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No.694 新型コロナ特別措置法・感染症法改正案で焦点、民間病院にコロナ病床確保の要請

2021年02月15日

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■新型コロナ特別措置法と感染症法の改正案を国会に提出

 政府は1月22日の閣議で、新型コロナウイルス特別措置法と感染症法の改正案「新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案」を決定、同日、国会に提出した(図2  新型インフルエンザ等対策特別措置法等の一部を改正する法律案の概要)。営業時間短縮や休業の要請に従わない飲食店などに命令を出せるようにし、違反した場合の罰則を設ける。入院を拒否した新型コロナ患者への刑事罰も導入する。

 特措法改正案は緊急事態宣言を発令した後、都道府県知事が飲食店などの事業者に時短や休業を要請しても従わない場合、これまでの「指示」に代えて「命令」を出せるようにする。命令に従わない場合は50万円以下の過料を科す。宣言を出す前の段階でも感染拡大のおそれがある場合は「まん延防止等重点措置」という新たな対策を講じる。宣言下と同様に知事が時短や休業を命令できるようにし、違反者には30万円以下の過料を科す。過料は金銭的な制裁を加える行政罰の一つで前科はつかない。

 これまでは宣言を発令した際にしかできなかった臨時の医療施設の開設は、宣言が出ていなくても実施できるようにする。

 

 同時に決めた感染症法改正案は、入院や保健所の調査を拒否した人への罰則を新設する。入院を拒否したり、入院先から逃げ出したりした人には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」とする。保健所が感染経路を確認するための調査で回答拒否や虚偽の申告をした場合も「50万円以下の罰金」を設ける。いずれも前科がつく刑事罰になる。

 病床を確保するための規定も盛り込む。厚生労働大臣や知事は医療関係者などに感染者の受け入れを「勧告」できる。感染者の受け入れを、これまでの規定にある協力の「要請」を求めたうえで、正当な理由なく応じなかったときに「勧告」できるよう権限を強める。従わない場合は公表できる。

 

 結局、改正案を巡る国会での与野党の修正協議で1月28日感染症改正案については、①入院を拒否した感染者に対する刑事罰について「1年以下の懲役か100万円以下の罰金を科す」としていたのを、懲役刑を削除するとともに罰金を行政罰である「50万円以下の過料」に改め、②保健所の調査に虚偽の申告をしたり拒否したりした場合は「50万円以下の罰金を科す」としていたのを、これも「30万円以下の過料」に改めることになった。

 また、特別措置法の改正案については、①営業時間の短縮などの命令に応じない事業者に対する過料について、緊急事態宣言が出されている場合は50万円以下、「まん延防止等重点措置」の場合は30万円以下としていたのを、それぞれ30万円以下と、20万円以下に減額する、②「まん延防止等重点措置」を実施する際は速やかに国会へ報告することを付帯決議に明記するとともに、事業者に対する財政支援については事業規模に応じた支援のあり方を付帯決議や国会答弁で明確にすることになった。いずれも与党側が譲歩する形で決着し、2月3日に成立し、2月13日に施行された。

 

■菅首相、日医会長や病院団体幹部にコロナ病床確保を要請

 感染症改正案では、新型コロナウイルス患者用の病床を確保するため、行政が病院などに患者の受け入れを勧告できるようにした。感染症法16条の2では、厚生労働大臣や都道府県知事が、感染症の拡大防止のために必要な措置について医師や医療関係者に「協力を求めることができる」としている。改正案では、要請を「勧告」に強化する。患者の受け入れ勧告に応じなかった場合は医療機関名などを公表できるようにし、実効性を持たせる方針だ。

 法改正の背景には、感染者数が急増しているにもかかわらず、受け入れ病床が増えないことがある。厚労省によると、都道府県がコロナ患者用に確保した病床数は計2万7650床(1月6日現在)で、手術や救急に対応する急性期病床の4%にすぎない。同省の調査では、昨年11月末現在、全国の急性期病院のうちコロナ患者を受け入れ可能なのは公立で7割を超えたのに対し、民間では2割にとどまる。民間は中小規模が多く、人材確保や人工呼吸器などを備えていないところもあるためだが、政府は余裕のあるところは確保に努めてもらいたい考えだ。

 

 これに関連して、菅首相は1月14日、日本医師会や病院団体の幹部らと首相官邸で会談し、コロナ病床の逼迫を踏まえ、「必要な方に必要な医療を提供するためにさらなる協力を賜りたい」と要請。これに対し中川俊男日医会長は「少しでも病床、人材の確保につなげたい」と応じ、病院団体と合同で病床確保に向けた対策組織を来週にも発足する考えを明らかにした。

