はあるにしても、ごく部分的ではないか。医療人材流出を食い止めるためのものとしては、この程度の賃上げはやったことにならないと思っている」と述べ、賃上げや経営改善への効果に懐疑的な見方を示した。

 

〇地ケア病棟会長:地域包括医療病棟入院料移行数の見込み「非常に難しい質問」

 地域包括ケア病棟協会の仲井培雄会長は2月22日の記者会見で、2024年度診療報酬改定で新設された地域包括医療病棟入院料(3050点)に地域包括ケア病棟入院料からどの程度移行すると見込んでいるかを問われ、「非常に難しい質問だ。地ケア病棟入院料を届け出ている病院が新入院料を取りたいのであれば支えるし、研究する」と述べた。会員に意向調査を行って3月中に公表する方針で、届け出の支援も行う方針を示した。

 

〇病院団体協議会議長:入院のベースアップ評価料165段階「過不足なくベアできる」と歓迎

 日本病院団体協議会の山本修一議長は、新設された入院のベースアップ評価料について「165段階とかなり細かい加算で過不足なくベアできるのではないかと評価する意見が出ていた」と述べ、歓迎した。

 

【日本薬剤師会】

〇日薬会長:報酬体系の組み換えなど、極めて概念が変わった2024年度改定

 2月14日の記者会見で日本薬剤師会の山本信夫会長は、2024年度診療報酬改定答申で、「地域医薬品供給拠点の体制確保や職員の賃上げなどに対応するための調剤基本料の引き上げと合わせ、地域支援体制加算の要件見直しや報酬体系の組み換えが行われた」ことについて、「点数はともかく、極めて概念が変わった改定だった。仕事をしている部分は評価しつつ、基本的な体制整備を整理するか明確にする新たな方向性を示した点で、今までの改定とは違う」とコメントした。


 今改定で新たに設定された地域包括医療病棟入院料(3050点)、今年の1月号で触れた病棟の「シン・類型」のことだ。

 算定要件が結構厳しい様子だ。

 日本薬剤師会のコメントにもあるが、「極めて概念が変わった」今改定と医療と介護のシームレスな連携…地域包括ケア。そのうち財源まで一緒になったりするのだろうか?(※3)

 

 処遇改善について、病院経営層のコメントを。

〇人事院勧告と診療報酬改定に伴う賃上げの整理が必要

 公立病院などは人事院勧告をもとに給与決定がなされるため、勧告と診療報酬改定に伴う賃上げの関係の整理が必要で、確実にベースアップが図られるような仕組みの構築と対応を求めたい。

 

〇処遇改善では診療所と病院とは別の診療報酬体系を

 初診、再診料の引き上げでは病院勤務者ではなく、開業医に恩恵の比重が大きくなると考え る。現状、最初に診察受けるのは診療所である。処遇改善では、診療報酬と別にする方法も考えるべき。

 

〇災害時のマンパワー確保のための報酬も考えるべき

 能登半島地震で震災等の非常時に向け、普段から医療・介護のマンパワーが必要であることを痛切した。災害時のマンパワー確保のため、診療報酬、介護報酬の引き上げ、初診料、再診料の大幅引き上げが必要だ。

 

〇賃上げ報告書や実績報告が必要となり、診療報酬改定に伴う事務作業の負担は増す

 中小民間病院にとって毎回の診療報酬改定に伴う事務作業の負担は大きい。今回の改定では、ベースアップ評価料の算定要件で賃上げ報告書や実績報告が必要となることから、今から頭が痛い。複雑な書面作成とならないよう配慮してほしい。


 どの意見もごもっともだ。医療に限らず、経営の効率化が叫ばれ、これまでPDCAサイクルが回されてきた結果、新たな技術も生まれたし、何かが生み出されるサイクルは早く、そしてより正確になった、そう思っていた。

 しかしながら、昨今の大手企業における、何といえばよいか…つまり「安全評価の担保に関する検証行程などは、求める側からすれば当たり前なのかもしれないが、担保する側からすると、最も大きな理由は時間的制約なのだろうが、だんだんと、そうもいっていられない世の中になってきているのではないかと感じる。

 世界各国と比して我が国の賃上げ含めたインフレが緩やかだったからなのか、(量と質両面で)働き手が不足しているからなのか、「働き方改革」の名の下に、業務時間が効率化された結果、何かにしわ寄せが行ったことによるものなのか

 今日があるのはいろいろな要素の連動の結果なのだろう。

 災害時のマンパワー、それは余裕と呼ぶべきものかも分からないが、「日頃の蓄え」もさせてもらえないのでは、いざという時に力(人やお金も含め)が出せない、確かに災害時ではそれを実感してしまう結果となってしまった(※4)。

