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No.634 9年連続減少!!2018年1月、日本の総人口は1億2520万人。生産年齢人口6割切り、医療・介護の担い手不足が深刻に<厚労省>

2018年08月15日

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2018年1月人口動態調査過去最多37万人減、外国人割合は最高に

 総務省は7月11日、人口動態調査を発表。住民基本台帳に基づく今年1月1日現在の日本人の人口は、前年より37万4055人少ない1億2520万9603人(0.3%減)で、人口減少は9年連続で、減少幅は1968年に調査を開始して以降最大となった。一方、日本人と外国人を合わせた総計に占める外国人の割合は、外国人を調査対象に加えた2013年以降で最高となった。

 昨年1年間に生まれた日本人は調査開始以降最少の94万8396人で、2年連続で100万人に届かなかった。一方、1年間で亡くなった人の数は最多の134万774人で、死亡者数が出生者数を上回る「自然減」は11年連続となった。出生者数から死亡者数を引いた「自然減少数」は、過去最多の39万2378人だった。

 国内在住の外国人は17万4228人増の249万7656人(7.5%増)で、4年連続で最多を更新。外国人を含めた総計(1億2770万7259人)に占める割合も1.96%とこれまでで最高となった。年齢別では20~24歳の伸び率が特に高い。

 東京圏・名古屋圏・関西圏の「3大都市圏」に住む日本人は6453万4346人(0.01%増)となり過去最多を更新した。ただ、三つの都市圏のうち人口が増加したのは東京圏(0.23%増)だけで、名古屋圏(0.22%減)と関西圏(0.3%減)は前年よりも減少率が上昇した。都道府県別では、日本人住民が増えたのは、東京都、埼玉県、神奈川県、沖縄県、千葉県、愛知県の6都県だけで、増加数・増加率ともに東京都がトップだった。出生者数が死亡者数を上回る「自然増」は沖縄県のみ。一方、日本人住民の減少率が最も高かったのが秋田県(1.39%減)で、青森県(1.19%減)、山形県(1.07%減)が続く。

 

生産年齢人口の減少は、医療・介護の担い手不足に

 2018年1月の人口動態調査では、15~64歳の生産年齢人口は0.37%減の7484万3915人(全人口の59.77%)と、初めて全体の6割を切った。生産年齢人口と年少人口(0~14歳:0.12%減の1573万5692人)が減少する一方で、老年人口(65歳以上)は0.49%増加した。生産年齢人口の減少と老年人口の増加は、高齢者の医療・介護の担い手不足につながる

 

 総務省「国勢調査」「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口 平成29年推計」などよると、①わが国の人口動態は、いわゆる団塊世代が全員75歳以上となる2025年に向けて高齢者人口が急速に増加した後、高齢者人口の増加は緩やかになる。一方で、既に減少に転じている生産年齢人口は、2025年以降さらに減少が加速。②人口構造の変化の要因が医療・介護費の増加に及ぼす影響は、2040年にかけて低減する。しかし、高齢者の支え手となる就業者数は、2018年の6580万人から2040年には5650万人と1000万人以上も減少。この2040年は団塊ジュニアが後期高齢者になり始める頃であり、2041~2050年の間の75歳以上の後期高齢者は18万人増加すると推計され、いわゆる「2025年問題」よりもさらに深刻な問題を抱えることになる(図3 2040年頃を展望した社会保障改革の新たな局面と課題)。

 

 日本の社会保障は「家族」「雇用」「地域」と深く関わり、相互に影響し合いながら発展してきた。今回の人口動態調査で生産年齢人口が初めて6割を切ったことによって、わが国の社会保障制度は、これまでの「主に高齢期に生じるリスクを現役世代が支えるシステム」から「全世代が抱えるリスクや課題を全世代が支えるシステム」への大きく舵を切ることになりそうだ。

 

事務局のひとりごと

 総務省による人口動態調査が発表されると、報道などで人口減少問題がセンセーショナルにとり上げられる。プライマリーバランスがどうなった、という発表より、人口問題については非常に予測の立てやすい統計であるそうなので、特殊合計出生率がとんでもなく跳ね上がらない限り、おそらく来年もそのようになるのだろう。

 日本という国が、日本人だけの人口を増やしていこうとする (1.3億人位で推移させていこうとする)には、これは無理があると言わざるを得ないだろう。

 

 厚生労働省の方針が変わった、というわけでもないのだろうが、介護人材の大幅受入れの方向性に舵がきられたのは記憶に新しい。

 

