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No.662 進むか公立・公的病院の再編統合、再編統合の再検証方針を了承

2019年10月15日

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■厚労省ワーキンググループ、公立・公的病院の「再編統合」の再検証を了承

 がんをはじめ9領域の全てで「診療実績が特に少ない」、がんなど6領域で診療実績が「類似かつ近接」という2類型に該当する公立病院・公的病院は、「他病院との再編統合」を検討することが求められることになった。

 厚生労働省は9月6日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の会合で、地域医療構想の実現に向け、(A)がんをはじめ、9領域の全てで「診療実績が特に少ない」(B)がんなど6領域で、診療実績が「類似かつ近接」―という2類型に該当する公立・公的医療機関等に対して、具体的対応方針の再検証を要請する方針を説明し、了承を得た。該当する医療機関は、「再編統合」の必要性を検討することが求められる。ただし、全国で25ある人口100万人以上の構想区域については、類似の状況にある医療機関が多数に及ぶことから、(B)について、再検証は行わない(図5 診療実績の分析と再検証の要請の流れ(イメージ)(案)について)。今後、厚労省が示すことになる構想区域別に2類型に該当する公立・公的医療機関等の名称入りのデータを踏まえ、医療関係者で病院の再編統合に向けた論議を進めることになる。

 

 2025年の地域医療構想の実現に向け、各地の地域医療構想調整会議(調整会議)では、まず「地域の公立病院・公的病院等の機能改革等」(公立病院・公的病院等でなければ担えない機能への特化)に関する合意を得ることになっている。具体的には、「新公立病院改革プラン」「公的医療機関等2025プラン」を策定し、2025年の地域医療構想の実現に向けた具体的対応方針について、2018年度末までに各調整会議に報告し合意を得ることになっていた。しかし、調整会議に報告された改革案は、現状と2025年の比較でトータルの病床数が横ばいであるなど、「形だけの機能改革論議や現状追認にとどまっている」ケースが少なくないなど、地域医療構想の実現に沿ったものであるかが疑問視されていた。

 

■複雑な公立病院・公的病院等の再編統合の再検証

 そこで浮上したのが、具体的対応方針の再検証だ。9領域(計17の分析項目)の診療実績を基に、(A)診療実績が特に少ない、(B)他に類似した実績を持つ医療機関が近くにある場合に、「再編統合」の必要性について検討を求める。ここで言う「再編統合」は、病院を統合するという意味に限らず、ダウンサイジング、機能の分化・連携、集約化、機能転換・連携なども含まれる(図6 ①公立・公的医療機関等に求める再検証の内容について)。

 

 (A)の「診療実績が特に少ない」の分析は、人口規模が大きいほど、公立・公的医療機関等の診療実績が多い傾向にあることから、人口100万人以上、人口50万人以上100万人未満、人口20万人以上50万人未満、人口10万人以上20万人未満、人口10万人未満の5区分に分け、それぞれの区分で「診療実績が下位○パーセンタイル値未満」とすることになる。分析項目ごとに診療実績を分析し、一定の水準を設け、その水準に満たない項目について、「特に診療実績が少ない」と判断する(図7 人口区分別の診療実績の分布①)。(B)の「類似かつ近接」の分析のうち、診療実績が類似しているかどうかは「横並び型」と「集約型」に分けて行う(図8 「類似の実績」の考え方について(案)②)。ただし、人口100万人以上の構想区域は対象外。「近接」は、自動車での移動時間を目安として考える。「類似実績」の病院が、自動車で20~30分の距離にある場合には「類似実績病院が近接している」と考えることになる(図9 所在地が近接していることについての分析)。

 

■厚労省、再編統合も視野に入れた「再検証」の公立・公的病院等の424病院名を公表

 厚労省は、9月26日開いた第24回地域医療構想に関するワーキンググループの会議で、高度急性期もしくは急性期の病床を持つ公立・公的医療機関等1455病院中、424病院(29.1%)が再編統合など、2025年の地域医療構想を踏まえた具体的対応方針の再検証を要請する対象となる病院名を公表した。近く厚労省は、都道府県に対し、これらの内容を通知する。

 

 再検証の要請対象となるのは、下記の(A)と(B)のいずれかに該当する場合。(A)該当は277病院、(B)該当は307病院、これらのうち両方とも該当は160病院で、計424病院。地域医療構想の構想区域(原則は2次医療圏)別に、がんなどの診療実績データを基に、公立・公的医療機関等が現状で果たしている役割を“見える化”し、要請対象を決定した。

