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No.612 2018年度から始まるDPC制度改革に激変緩和措置。18年度からオンラインによるDPCデータ提出可能に

2017年09月15日

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DPC病院の収入が2%を超えて下落しないよう新たな激変緩和措置

 中医協の診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会が8月4日開かれ、厚生労働省から、①診療報酬改定によってDPC病院の診療報酬が2%以上減った場合に診療報酬を補填する措置を継続する、②ただし、この激変緩和措置は診療報酬改定年度の1年間のみとする方針が示され、委員からの大きな異論はなかった。

 

 DPC制度は、2012年度診療報酬改定以後、調整係数(暫定調整係数)の基礎係数・機能評価係数Ⅱへの段階的置き換えが進められ、2018年度のDPC制度改革では完全置き換えが行われる。この置き換えによって診療報酬収入が大きく変動する病院がある。このため、厚労省は診療報酬改定前後で診療報酬収入が2%を超えて変動しないように暫定調整係数を調整する「激変緩和措置」を設けている図3参照)しかし、「置き換えが2018年度診療報酬改定で完了すること」「現在の激変緩和措置は“激変緩和の循環”を生じる」から、現在の激変緩和措置は出来高時代の報酬を維持することにつながりかねないと考え、2018年度改定で厚労省は、「置き換えに対応するための激変緩和措置」は行わない方針を打ち出していた。

 

 しかし一方で、係数の置き換えとは別に、毎回の診療報酬改定によって病院の診療報酬収入に変動が生じており、これを放置すれば地域医療に悪影響も出かねないため、厚労省は「一定の対応が必要」とし、従前の実績も考慮して「改定前と比べて、2%を超えて診療報酬収入が減少しない」ように、新たな激変緩和措置を講じることにした。しかし、現行のように激変緩和措置を2年継続したのでは、「激変緩和の循環」が生じてしまうため、この弊害を是正する観点から、新たな激変緩和措置の適用は「診療報酬改定年度のみ」としたもの。

 

■2018年度から順次、DPCデータのオンライン提出

 また、この日の分科会では、①DPC準備病院の募集・DPC対象病院への移行参加は2017年9月1日から29日とする、②2018年度中にDPC対象病院のうち希望する病院ではオンラインによるデータ提出を可能とすることになった。DPCデータは4半期毎に提出が求められており、データ修正の対応を含め、医療機関は1年度内に8回データを提出することになる。その都度、医療機関は規定された配送方法に従い、データをCD-R等の媒体にコピーして提出するが、配送に係る事務負担のみならず、その方法を誤った場合はデータ提出遅延の扱いとなるため、データ提出加算を一定期間算定できなくなる。このため、2018年度から希望する医療機関についてオンラインによるDPCデータ提出を開始することになったもの。

 

 2018年7月20日付け厚労省保険局医療課長通知によると、2017年6月22日に提出すべき2016年4月から2017年3月分の再照会に係るDPCデータ提出の遅延が認められた保険医療機関は24施設。このため、これら施設は2017年8月のデータ提出加算を算定できなくなる。DPCデータ提出の遅延は、データの蓄積・解析に支障が出ることから、「遅延月の翌々月のデータ提出加算は算定できない」ペナルティーが課せられている。

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関係者のコメント

 

<日本病院団体協議会:DPC制度の激変緩和措置に懸念>

 日本病院団体協議会は7月25日開いた代表者会議の中で、DPC制度の見直しについても意見を交わし、調整係数が機能評価係数Ⅱなどに完全に置き換わることに伴う激変緩和措置について、「経営にどれだけ影響があるのか金額ベースで検証する必要がある」「激変緩和措置で重症患者への医療提供への配慮が担保されるのかどうか心配だ」など懸念が出された。

 

<DPC機能評価係数Ⅱの重み付けは見送りに>

 9日1日開かれた中医協のDPC評価分科会では、2018年度改定での実施が検討されていた機能評価係数Ⅱの重み付けに対しては消極的な意見が相次ぎ、行わない方針となった。