 

■日医と病院団体が新型コロナ患者受入病床確保対策会議を開催

 菅首相の要請を受け、日医と5つの病院団体(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国自治体病院協議会)は1月20日、「医療関係新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」の初会合を非公開で開催。公立・公的、民間を問わず協力して、新型コロナウイルス感染症に対応する病床確保に努力していくことで一致した。今後、「コロナ対応病床をさらに出来るだけ増やすためにはどういう方法があるか」「中小病院にコロナから回復した患者の受け入れ機能を拡充できないか」「終息まで時限的にコロナ対応病院の病床を拡大し、同時にその通常医療機能を中小病院に代替できないか」などを、公立、公的、民間を問わずに議論していくことになった。

 

 会議では、大阪府の吉村洋文知事新型コロナウイルス感染拡大に伴う医療提供体制の逼迫を受け、軽症中等症患者向けの病床として民間病院で約30床を確保するよう府内の病院団体に緊急要請したことが取り上げられ、吉村知事の強制的な発言に反発があがったという。会議に出席した大阪府で病院を経営する日本医療法人協会の加納繁照会長は「ついこの前までは、医療機関には『頑張っている』と支援の声があったが、今は民間病院がさぼっているような変な流れが出てきている。追い風どころか、向かい風が吹いている」などと述べ、民間病院の新型コロナウイルス感染症への取り組みに理解を求めていくべきだと指摘した。

 

 なお、2月3日開かれた参議院内閣・厚生労働委員会合同審査で田村憲久厚生労働大臣は、正当な理由なく病床確保に協力しない医療機関に対して勧告や公表の措置を取れるようにする改正感染症法について、「前提は協力だと思っている。勧告、場合によっては公表と言っているが、よほどのことがないとそういうことにはならない」との認識を示した。

【事務局のひとりごと】

 

 前月号のひとりごとで書いた。再掲する

 

 公益社団法人 医業経営コンサルタント協会発行のJAHMC(ジャーマック)2020年12月号掲載のレポート「ウィズコロナ時代の病院経営」を読んで考えさせられた

 

 レポートで紹介されたこの病院は、昨年2月中旬に横浜港に停泊中のダイヤモンドプリンセス号から第1号患者を受け入れ、これまでに300人のCOVID-19患者を受け入れてこられたという。1日の入院患者は15~16人、11月末時点では18人前後、年末年始にかけてはさらに増加傾向が続くのだろう。手探りながらも何十例という症例を扱ううちにスタッフに自信がついてきたとの院長のコメント。これまでにCOVID-19院内感染発生者はゼロだそうだ。災害拠点病院としてハード・ソフト両面から事業継続計画(BCP)を策定していたこともこの背景の一つなのだという。さらには医業収入も減っておらず、通常の診療機能を変更することなく地域医療への貢献が継続できているという。

 言うのは簡単だが行うは難し。

 それをきちんと実現できているところに頭の下がる思いだ。

 「病院全体がウィズコロナでいくしかない」との観点から、COVID-19の領域にスタッフがどんどん入っているという。

 「いたずらに怖がらない」という院長の呼びかけがスタッフに安心感を与えているのだろう。

 「コロナを積極的に診る医療機関と、当院では診ないという丸投げ型の二極化が進むのではないか国民はその対応をしっかり見ているから、困った時に診てくれない医療機関は敬遠されるのでは」

 「COVID-19はもしかしたら1つの踏み絵になっていて、急性期で患者を診られない病院はこれから厳しくなるのでは。その傾向が加速しているという気がしています」

 との院長のコメントが、先の助成金の話なども相まって、とても考えさせられた。非常に印象的であった

 

 現在の報道の論調から感じ取るに、奇しくもこのような状況になってしまった。

 その複雑性、説明するのに長い時間を要さざるを得ない故か、そもそも医療提供体制について一般の方々の理解が不足しているのは、専門家のコメンテーターを除いて、報道番組のキャスターやナビゲーターのご発言内容から類推するに、手前勝手な筆者の私見ではあるが、それは明らかであると思う

 医療提供体制の現状が分からなければ、新型ウイルスの感染症が爆発的に拡大すれば、どの医療機関も診てしかるべきなのに、「何でなんだ!?」という疑問がすぐに湧く。一般的な国民感情論としては当然の反応なのだろうが、

 

 「ゾーニングが難しい」

 