 進化・深化してきた現代の良い点はもちろんある。しかし、アナログに言わせてもらえば、効率化を追求してきた結果、相対的に余裕・遊びが少なくなったのかもしれない。医療業界においては診療報酬改定や薬価改定が実調等によって得られたデータを元に、効率化が図られてきたこれまでの歴史が物語っている。

 自動車教習所で結構初期に習った。一般道を走る車において、遊びのないハンドルの自動車はない

 

 医業系コンサルタントのコメントだ。

〇介護保険施設との連携強化が重要になってくる

 2024年度診療報酬改定では、介護報酬との同時改定を踏まえ、医療と介護の連携促進を目的とした内容が多く盛り込まれた。例えば、老健施設の末期がんの入所者に対する放射線治療や緩和ケアの医学管理に要する費用は医療保険で算定できる。また、併設医療機関以外の医師が老健施設の入所者に高度な薬学的管理を必要とする薬剤を処方した場合、処方箋の発行に係る費用も医療保険において算定可能となるなど、介護保険施設での医療サービスの実施が緩和される。今後、介護保険施設との連携強化が重要になってくる。


 介護施設の医療保険算定の項目が増える、医療と介護の垣根が下がる、医療と介護の連携強化が重要、同時改定で点数に込められたメッセージはその証左か。

 

 ここからは賃上げについての様々なコメントを紹介したい。

【医師(40才未満)】

▼今年は他の職業で 5%以上の賃上げを目指すとされているにも関わらず、医療従事者が 2.5%では、あまりにも医療従事者を馬鹿にしている。高校の同級生は、今年春の賃上げで1500万円を超えたと聞き、嫉妬している。

 

▼賃上げの財源について私立の医療機関では経営陣がそのまま受け取るだけ、と言う事態にならないか懸念がある。明確な賃上げの証拠を提出させる義務など付帯すべきかと思う。

 

▼人材紹介会社による紹介料の高さが問題。医療従事者の転職リテラシーの乏しさも原因としてあるが。今回の医療従事者の賃上げによって、給与水準が上がることによって公費が人材紹介業に流れ、人材派遣会社が潤ってしまうことになるのではないか。

 

【看護師】

▼患者さんから、「国から賃上げのボーナス(?)をもらえるのね。うらやましいね」とよく聞かれるようになった。どう説明していいのか困惑している。

 

▼今回の賃上げで、看護師で年収1000万円を稼げるか?そんな夢は無駄なようだ。看護部長クラスだと、公立病院勤務ならば年収850万円、民間の大学病院は750~800万円、民間の総合病院は650万~700万円と言われている。それでも1000万円超えの夢を見たい。

 

【国家資格者でない医療従事者】

▼ケア労働者の賃上げ・処遇改善は、診療報酬とは切り離し別建てで考えて欲しい。

 

▼政府が賃金アップを推進するのであれば年収103 万の壁は撤廃してもらわないと、人手不足で困っている診療所の事務職では 12月に働く人がなくなることになる。何とか良い方法を見つけてほしい。

 

▼医師事務作業補助者の業務範囲より具体的に明示してほしい。


 職層によって、思いは様々だ。医療機関における年収が高いと思われる層にはその層なりの、看護師には夢の年収1,000万円の大台という夢が、無資格であるが医療機関で従事されている方々は、より自己の実務に直結した要望が…。

 

 本文中で触れられた「賃上促進税制」、賃上げを実施する側での税制優遇で、収入は(少しだが)上げて、その分賃上げで人件費支出も増えるが、その代わり、税金の支出は減る、建付けとしてはその制度も活用して是非とも賃上げを実施して欲しい、という国のメッセージなのだろう。

 

 税理士のコメントだ。

〇目先の税額控除よりも賃上げによるコストアップで、経営が圧迫される場合も

 賃上げ促進税制とは、会社が新規雇用者の採用を行う事や従業員に対して昇給を行う事により雇用者全体の給与等支給額が前年度と比較して増加した場合、増加した金額の合計額に一定の割合を掛けたものを、その年の法人税額から税額控除が出来る制度である。税額控除を適用するためには、賃上げを伴うことから、今後の収益性や資金繰りに不安のある医療機関が取り入れると、目先の税額控除よりも賃上げによるコストアップで経営が圧迫される恐れがある。中長期的な経営計画や資金繰りにも注意し、慎重に検討することをお勧めする。