 厚労省は同分科会で、機能評価係数Ⅱの重み付けに関する対応方針(案)として、①総合的な体制を既に有していると考えられるⅠ群は在院日数短縮の努力を促すために「効率性係数」に重み付けをする、②在院日数短縮について既に一定の取り組みを評価できるⅡ群については、総合的な体制をより評価するため「カバー率係数」を重み付けすることを提案。これに対して委員から「カバー率は診療科の構成で決まるもので病院の日々の努力ではない。カバー率係数の重み付けは機能分化を進める医療政策と逆行する懸念がある」など反対する意見が相次ぎ、2018年度改定での実施は見送られた。

 

<西澤前全日病会長:「データ提出遅延はケアレスミス」>

 DPCデータ提出遅延の医療機関は公表されるが、2012年6月の中医協総会で当時の西澤寛俊全日本病院協会長は、「確かにデータ提出を遅延するのは問題だが、2回以上遅れたのは3病院しかない。1回だけのケアレスミスで遅れただけの病院名を、中医協総会で公表するのは少しやりすぎではないか」と指摘している。

 

<かつてDPCデータ提出遅延でペナルティー受けた元病院長:「院長の責任でチームとしてこの問題に対応したいと後悔」>

 再三にわたるDPCデータ提出遅延でペナルティーを科せられた。その際、医事課からは、「たまたま新人がデータ提出作業に当たった」との報告を受けたが、そういう体制そのものが非常に不備であると言わざるを得ないと思った。院長の責任であり、できる限り院内のチームとしてこの問題に対応したいと後悔している。

 

<保険者:「データ提出遅れに、診療報酬の減算など厳しい姿勢を」>

 DPCデータ提出の遅れについて、かつて中医協総会での論議(2012年6月6日)では、保険者側からは、「データ提出遅れの病院を公表しない限り、確信的なミスをする可能性がある。私としては定期的に提出してもらいたいと考える」(石山恵司・経団連社会保障委員会医療改革部会 部会長代理)、「(データ提出遅れの病院)を見ると、多くは単純なミス、認識不足だが、DPCにおいてデータの提出は基本中の基本。注意喚起をしても、遅延がなくならないのであれば、診療報酬の減算を厳しくすることなども考えてもらいたい」(小林 剛・全国健康保険協会理事長の氏)などの声も上がっていた。その姿勢は今も変わらないようだ。

 

<DPCによる平均在院日数の短縮は限界を超えているか?支払側・診療側・公益が議論>

 2018 年度のDPC制度改革に向けて7月5日に開催された中医協・診療報酬基本問題小委員会では、DPCへの参加によって包括支払い制度に付随しがちな「粗診粗療」が生じていないかをチェックするために毎年度実施されている2015年度の「退院患者調査」結果が報告された。

 支払側の幸野庄司委員(健保連理事)は在院日数に着目し、「2011年度から15年度までの5年間で各群ともに1日程度しか短縮しておらず、短縮が不十分なのではないか」と指摘。これに対し診療側の中川俊男委員(日医副会長)は、「我が国において在院日数の短縮は限界を超えている。在院日数の無理な短縮は医療をゆがめ、患者や家族に不利益を強いている」と反論。小山信彌DPC評価分科会長も「欧米では平均在院日数が5日、6日という水準だが、患者はオペ後に、病院に近接するホテルに滞在し、ドレーンをぶら下げながら通院している状況があるという。わが国では10日程度が限界になるのではないか」とコメントした。

事務局のひとりごと

 

 これまたWMNアーカイブスから懐かしい記事を見つけた2008年11月当時、話題となっていた、「廃止」となる予定の調整係数に関するコメントだ。「DPCセミナーin大阪」の資料を参考にしながらまとめたのは、思い起こせば筆者であった。少し長いので、先を急がれる方は最後の部分からまずお目通しのほど
(↓↓【飛ばし読みの方はここから】↓↓の部分からどうぞ)。

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 調整係数廃止後の「新機能評価係数」のゆくえ

 