 というような理由を聞いても、事情を知っている業界関係者ならいざ知らず、「何でなんだ!?」に対する解になっているかすら怪しいものだ。「何で?」「何で?」というのは万人の持つ人間の性(さが)なのか、それとも日本人特有の口癖なのか。

 

 それでも、医療機関の置かれている現状と、周囲の理解度のギャップ、切迫した感染状況、もろもろの要素が複雑に絡まりあい、「緊急事態宣言」という分かり易い表現と対処(発令)がなされ、さらには実効性(強制力?)を持たせるための法改正が行われる(た)。

 

〇森山自民党国会対策委員長:修正合意に野党に深く感謝

 1月28日に新型コロナウイルス対策の特別措置法などの改正案を巡る自民・立憲民主党が修正合意に至ったことについて、自民党の森山国会対策委員長は、「コロナ禍での国民の不安な気持ちを考え、できるだけ多くの会派で修正協議が整うことが、国民に安心感を与えると思ってやってきた。スピーディーに改正案が成立する見込みが立ち大変ありがたく、野党の理解と協力にも深く感謝申し上げたい」と語った。国会で新年度予算案の審議を控える中、与党側は特別措置法などの改正案を早期に成立させるためには野党側の協力が欠かせないとして柔軟な姿勢で協議に臨んできた。加えて、修正協議のさなかに自民党と公明党の幹部がそれぞれ都内の飲食店を深夜まで訪れていたことが明らかになり、与党側が譲歩する形で決着した。

 

〇立憲民主党の逢坂議員:行政法、刑事法の専門家に公式にきちんと話を聞いているのかもあいまい

 1月28日の立憲民主党・新型コロナウイルス感染症対策本部と内閣・厚生労働・法務部会合同部会で、立憲民主党の逢坂誠二新型コロナウイルス感染症対策本部長は、弁護士会等から刑事罰に対する反対意見が表明されていることを紹介し、「政府に聞くと行政法、刑事法の専門家に公式にきちんと話を聞いているのかもあいまいだ。そういう中でこのまま改正案を通してよいのかどうか非常に難しい局面にある」との認識を示した。

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 2度目の緊急事態宣言からすでに約1か月経過し、今月号が更新されている頃、新規感染者数のグラフはおそらく下降線を辿っていることが予想されるが、(新型コロナウイルス感染症を受け入れるための)病床の逼迫具合昨年春の状況とは全く異なっている政治が民間病院に対して受入れの協力を呼び掛けるという構図もうなずけなくはない。医療機関が置かれている状況を何も考慮しなければ、政治家ならある意味当然とも言える呼びかけだし、その協力要請に強制力も持たせたいので、医療機関名公表(見せしめ)をチラつかせようとするのも、それくらい危機感を持っているという内面の表れでもあるのだろう。

 しかし、である。

 

〇厚生労働大臣:まずは協力要請というところに重きを置く

 1月22日の閣議後の記者会見で田村憲久厚生労働大臣は、医療機関に感染者の受け入れ勧告に従わない場合の機関名公表について、「たしか日本医師会長もいきなりの勧告・公表というものに対しては反対だというお話だったと思う。まずは協力要請というところに重きを置くということで、われわれとしては運用していきたいと思う」との考えを示した。

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 「たしか」とは、なんとも言えない前置きだ。

 

 保健所からのコメントを紹介したい。

〇罰則によって保健所の業務量が大幅に増える懸念

 元保健所長。罰則によって保健所の業務量が大幅に増える懸念がある。実際に罰則適用を検討することになれば、裁判で争うことも想定した対応が必要になる。聞き取り調査の録音やそのデータの整理・保存が必要になると現場の負担は増える。また、証拠書類の準備や検討会議などの業務も発生するなど、本来の感染対策の時間を奪いかねない。

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 なるほどそういうものか。「協力要請に重きを置く」運用でないと、現場も混乱するだろう。国民には「知る権利」があるから、報道的には、知りに行きたいのだろうが。ワクチンが「いつ」、「何処に」、「どれだけ」、「どうやって」供給され、「誰が」打たれるのか、詳しく知りたいのも人情だ。そちらは「テロ対策」という言葉が出て情報はシャットアウトだ。

 

〇日医会長:通常医療の受け皿が確保されてこそ、重点医療機関は新型コロナウイルス感染症患者に集中できる

 1月20日の日医定例記者会見で中川俊男日医会長は、病床確保の問題に関しては、「一般の患者の受け皿、通常の医療の受け皿がその地域にしっかりあってこそ、重点医療機関は新型コロナウイルス感染症患者に集中できる」と強調。医療界を挙げて、新型コロナウイルス感染症患者受け入れのための病床確保に向けた具体的方策についてスピード感をもって議論していくことを目的として、同日、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、全国自治体病院協議会と共に「新型コロナウイルス感染症患者受入病床確保対策会議」を立ち上げることを報告した。