 税制優遇。確かに仕組みとしては納税額が減少するのだが、この賃上促進税制には3つのデメリットもあるという。

 ・新規設立企業・赤字企業は使用不可

  青色申告事業者のみが対象

  税額控除の制度であるため赤字経営で法人税などの納税義務がない法人は対象外

  前年度事業が存在しない新規設立事業者、赤字企業は対象外

 ・税制優遇は法人のみ

  税制優遇の対象は法人税のみ、従って個人事業主は対象外(個人事業主は所得税として納税するため)

  税負担が少ない企業が採り入れても給与引き上げのコスト増加が大きく恩恵を得にくい

 ・資金繰り悪化リスクあり

  要件を満たすための賃上げが資金繰りを悪化させるリスクはある

  賃上げされた給与以外にも、社会保険料・労働保険料の費用負担も当然上がってしまう

  一旦でも給与を上げてしまうと、下げることは難しい、慎重な判断が必要

 

 賃上促進税制において一般的にいわれるデメリットはこのようになっているが、一方で賃上げに本気の厚労省はこの税制活用を猛アピールしている。

 

 中小規模の医療法人・個人立の医療機関・調剤薬局の場合、全雇用者の給与等支給額が前年度比プラス1.5%で、税額控除率は15%、前年度比プラス2.5%で税額控除率は30%に拡大

 さらに上乗せ要件として教育訓練費の増加、子育てと両立・女性活躍への支援達成で最大控除率が45%に

 中規模・大規模が上乗せ要件を達成した場合の最大控除率は35%が上限だという。

 

 もちろん厚労省も優秀な官僚揃いの官庁であるので、先に挙げたデメリットのことも充分に考慮に入れてのことなのだろう

 但し、支給額に伴って負担する法定福利費の負担増は、軽く見てはいけない可能性がある。それに伴う資金繰りの悪化(悪化というべきかは判断のわれるところだが)はあり得ることなのかもしれない

 

 ダマされた。

 ああダマされた。

 ダマされた。

 

などと愚痴を言わなくて良いように、各医療機関、調剤薬局におかれては、しっかりと資金繰りとにらめっこして頂く必要があるだろう。

 

 最後に患者からのこんなコメントを紹介して締め括りとしたい。

 

 医療従事者の賃上げのため、入院基本料や初再診料等を引き上げることは、結果的に患者負担が増えるということになる。これから医療を受けるためには、それなりの「自己負担=痛み」が必要かもしれない。


 我が国の国民負担率は、少し古いが2020年度で47.9

 米国は32.3%、英国は46.0%、ドイツ54.0%、スウェーデン54.5%、フランス69.9%だ(※5)。

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

(※1)・・・予告編で登場した、グリーンのスーツを纏ったいかついエージェント、アーガイル。冒頭のクライマックスシーンでいきなり大活躍だ。おお、そうか。彼はマン・オブ・スティール(スーパーマン)の役者ではないか。どおりでいかついはずである。

と思ったら、今度はいきなり女性小説家の新作発表会シーンに。

「ええっ?こんなことになるの?」

シーンが進行するたびに、観客はどんどんダマされていく。カラフルな戦闘シーンはマシュー・ボーン作品ならではか。一部雑な面があったかもしれないが、筆者としては、脚本が素晴らしいと感じた。終盤に差し掛かれば差し掛かるほど、どんどんダマされていく。ダマされて腹が立つ、というより、すがすがしさを感じた映画である。マシュー・ボーン作品にたまにある、筆者が苦手なグロテスクなシーンも今回はなかったし。

終盤、映画 「奥様は取り扱い注意(主演:綾瀬はるか)」が一瞬、心の中でフラッシュバックしたような気がした。

豪華キャストが揃い踏みの作品で、キングスマン1作目の敵役、サミュエル・L・ジャクソンも今回は味方役(? だと思う)で出演。

何も語らなかったがアルフィー(猫)がとても良い味を出してくれていた。早くも続編が楽しみである(あるのか?ありそうだが)。

<筆者>

(※2)…プラス改定を、果たして全国民が認めたかどうか、それは定かでない。

<筆者>

(※3)…それぞれのステークホルダーがあまりに多すぎる。さすがにないか。

<筆者>

(※4)…筆者の指す余裕・遊びとは、どこかの役所の職員が、昼休憩前時間5分前に(おそらく電子レンジが混むからなどの理由で)、弁当を温めに行ったり、終業時間30前にはパソコンの電源を切ってチャイムを待つばかり、などといった行為を行うことでは決してない。しかし自らの市職員を訴える市側としては、その職員の行動は非常に目に余る行動だったのだろうが。

<筆者>

(※5)…国民負担率の国際比較(OECD加盟36カ国)より

   日本の国民負担率 2023年度見通しは46.8%、2024年度見通しは45.1%

<WMN事務局>

 

 

 

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