<調整係数とは>

 「調整係数」とは、DPCによる包括払いの導入をスムーズに進めるため、各病院が前年並みの収入を維持できるように補正を行うために設定された係数のことで、調査期間中に病院から提出された医療費データをもとに算出される。

 

 調整係数 = 

(調査期間中の包括部分の出来高収入総額)÷(同期間にDPCにより算出される総額)

 

      A病院                   B病院

前年度の3ヶ月間調査           前年度の3ヶ月間調査

総収入  105億円           総収入   95億円

出来高   50億円           出来高   50億円

包括部分  55億円           包括部分  45億円

DPC計算 50億円           DPC計算 50億円

DPCが始まると5億円「損」        DPCが始まると5億円「得」

     ↓    (前年所得を保証するため)    ↓

調整係数55/50=1.10       調整係数45/50=0.90

DPC後の収入=50+50×1.1    DPC後の収入=50+50×0.9

=105億円                =95億円

 

 調整係数の高い病院には「適切」と「不適切」があるといわれている。調整係数が高いということは、「調査期間中の診療密度が濃い」、つまり、多くの検査や投薬を行ったことを意味している。

 

<「適切」な調整係数の高い病院>

 ・診断をつける必要がある場合(救命救急など、治療の前に診断を必要とするケースの患者が多く入院している病院)。

 ・診断や治療方針が決まりにくい場合(市中病院で手に負えない非定型的症例を数多く扱っている病院)。

 

<「不適切」な調整係数の高い病院>

 ・調査期間中、意図的に過剰検査や高額の治療薬などを使用する場合(経営者が調査期間中に濃厚医療を行うよう指示し、実施された病院)。

 

 DPC点数表は年々低くなってきている。この理由には下記の2つが考えられる。

 ・すでにDPCに参入している病院の診療のスリム化が進むから。

 ・新規参入病院の診療密度が、すでに参入している病院の診療密度より低いから。

 

 これまでのDPCに関する調査より、包括払いを受けるようになると、病院の診療内容がスリム化することが明らかになっている。DPC準備病院(出来高払い)がDPC実施病院(包括払い)になると、

ア)入院中に行っていた検査の多くを外来で実施するようになる。

イ)新薬を積極的にジェネリック(後発医薬品)に切り替える。

ウ)医療内容の検討を行い、必要な医療の取捨選択を行う。

 などにより、種々のデータから判断すると、5~10%、医療内容のスリム化を行われたことが推察される。

 さらにこのようなスリム化は、例外的な患者や特殊な患者に対してよりも、定型的な患者に対して行う方が圧倒的に容易だ。

 

 「包括化が適している病院」とは、「標準的な医療で対応可能な患者の比率が高い」病院、分かり易くいえば「例外的な患者や特殊な患者が少ない」病院のこと。逆に「包括化が最も適さない病院」とは、市中の一般病床では手に負えないような症例や、「標準から外れた医療を必要とする患者を数多く集めている」病院であると考えられる。

 一般病床を「DPC病院」と「非DPC病院」に分けた場合、標準から外れた医療を必要とする患者をより多く集めているのは、やはり「DPC病院」の方だと思われる。我が国では政策的見地から、特定機能病院(全国82病院:主に大学病院や厚生労働省管轄の国立病院など)を皮切りにDPCが導入されたわけだが、実は特定機能病院は「最も包括払いが適さない」病院といえるかもしれない。

 

 「標準的な医療で対応可能な患者の比率が高い」病院が包括払いに適した病院という原則から考えれば、現在の「非DPC病院」に対して「包括払い」を行い、現在のDPC病院に対して「出来高払い」を行う方が「理にかなっている」といえる。

 もし、現在の非DPC病院に対して包括払いが導入され、非DPC病院がDPC制度に順応するように医療内容を変えていく能力を有しているならば、包括化による医療のスリム化の効果は、現在のDPC病院に包括化を進めた効果より大きい効果が期待できるわけだ。

 