(A)9領域の全てで「特に診療実績が少ない」(構成区域の人口規模を問わない):277病院(うちAのみ該当117病院、Bも該当160病院

 ※339の構想区域を人口規模別に5つに区分。その上で、各人口区分で、「下位33.3パーセンタイル値」の診療実績に該当する病院を、「特に診療実績が少ない」と判断。

(B)6領域で、診療実績が「類似かつ近接」人口100万人以上の構想区域は対象外):307病院(うちBのみ該当147病院、Aも該当160病院

 ※「類似」とは、「各分析項目について、構想区域内に、一定数以上の診療実績を要する医療機関が2つ以上ある場合で、かつお互いの所在値が近接している場合」。具体的には、(1)同一構想区域内で、診療実績が上位50%以内に入っている医療機関を上位グループとする、(2)上位グループの中で、「診療実績の占有率が最低位」の医療機関の実績と、下位グループの中で「診療実績の占有率が最高位」である医療機関の実績を比較し、上位と下位で明らかな差がある場合を「集約型」(この場合は、下位グループを類似として扱う)、上位と下位で一定の差がない場合(1.5倍以内)を「横並び型」(この場合は、下位グループに加え、上位グループの1.5倍以内に該当する病院を類似として扱う)――という考え方で決定。

 ※「近接」とは、夜間や救急搬送の所要時間を考慮する観点から自動車での移動時間が20分以内

 

 再検証の要請対象が最も多いのは、北海道の54病院、新潟22病院、宮城19病院などと続く。一方、沖縄県はゼロ。公立・公的医療機関等に占める要請対象病院の割合が高いのは新潟の53.7%、以下、北海道48.6%、宮城47.5%などとなっている。

424の病院リスト(再検証要請対象医療機関)は、第24回地域医療構想に関するワーキンググループ「参考資料1-2」

【事務局のひとりごと】

 

 “ロールシャッハテスト”という心理学のテストをご存じだろうか。ネットで調べてみた。

曰く

 ・紙に垂らしたインクを2つに折り曲げて広げたことでできる左右対称の模様が描かれた図版を見て、「何に見えるか」「どんな風に感じたか」を直感で答えていくテスト。

 ・スイスの精神医学者ヘルマン・ロールシャッハにより創始された。

 ・90年以上の歴史をもち、日本では1930年代に紹介されて以来、臨床心理の現場で広く用いられ、研究され続けている。

 

 ・このテストは「投影法」という手法を用いて行われるパーソナリティ検査の一つ。

 ・行動様式や反応様式などからその人の人格を診断・評価する検査のことを指す。

 ・テストの多くは資格や職業適性の判定やストレスの原因を見つけることをねらいとして実施され、病気や障害の有無を診断するものではない。

・「模様が蝶に見えたら◎で、蛾に見えたら×」というような正誤を判定するテストでもない。

・受検者の「心」「性格」といった目に見えず、本人も意識していない内面的な世界を理解するため、すなわち「その人らしさ」を知るために試みられるテストだと考えられている。

 

 筆者は大学1回生の時、同じ学部の4回生の先輩から、このテストを受けてくれないかと頼まれ、受けてみた。約1時間はかかったと記憶している。その絵を見ると、その日の心理状態や、日頃考えていること如何で、答えはどうにでもなると感じた。もし今受けていれば、当時とは全く違う心理状態、経験、知識が全く異なる今の自分(体力はともかく、経験値だけは自分比300%以上だ、と言っても言い過ぎではないと思う)であれば、当時とは全く異なった回答を出していたかもしれない。そのくらい、曖昧な絵を使用するテストなのである。

 

 今回のテーマは、ここしばらくではこれに関する記事を見ない日はないというくらいに議論が活発化している、公立・公的病院の再編統合の問題で、なおかつ、厚労省から示された、再検証の要請対象となる病院、424の病院が公表されているというものだ。

 