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 医療提供体制は、財源論も何もかも含めて、我が国の社会保障制度の根幹と言っても過言ではない

 

〇日病会長:新型コロナへの医療体制のあり方、地域ごとで議論すべき

 1月25日の日本病院会定例記者会見で相澤孝夫会長は、まず、退院基準など正しい知識を再整理して、為政者・医療関係者・国民全体で共有するとともに、回復期・慢性期を含めて「地域において、新型コロナウイルス感染症に対応するために、どう各医療機関が役割分担するのか」などを話し合い、決めておくことが重要であると指摘した。

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 地域医療構想で、まさに検討がなされているところに、さらに新型感染症に関するテーマも待ったなしで取り組む必要がある。

 

 今度は医療機関のコメントを紹介したい。

 

 【公立・公的病院関係者】

〇民間病院もコロナ患者受け入れを増やして欲しい

 当初から新型コロナウイルスの重症患者の治療に当たってきた都内の公的病院。感染が急拡大した12月以降、コロナ病床を増床して患者の受け入れを増やしてきたが、限界が近づいてきている。コロナ病床では中等症の患者に対して通常の医療に比べて看護師を1.5倍、そして重症患者に対しては3倍配置する必要がある。このところ重い肺炎の患者や腎臓病など合併症がある新型コロナ患者の入院が増加していて、呼吸器内科や救命救急だけでなく、別の病気を診る内科などから医師や看護師を集めて対応している。さらに、他の病院から重症や重症に近い患者の転院依頼が殺到し、毎日5人は新たに入院してくる。内科の医師などが総力戦で臨んでいるが、人が足りず、疲弊しきっている。これ以上病床を増やすのは不可能だ。さらに防護服など感染対策に出費がかかるのに、患者を多く引き受けるほど病院は赤字になる構造になっている。新型コロナの対応はまさに災害時の医療だ。集中治療ができる病院では重症患者を診てもらいたいし、療養型の病院では回復後の患者を診てもらいたい。コロナ対応は地域の病院あげて行うことが必要だ。

 

〇経営主体・規模問わず受け入れ強要には反対

 地方の市立病院幹部。入院拒否や休業要請の強化は妥当だと思う。しかし、医療機関に受け入れを強要するのは、やめてほしい。急性期、慢性期、公立、私立(経営主体問わず)、規模を問わず受け入れろというのはおかしい。コロナだけが医療ではない。医療資源が乏しい地方では、病床規模が小さい場合、スタッフが少なかったり高齢だったりする場合、物的支援が不十分の場合などは、クラスターリスクをおかしてまでコロナ診療するより、むしろ通常医療を続ける役割を担うべきだと思う。

 

【民間病院関係者】

〇民間病院の協力が不足という意見は、医療機関を分断し、連携に水を差す暴論だ

 一部の識者、マスコミなどから公立・公的病院と民間病院の病床の中でコロナの病床数が占める割合を比較し、あたかも民間病院の協力が不足しているかのような意見が出されている。これは、コロナ患者を受け入れることができる民間病院はすでにコロナ患者を懸命に受け入れている現実、また、施設や人的資源の限界から受け入れの整備が整わない現実を見ない意見である。こうした意見は医療機関を分断し、連携に水を差す暴論でありただちにやめるべきである。

 

〇新型コロナに対応する地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟に支援を

 病院の地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーション病棟、医療療養病棟など、さらに特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)や介護老人保健施設などで新型コロナウイルス感染症患者が発生するケースも稀ではない。ゾーニング、感染症治療に用いる薬剤や機器等の準備、感染症治療にあたる医師・看護師等の追加配備が必要となり、コストが大幅に増加し新型コロナウイルス感染症に対応する急性期病床がいっぱいで、地域包括ケア病棟や回復期リハビリ病棟、医療療養病棟などで新型コロナウイルス感染症に対応するケースもある。それらの病棟へも何らかの支援を行ってほしい。

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 それぞれ開設主体による立場は異なるが、立場は違えど、医療従事者の方々は、まず患者の治療とケアを、とにかく第一に考えておられるのだ、ということがよく分かる。

 

 ではあるが、看護師からのコメントは悲痛だ。

 