 日本病院団体協会(日病協)、日本私立大学協会、全国医学部長病院長会議の3団体は中医協DPC評価分科会に、DPCの調整係数の段階的な廃止の方法として「少なくとも3回の改定の後の廃止」も求める提案書を提出したそうだ(メディファクス5522号 1/10頁、2008年11月7日(金))。特に焦点とされているのは「救急医療」に対する考え方と、今後どんな「病院の機能」を評価し、係数化していくかということである。

 

 調整係数が廃止される理由としては、制度が導入されたことによるインセンティブを与える理由が薄れてしまったという「定番的な理由」と、もうひとつ、調整係数は「病院の機能を評価したもの」とはいえないものであるという理由があるからだ。

 

 平成20年度 第1回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(2008年5月9日開催:厚生労働省ホームページ参照http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/05/s0509-3.html)の資料を見ると、最も調整係数の高かった病院は、京都府の民間病院の1.3242(※1)であり、最も低かった病院は鹿児島県の民間病院0.8597(※2)、次に低かったのが大分県の市民病院の0.9335(※3)であった。大学病院は特定機能病院であり、平均すると1.1423(※4)であった。先ほどの話を踏まえれば、調整係数上、民間病院が「調査期間中の診療密度が濃い」、多くの検査や投薬を行っていたということができる(※5)。

 ※1・・・588床(うち一般428床)

 ※2・・・131床(うち一般 62床)

 ※3・・・250床(一般)

 ※4・・・資料をもとに事務局で平均値を算出

 ※5・・・資料をもとに事務局で調査の結果、

民間病院で調整係数1.1423以上の病院数は42病院

 

(民間病院最高値の調整係数)  (大学病院調整係数平均)    (差)

   1.3242    -    1.1423    = 0.1819

 

 同一診断群の疾患の患者の診療を行った場合、包括部分に関しては、民間病院のほうが大学病院よりも最高で18%も多くの診療報酬を得ていることを意味する。一般的に考えればどう考えても「民間病院」より、「大学病院」のほうが多くの教育機能を担い、高度医療を提供していると思うのだが、このような結果が出てしまった。ちなみに1.3242の次に高い調整係数はこれもまた1.2681の民間病院であった。

 

 DPC対象病院には調整係数のほかに、「機能評価係数」という係数が加算されている。調整係数廃止後は、この「機能評価係数」がさらに見直され、国の求める医療を行っている病院を評価しようとする係数が生まれてくるだろうと考えられる。

 その係数を、「何の指標」をもって評価するのかが、現在大いに議論されており、現時点では、中核病院や大学病院などが高度医療や救急医療を行うための基盤整備に要するコスト、高度先進医療、救命救急医療、教育などの実施に伴う追加人員コストなどの、「固定費」部分の差を補正するための新医療機能係数が有力視されているが、結論が出るにはもう少し時間がかかりそうだ。

 

 今後の議論次第で変わる可能性もあるが、調整係数の「2011年廃止」は今のところ「既定路線」だ。しかし、単純に調整係数が廃止されるということは、殆どの医療機関が生きていけなくなってしまうことも意味する。

 診療報酬点数改定以降、改定前と同様のことをやっているだけでは、一般的には収入が下がるので、さらにコストダウンしながら続けなければならないからだ。詳細は割愛するが、実はDPCの点数表はそれまでの各病院のデータにより「自動決定」されるのだが、必ず前回より下がってしまうカラクリになっている。全ての病院が収入増のために頑張れば頑張るほど、次の目標はさらに上を目指さざるを得ないのだ。一般企業のコスト削減運動と似通っているが、医療には「収入の壁」の高さがある。ここがネックとなるのだろう。

 

 前厚生労働省保険局 医療課長の原徳壽氏は「日本の医療は約170の高度急性期病院を中心に組み立てる」と発言していたが、2008年診療報酬改定でも、それを裏付けるかのような財源移転が行われており、現在の国の考え方としては、公的病院を残し、削減があるとすれば「民間病院で」という思惑があるのだろう。