 この病院名公表に関する反響は非常に大きく、日本医師会の横倉義武会長は、10月2日の会見で「大きな混乱が生じている地域もあり、大変な危惧を抱いている」と懸念を示したという。一部報道でダウンサイジングなどの趣旨が省略されて再編・統合という言葉だけが独り歩きしてしまったため、「近隣病院がなくなる」と地域住民が懸念を抱いたことも混乱の一因と指摘し、「いたずらに住民の不安をあおらないでほしい」と記者団に求める場面もあった、という。(メディファクス 8119号 2019年10月3日(木) 2/9頁 参照)

 

 総務省からのコメントを紹介したい。

 

〇 総務省準公営企業室室長:「新公立病院改革ガイドラインでも、地域医療構想調整会議の議論は踏まえると記載。調整会議で将来像を描いてもらいたい」

 9月6日の「地域医療構想に関するワーキンググループ」の会合で、総務省の大塚大輔・自治財政局準公営企業室室長は、各自治体の首長は選挙で選ばれ、議会で意思決定をすることから、「民主的なプロセスで政策決定がなされているので、それは尊重しなければいけない」と述べる一方、地域医療構想調整会議も法律に基づく仕組みであり、「新公立病院改革ガイドライン」でも、調整会議の議論は踏まえると記載していると説明。「どちらを優先するかは難しいところだが、データが示されれば、調整会議の議論は活性化するだろう。いろいろな地域の事情、住民ニーズを踏まえながら、調整会議で将来像を描いてもらいたいと考えている」との考えを示した。

 

 厚労省からはこんなコメントだ。

 

〇 地域医療計画課:「再検証要請対象医療機関の公表地域医療構想調整会議の活性化を意図したものであり、今後の方向性を限定しない」

 統合再編を視野に入れた再検証要請対象医療機関の公表について厚労省の地域医療計画課の担当者は、「地域医療構想調整会議の活性化を意図したものであり、今後の方向性を限定するものではない。再検証の要請されていないところでも、具体的対応方針を見直してもらうことはあり得る。公立・公的医療機関等でも背景が違うので、留意が必要である」と説明した。

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 厚労省医政局地域医療計画課の鈴木健彦課長によれば、9月28日に名古屋市内で開かれた全日本病院学会で「今後、調整会議で議論するためには民間のデータも必要になる」とし、再チェックが終わり次第、民間医療機関のデータも都道府県を通じて提供する考えを示されたのだそうだ。ただ、現時点ではあくまで急性期医療に関するデータであるという。回復期・慢性期の診療データに関しては“手一杯”で対応しきれていないという現状に理解を求めたという。(メディファクス 8117号 2019年10月1日(木) 1/16頁 参照)

 

 医師会のコメントである。

 

〇 日医副会長:「再検証の要請対象病院以外にもダウンサイジングが要請される公立・公的医療機関があり得る」

 地域医療構想に関するワーキンググループの議論の中で、中川俊男日本医師会副会長は、公立・公的医療機関等の名称入りのデータの公表に関して、①全国の地域医療構想調整会議の機能を活性化させるためのものであり、当該調整会議の議論の方向性を限定させるものではない、②再検証の要請対象病院とされた病院以外にも調整会議の議論において再編・統合、ダウンサイジングが要請される公立・公的医療機関があり得る、③公立・公的医療機関等と一括りにされているが、開設基盤ごとに例えば公費の投入や税制優遇などの温度差が大きいことを踏まえた上で、地域医療構想調整会議が地域の実情を勘案して最終的な方向性を決定すべきだと、注文をつけた。

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 これまでの地域医療構想に関する議論を総合すれば、民間病院からすれば、まず再編・統合、ダウンサイジングは公立・公的病院から着手すべきという論調であった。それはとくに自治体病院は不採算医療という名目ではあるが、自治体の一般会計からの繰り入れがあるという点に起因する。

 

 9月28日の全日本病院学会のシンポジウムにおいて、全日本病院協会常任理事/日本医療法人協会長の加納繁照氏によれば、2017年度に8083億円が公立病院に投入されている繰入金について「地域を守るのに必要な場合は賛成だが、民間と同じ医療を提供していて十数億円も入っているケース」などを問題視し、また、東日本税理士法人代表社員の長英一郎氏は、「高額な設備をし、看護師などの給料が民間よりも高い中での繰入は、民間サイドからすれば納得がいかない。第三者的立場では。設備投資や人件費が高い中で赤字補填に使われているように見える」とコメントしたという。(メディファクス 8117号 2019年10月1日(木) 2/16頁 参照)

 