 ドイツのトルコ移民政策の失敗例がよく挙げられるのだが、その考え方をベースとしている以上、“移民を受け入れる”という考え方は、基本的にわが国にはないのである。

 ではそのドイツの移民政策とはどんなものであったのか、固い文章が以下列記されるが、ご容赦のほど。また、これはネットなどの記事を多分に参考にさせていただいていることも付け加えておく。

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 第2次世界大戦後、西ドイツは、東ドイツも含めて東欧からドイツ民族2,000万人近くが流入した。しかし戦後復興の中でこれらの過剰人口は次第に吸収され、50年代後半の経済成長期になると、労働力不足が発生し始めた。これらを克服するために、2国間協定による外国人労働者の受入を行った。これらの外国人労働者は、一般にガスト・アルバイター――招待者としての労働者――と言われていた。この名称は、彼らの自主的な就労と平和な求人を強調し、ドイツが戦時中、外国から500万人の強制労働者を導入したことと区別するために用いられたものである。このような外国人労働者の導入は、純粋に経済的な動機によるものであった。求人された労働者はドイツに一時的に暮らすことを前提にしており、外国人労働者はやがて豊かになって、祖国に戻り、祖国で社会的なステータスが高まることを期待し、また、彼らの祖国は彼らを通して外貨を獲得し、その外貨によって消費財や投資財を購入できるであろうと考えていた。

 

 その結果、ガスト・アルバイターは1ランク低い労働力と見なされ、ドイツ人がもはや働く気のない二次的な職域に投入された。資格のいらない、魅力のない、日本で3Kと言われているような分野である。彼らは多くの場合、特定の職域の資格や能力を持ち合わせていたのだが、そうした能力を無視して、社会的には低い分野に投入された。したがって多くのドイツ人の間には、「ガスト・アルバイターというのは質の劣る、あまり権利を持たない、新たに出現した最下層の人間であって、ドイツ人に隷属しており、だからわれわれは彼らを自由に使って構わないんだ」という意識が広がってきた。

 

 しかし計画は思うようにはいかず、やがて、後戻りのできない外国人労働者の流入現象が発生した。帰国した外国人労働者もいるが、一定量のグループは常に存在しており、1973年で260万人にものぼっていた。つまり、外国人がいなければやっていけない経済的なポテンシャルができあがってしまったのだ。一度拡大期に広がった工業生産力は、どうしても引き続き外国人労働者を必要としていたし、一定の訓練を受けて熟練した、しかもよく働く労働者をもはや放棄する事はできなくなっていたのである。放棄せざるを得なかった場合は、再び外国から新たな労働力を求めた。こうした状況は失業が増えた時代でも基本的には変わらなかった。なぜならば、失業したドイツ人労働者は二次的な職域ではもはや働く気がなかったからである。このような状況の結果として、外国人労働者に大きく依存する経済構造ができあがってしまった。

 

 ところが、1973~74年の石油危機を機に大きな転換期が訪れた。石油危機は世界経済を混乱させ、各国において失業を高め、やがて、西欧先進国は外国人労働者の受け入れを中止し、出身国との受入れ条約を延長しなかった。EC諸国内の南の国々や、ECに加盟しようとしている国々からの外国人労働者は、この事態によってやがて祖国に帰っていった。しかし、逆にEC以外の国からの外国人労働者は増えてしまった。彼らは一度帰国してしまえばもう一度ドイツの滞在権を獲得することができなくなるため、また、家族や親戚を呼び寄せることを禁止する議論が出てきたため、今のうちに呼び寄せてしまおうという動きが加速したからである。この結果、全体として外国人労働者の数は1989年でも1974年と同じく320万人と、だいたい一定数を保っている。

 

 このように、ドイツでは外国人流入の現実を認めざるを得なくなった。それまではわりあい厳しい判決をしていた裁判所も、外国人労働者に基本的人権を適用するようになってきている。とはいっても、現在でも法的状況はまだまだ未整備である。ドイツで育った第二世代の外国人は1991年1月1日以降、帰化することができるようになったが、外国から移住してきた人々に対して政府はいまだに法律上は単なる外国人であるという態度をとっている部分が相当強い。また、最大の外国人労働者出身国であるトルコは、ドイツにいるトルコ系市民に対して、母国の徴兵義務を遂行できない部分について一部賦課金を徴収している。いずれにせよ、自由経済のもとで、そして、最低限の基本的人権が補償されている国において、こうした外国人労働者の流入をとめることはもはやできないのである。