「DPC セミナーin大阪」で、国際医療福祉大学の高橋教授が触れていた。「よく『国が』、『国は』という主語が使われ、国のスタッフの層は厚いように見えてしまうが、政策を作っている人はそれほど多くない。せいぜい2~3人程度。いわばその人の『医療観』で決まってしまう。だからその人に対し、どうやってデータをぶつけていくかが重要だ。ほんの一人か二人の医療観を変えるだけで、政策は変わる。」

 この言葉はとても印象的であった。

 

 また、セミナー内のパネルディスカッションで、加納総合病院の加納理事が救急搬送において民間病院が占める割合について触れておられた。

 

民間病院の救急搬送受入れ割合

・70%以上 大阪府・東京都・鹿児島県・埼玉県・福岡県

人口は3,534万人 日本の総人口の約27%

・60%以上 上記+宮崎県・千葉県・神奈川県・岡山県・福島県・京都府・大分県・奈良県

人口は6,069万人 日本の総人口の約48%

・50%以上 上記+茨城県・兵庫県・北海道・広島県・佐賀県・沖縄県・栃木県

人口8,197万人 日本の総人口の約65%

 

 この数字が物語っているのは、日本の二次救急を支えているのは民間病院だということだ。

 確かにこの数字を見せつけられると迫力が違う。加納氏が舛添厚生労働大臣にこのデータを見せた時、大臣は「こんなデータは私のところまで上がってきていなかった」と話されたそうだ。もしかすると、医療制度のデザイナーである官僚が「このデータを知らなかった」ということで、その官僚の「医療観」にこのデータが加われば、診療報酬改定、DPC点数表に大きな影響を及ぼすかもしれないということでもある。

 

 調整係数が廃止され、仮に何の加算も付かないと、おそらくホスピタルフィーが「約15%下がる」といわれている。「ホスピタルフィー15%下落」は、「入院収入は8%下落」、「病院収入全体5%下落」となるそうだ。医業利益が2~3%もある急性期病院であれば「優良病院」といえるのが現状だけに、これだけ収入が下がれば、ほぼ99%の急性期病院は「即死」となるだろう。

 厚生労働省もその現実を知っているので、調整係数を一挙に廃止することはしないと考えているわけだろうし、「機能評価係数」を用いてその15%を補填する考えがあることだろう。

 しかし、全ての病院に同じく補填が行われるわけではない。国が思う「良い病院」には手厚く、「悪い病院」には薄くなる。機能評価係数の決め方が急性期病院の「生死」を制するといっても過言ではない。

 

 セミナーの締め括りに協議会理事の馬場 武彦氏((医)ペガサス馬場記念病院 理事長:大阪府)はこういった。「我々の発言はネガティブな政策批判であってはなりません。建設的(ポジティブ)でさらに科学的(エビデンスに基づいた)な政策提言をしていきましょう。DPCはそれを実現するためのツールなのです。」

 あまりにも「出来すぎたパフォーマンス」だとは思ったものの、この時ばかりは会場の全員がその言葉にうなずいたに違いない。新機能評価係数の行く末が非常に気になるところだ。

 

~ 今日のひとこと ~

DPC

 Diagnosis Procedure Combination の略。急性期病院を対象とした、日本型の診断群別定額支払い方式。診断群分類毎の1日当たり点数×医療機関別係数×入院日数×10円。平成19年度対象病院の基準 2年間のデータの提出及び(データ/病床)比が10か月で8.75以上。平成20年度対象病院は平成18年度DPC準備病院(371病院)のうち、基準を満たすもの。調整係数の算出は2年間のデータを用い、DPCの包括部分に係る収入が全体改定率の▲0.82%となるよう設定する。

 

<当時の記事を再編集>

【参考資料】

「DPCデータの解析と利用」:国際医療福祉大学 教授 高橋 泰氏

「二次救急病院におけるDPC」:現 社会医療法人 協和会 加納総合病院 理事長 加納 繁照氏

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↓↓【飛ばし読みの方はここから】↓↓

 