 確かに厚労省のいうように議論の活性化という目的は果たされているように思うが、これまでの流れからすると俗っぽい言い方であるが“炎上に近いような気もする

 

 厚労省、加藤勝信大臣は424病院の公表は“あくまで議論の素材を提供するもの”だと説明し、その上で「大事なことは地域で必要な医療がどうなされていくか、それをどう維持していくか」と述べ、各地域の実用を踏まえた議論が不可欠との認識を示したという。(メディファクス 8122号 2019年10月8日(木) 2/8頁 参照)

 

 自治体からのコメントだ。

 〇「選挙で選ばれた首長。地域医療構想調整会議で再編統合の議論がなかなか前に進まない」

 ある地方自治体の地域医療構想調整会議の事務方。「市長は、選挙で選ばれ、議会で意思決定をするという民主的なプロセスによる政策決定を優先する。公立・公的病院の再編統合に反対する住民の声を最優先することから、地域医療構想調整会議では、再編統合の議論がなかなか前に進まない」。

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 「地域医療構想」が制度化したのは2014年(平成26年)6月に成立した「医療介護総合確保推進法」によってであった。当時の厚労省も、この中の“協議の場”が、地域医療構想に資するものと期待していたと記憶している。あれから5年以上も経過した。第13回地域医療構想に関するWG 平成30年5月16日 資料2 によれば、平成30年5月時点で、再編統合に関する議論を行っている構想区域は24構想区域/341構想区域であった。つまるところ、議論が活性化しないことに業を煮やした(といったら言い過ぎか?)ので、議論活性化のために大きな波紋を起こした、ということなのだろう。

 確かにこれまで、地域医療構想に関する議論は継続していたものの、先の自治体事務方のコメントのように国が求めるほど早急に話がまとまるとは到底思えない状況であった。むしろ、病院名の公表により、“多くの懸念”が出ていること自体、本来ならこの“懸念”は2016年当時に出ていてもおかしくなかったのではないか?とさえ思ってしまう。当時は直接の医療現場にこういった動きがしっかりと伝わっていなかったのだろうか。

 

 そしてこんなコメントである。

〇「再編統合までの間、待遇悪化を懸念し看護師等の退職が続出」

 2022年の新病院スタートを目指した自治体立の弘前市民病院(342床)と国立病院機構弘前病院(342床)の再編・統合(142床にダウンサイジングした新中核病院)では、統合までの間に給与等の待遇悪化を懸念して看護師等の退職が続出しているという。新中核病院の発足までに両病院の機能を維持するかが当面の重要課題となっている。

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 話が具体的になれば、こういった動きも当然あるだろう。病院名の公表で、人手不足が叫ばれている地域医療の経営層においては、人材が流動化する可能性に対して過敏にならざるを得ない。

 

 公的病院からはこんなコメントだ。

〇「過疎地では、再編統合でなくなる病院の代替可能性がある病院はほとんどないのが現状」

 北海道や東北地方などの過疎地では、公的・公立病院の再編統合でなくなる病院の代替可能性がある病院はほとんどないのが現状。自分の病院が名指しされるか不安であり、廃止される病院と見なされて、地域の医師や看護師の働き手がますます減るという悪循環に陥る。

 

地域包括ケアシステム構築を意識した取り組みを始めた再検証要請対象病院

 東京都で再検証要請対象医療機関の病院名リスト10病院の中に入った国家公務員共済組合連合会(KKR)九段坂病院は2015年、地元の千代田区区役所の新改築に合わせ、新区役所の建物の中に移転し、約250床の病院と介護施設を建設、東京都心部に医療・介護の一体施設が誕生した。2025年の医療・介護・福祉の地域包括ケアシステム構築を意識した取り組み。高齢化が進むなか、都心部では医療の拠点となる土地は見つけにくく、公有地の活用は有効。九段坂病院は整形外科に定評があり、リハビリを強化する上で良い組み合わせと注目されている。

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 国のメッセージを敏感に読み取り、対応をしてきた構想区域、仮にそれを意識していたとしても動きようのなかった構想区域、構想区域ごとに事情は異なる。

 

 民間病院からはこんなコメントだ。

 

〇「公立・公的病院同士がくっつくと、どうしても民間病院は不利な立場になる」

 公立・公的病院の再編統合によって新病院ができ、患者の抱え込みが起こりかえって寡占化が進み、民間病院の経営を圧迫する。補助金の問題を含めて、多くの優遇措置を受ける公立・公的と、全くそれがなくやっている民間の立場を考慮していただきたい。公立・公的病院同士がくっつくと、どうしても民間病院は不利な立場になる。