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 コメントを紹介したい。

○加藤厚生労働大臣:「生涯現役は当たり前のものだという社会的な機運を醸成したい」

 5月13日開かれた政府の「人生100年時代構想会議」(議長=安倍首相)で、加藤厚生労働大臣は、「人生100年時代を見据えて、意欲ある方々が、少なくとも65歳以上まで働ける環境整備を図っていく。そのためにも、シニア層の活躍に資する企業における評価・報酬体系の構築を促進していくこと。また、初めて高齢者を採用する企業に対してインセンティブ等を強化していくということ。さらに、人事・労務管理等に関する提案型の相談体制、相談支援を行い、生涯現役は当たり前のものだという社会的な機運の醸成といったことに取り組んでいきたい」と発言した。

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 「一億層活躍」担当大臣でもあった加藤大臣。裏を返せば、悠悠自適な老後など許しません!といったところか…。

 

 

 企業からのコメントを紹介したい。

○企業採用担当者:「人口減少でマーケットが維持できなければ、人材確保しても意味がないのでは?」

 東京圏を除くほとんどの地域で人口が減るということは、今後、首都圏以外では当社のマーケットは先細りとなり、ビジネスは成り立たないということになる。今は人材不足で大変な時代だが、人口減少、生産年齢人口の減少によりマーケットが維持できなければ、人材確保に投資しても意味がないのではないか。

 

○大手人材派遣会社:「中国の高齢化が進めば、外国人労働者の取り合いも」

 マスコミは、外国人労働者の活用をはやし立てるが、そう簡単にはいかないのではないか。今後、中国も高齢化が進み、人材派遣の巨大市場となる中国との間で外国人労働者の取り合いとなり、人材確保は難しくなる。これからますます、人材派遣会社はグローバル市場での戦いに飲み込まれていくと思う。

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 企業の考え方の方が、現実をしっかりと見据え、よりシビアである。

 

 これまでの日本の成長神話を知っている世代はこの「人口オーナス」ともいえる現状を寂しく感じていることだろう。これからの日本を背負ってもらう若い世代からのコメントを紹介したい。

 

○ある高校生のコメント

 たまに近所のお年寄りから「これから若い人は大変ねぇ」なんて他人事のようなことを言われる。腹が立つとともに、自分の将来が真っ暗という気持ちで一杯だ。

 

○現在小中学生を子に持つ親のコメント

 群馬県のある町の小学生の父兄。住む町をみわたすと、すっかり移民の多い町になってきた気がする。子供が通する小学校のクラスでは10人近くの外国人の子供がいる。そういう家庭は言葉の問題があるのか、PTA活動に積極的でなく困っている。

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 日本の将来はどうなるのだろう?だんだん暗い気持ちになってしまう…。

 

 

 日本には移民を受け入れる考え方はないのだが、現実問題として、本文にもあるように外国人が249万人も存在している。外国人労働者のコメントもいただいた。

 

○東南アジアからの労働者:「日本はあくまでステップ」

 日本はあくまで、最終的に働きたい米国へ行くためのジョブアップのステップ。今は、トランプ政権の移民政策で米国への移住は難しいが、政権が変われば米国でビジネスを立ち上げたい。

 

○IT企業勤務のドイツ出身の高学歴外国人労働者:「母国に帰り企業を立ち上げたい」

 母国ドイツは第二次世界大戦後の人手不足を補うため1960年代からトルコ人の受入れを積極的に行った。当初は2年間滞在の期限付きだったが、熟練労働者を手放したくない産業界の要請を受けて滞在が長期化。さらに移民労働者が家族を呼び寄せるなど定住化し、移民とドイツ国民との反目が社会問題化した。このため欧州では右派勢力が台頭し、移民排除の動きが加速化している。右派の力が強くなると、「ドイツ国民ファースト」の労働政策となると思う。今後、日本で培ったIT技術力を生かし、母国ドイツに帰って企業を立ち上げたい。

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 外国人の方のコメントの方に力強さを感じたのは筆者だけだろうか?日本の若者も、いや、全世代が、もっと活力のある発言をしていかなければならないし、そうすれば、自然と人口も増えていくのかもしれない。見えない閉塞感にわが国は覆われているような気がしたテーマであった。

 

 最後にこんなコメントを紹介したい。 

○元官僚のコメント

 産業界は常に労働力確保のために外国人受け入れを声高に訴える。よく考えてほしい。産業界が外国人を必要とするのは、その方々がバリバリ働ける元気な年齢の時だけだ。その方々がやがて現役を引退し、社会保障の対象になった時、どうするのか?ドイツの例がある。皆が母国に帰っていくとは限らない。もしかしたら生活保護の対象になられる方だっているかもしれない。医療財源を使用する対象にだってなるだろう。単に労働力確保の視点だけでものごとを進めようとすれば、それは非常に短絡的だ。その先に結局、日本全体で外国人の一生を保障するくらいの気概・覚悟をもった上での議論が必要だろう。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

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