 この時の議論の延長線上が現在なのである。最近、東京都知事を辞職された元厚生労働大臣の記述もあった。DPCという呼称も、現在はDPC/PDPS(Per Diam Payment System の部分が追加)になるなど、変更されてきた経緯も思い出す。この支払制度が生まれたことで、医療における診療内容は劇的に「見える化」されたわけだ。さらにこの制度の良くできた部分は、医療機関にお互いがお互いを比較することで、何が最適な医療に対する必要な資源投資かを、医師以外の色々な登場人物をも用意して考えさせ、標準化を図っていくという手法であったことだ。厚労省が「これが最適なのでこの方法に従って下さい」と言ったわけではないのだ。さらにはこの診断群分類別の症例が厚労省のHP上に掲載されることで、症例別ランキングをする企画が雑誌や新聞で見かけるようにもなった。結果としてよほど医療的な根拠に基づくものでなければ、従来は「よそはよそ、うちはうち」と、院内でまかり通ってきたかもしれない医療への資源投資の手法が通用しなくなってしまった可能性があるということだ。

 

 調整係数の話が長くなってしまった。最後にデータ提出における「ケアレスミスで」ペナルティを被った医療機関のエピソードを紹介して締め括りとしたい

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・ 提出期限に間に合わず1ヶ月データ提出加算が算定できなかった。提出は(病院側の)職員で行っており、恐らく(病院職員側の)最終段階のエラーチェックが間に合わなかったと予想される。

・ レターパックプラスで通常送っていたが、間違えてライトで送ってしまい、1ヶ月データ提出加算が算定できなかった(※5)。

・ 書留で通常送っていたが、普通郵便で送ってしまい1ヶ月データ加算が算定できなかった(厚労省には提出期限までに届いてはいたものの)。

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医療事務受託事業者から頂いた情報である。間違いがあるのは仕方がないが、こんなことを「確信的に繰り返す医療機関があるのだろうか?後々何らかのお叱りを受けるであろう、提出に携わった職員の気持ちを考えると、思わず「そのくらい勘弁してあげたら?」とつぶやいてしまいそうだ。がしかし、ルールはルールだ。その上相手はお役所である。提出ルールの正しい運用はもちろんあるべき姿だ、というのは当然か・・・。故にオンラインによる提出が可能になるならばDPC対象病院にとって朗報といえなくもない。現在約1,670もの病院(約49万床)がこのルールで提出しており、そのうち24病院だとすればそれは約1.4%に相当する。

“厳しすぎる”、“当然だ!”読者の皆さんのご感想や如何に?

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

(※5)・・・DPCデータの提出先は「株式会社 健康保険医療情報総合研究所内 DPC調査事務局」で、データ提出方法は以下2つの要件を両方満たす配送方法でなければならない。

①「提出日」及び「配送状況」がインターネット上で送付側(医療機関)・受領側(DPC調査事務局)の双方向で確認できる方法であること。
対面による受け渡し時、双方のサインが必要となる方法であること。

 とされており、配達事業者別の配達形態で厚労省が個別に「○」「×」をつけることで区別されている。例えば、日本郵便㈱における普通郵便・特定記録郵便・レターパックライトなどは「×」簡易書留・書留・ゆうパック・レターパックプラスなどは「○」となっている。

 その上で、DPC調査事務局に提出された日が提出期限内であることが求められている(当日消印有効、というわけではない)。

 ところで本文中に、『データ提出遅れの病院を公表しない限り、確信的なミスをする可能性がある』とのご発言のあった、石山恵司・経団連社会保障委員会医療改革部会 部会長代理や、『DPCにおいてデータの提出は基本中の基本』とのご発言の小林 剛・全国健康保険協会理事長は、このケアレスミスの現状をご存知なのだろうか(当然ご存知の上のご発言と解釈すべきなのだろうが)?お金を払う側の意見は厳しい・・・。

 筆者も職務上、承認業務がある。ここはお役所を見習って、少しでも不備があれば不受理、若しくは突き返してみるなどしてみようか。世の中は厳しいものだ。

 

<WMN事務局>

 

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