 

〇「統合再編が必要な状況にもかかわらず、首長が多額の税金を使い大病院を新築し、結果的に我々民間病院の経営を圧迫する」

 患者が少なく、そろそろ撤退すべきと思われているにもかかわらず、首長が「病院が古いためであり、医師も集まれば、患者が増えるだろう」などと考え、多額の税金を使い、大病院を新築し、結果的に我々民間病院の経営を圧迫するケースが少なからずある。地域では首長が選挙を意識して公的病院の再編統合に消極的である。

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 うーむ、唸ってしまう。

 

 続いては民間病院勤務者のこんなコメントを。

 

〇「政治屋、首長、地方議員の息のかかった公立病院は不要」

 政治屋、首長、地方議員の息のかかった公立病院は不要。人件費もかかり過ぎ、しかも公務員様で働かない。民営化すれば赤字解消する。

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 “公務員様”の表現が全てを語っているようである。

 

 決して公立・公的と民間の対立軸を伝えたいわけではないのだが、こうなってしまうのは致し方ないのだろうか。

 

 医業系コンサルタントからはこんなコメントだ。

 

〇「住民として公立病院のあり方をゼロベースで考える住民目線の公立病院改革を」

 20年以上、全国の病院の経営改善や中期計画立案などのコンサルティングに関わってきた。公立病院を運営している自治体は医療行政に熱心であるという印象を一般には受けがちであるが、へき地等の不採算地域でなければ医療サービスの提供は、他の開設主体に任せることは不可能ではない。自治体による公営企業の運営能力の低さや一般会計からの公立病院への多額の繰入によって他の行政サービスが犠牲になっていることを考えれば、住民として公立病院のあり方をゼロベースで考えてもよいのではないだろうか。

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 厚労省が本来、地域医療構想の協議の場に期待したのは、まさにこのような思いからだったのではないだろうか。公立病院改革ガイドライン、新公立病院改革ガイドラインと、総務省の流れを汲んだ公立病院改革と、本家本元厚生労働省の医療提供体制の制度改革の方向性が、そろそろ収れんしていく動きになっていく、そんなことを想起させるテーマであった。

 

 最後にこんなコメントを紹介したい。

 

医師を目指している中国地方山間部の中学生:

「地域の医師を目指すが、地域の公的・公立病院がなくなれば、そもそも働く場がなくなる」

 医師を目指している中国地方山間部の中学生。「昨年にはJR路線が廃止され、県内の進学校に進むには県庁所在地に下宿するしかない。地域の医療・介護を担うため、医療・介護関係の大学に進学を希望している友人がいる。しかし、地域の公的・公立病院がなくなれば、そもそも働く場がなくなる」。

 

僻地の開業医:「離島の開業医の父の跡を継ぎ、苦労して開業。机上の空論、機械的な統合再編には違和感」

 九州の離島で開業していて5年前に亡くなった父の跡を継ぎ同じ島で開業した。離島で医学部を目指すのは、大変で、中学から県庁所在地に下宿して自炊しながら、高校を卒業。地元の大学医学部に入学した。診療所の後方病院である地域の中核病院まで2時間もかかる中、父は一人で島の医療に従事し、50代半ばで、脳溢血で他界した。診療所をバックアップする地域の病院について、机上の空論、機械的な統合再編には違和感を抱く。

 

僻地の患者:「地域の身近な病院が無くなると、通院できる病院が無くなる。死ねということか!」

 へき地の公立病院は住民の生命線だ。ただでさえ、バス路線の廃止が進み、通院に難渋しているのに、再編統合が進み、身近な病院から遠くの病院に通えということは、「死ね」ということか!

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 医療をはじめとした社会保障制度の色模様は、多くの色が複雑に混じりあっており、だからといって“黒”ではない。まことに複雑玄妙である。この色模様でロールシャッハテストを行ったとしたら、きっと答えの出方は千差万別だ。一つとして同じ答えは出ないだろう。

 確実なことは、日本は2025年問題、2040年問題に向かって、今この瞬間も着実に歩みを進めているということだ。時の刻みは止まることを知らない。その方向性はともかくとして…。

 

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

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