〇ある看護師:ロシアンルーレット状態。自分も感染していると思って仕事をしている

 中小民間病院の看護師。どこで誰が罹患しているかも分からない、ロシアンルーレット状態。診断できなければ、治療も予防も遅れるし、全体像も見えない。自分も感染していると思って仕事をしている。

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 いかにナイチンゲール誓詞を誓った看護師といえど、人間である。少なくとも1年以上継続している緊張状態を、何とか緩和して差し上げられないものか。それには国民一人ひとりが、正しい感染対策を行って行動するかどうかにかかっている

 

 今度は少し角度を変えて、こんなコメントを紹介したい。

○医業系コンサルタント:新型コロナを教訓に、感染症対策も踏まえたBCP策定を

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療機関のBCP対策強化がますます重要な課題となっている。厚労省は2019年3月中に、業務継続計画(BCP:Business Continuity Plan:BCP)を策定することを災害拠点病院の指定要件とした。このため、2019年4月1日時点でほぼ全ての災害拠点病院でBCPが策定されたものの、BCPを策定している一般病院は少ないのが現状である。また、各災害拠点病院で想定されているハザードは地震災害がほとんどである。各病院では、感染症対策マニュアルは整備しているものの、感染症対策に対する長期のBCPを策定している医療機関は皆無である。

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 喉元過ぎれば何とやら。いやー、これは耳が痛い。我が社もBCPは策定してはいるが、それが果たして緊急時の実用に耐え得るのか?そんなことを聞かれると甚だ自信がない。絵に描いた餅ではないBCPとするためには、実運用によってブラッシュアップされなければならないところだが、そもそも緊急事態が立て続けに起こること自体が滅多にあることではないので、ありがたいことでもあるがブラッシュアップの機会も少ない。そうか。医療機関においてもそうだったか。これを奇貨として、いろいろなマニュアルが、マニュアル足り得ることになれば、コロナ禍によってまた一つ、人類の成長が促進されることになるかもしれない、と言ったら言い過ぎか。

 

 介護施設からのコメントを紹介したい。

 

〇新型コロナ感染拡大で多くの事業所の経営悪化、クラスター多発で職員は命の危機に直面

 新型コロナの感染拡大に伴う介護サービスの利用控えが生じたため、介護事業者の収支状況が苦しくなっている。東京商工リサーチの調査では、2020年の1年間で介護事業者が廃業・休業・解散に至ったケースは全国で455件という。これは2018年の445件を60件も上回り、2010年に調査を始めて以来、過去最多の数字だ。新型コロナ対策を考慮した2020年度第3次補正予算が1月28日、参院本会議で成立し、福祉分野の緊急包括支援交付金を積み増すために1459億円が計上された。しかし、介護分野への予算として計上されたのは、人材確保のための就職の後押しや介護ロボットの導入支援、高齢者施設での防災に関する経費などで、高齢者施設のクラスター多発で「命の危機に直面している」介護職員への慰労金の再支給は盛り込まれなかった。

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 昨年の緊急事態宣言以降、クラスターとなってしまった施設はあるものの、介護関連施設での感染については、今ほどの切迫感はなかった。だが現在は様相が異なっている

 

 医療機関、介護施設は、感染リスクもさることながら、経営収支状況についても現状は芳しくない。しかしながら。収支状況が芳しくないのは、飲食業の方がもっと深刻だろう。

 

 こんなコメントを紹介したい。

 

〇個別に支給額を算定するなど実情に即した補償を

 大手寿司チェーン・すしざんまいの木村 清社長は、「国民の安全第一であることは言うまでもない。ただ、要請に従わなかった飲食店に罰則を科すなら、従った業者への実情に応じた補償もぜひ検討して頂きたい。今回の法案には、事業者への財政上の措置もするとなっているが、飲食店は、規模も売上高もまちまち。公平性のために、実際の売上高とその減益幅に応じた支援を検討して頂きたい。同じ飲食店でも、家賃が月30万円のところもあれば、月200万円以上のところもある。政府は、それでは支給の手続きが煩雑になる、と言うかもしれない。しかし、私たちは売り上げに基づき、しっかりと税務申告をしている。行政側にデータはあるはずで、個別に支給額を算定することがそんなに難しいことでしょうか。国の財源に限りがあることも承知している。ならば、それぞれの支給額に、一定の上限を定めてもらってもいい」などと語っている。(1月31日朝日新聞デジタルより)。

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 「行政側にデータはあるはず」。確かにもろもろ連携させるための国民総背番号制、もとい、そこから一段も二段も進化したはずのマイナンバー制度である。反面、公的文書でないものは、保管期間もへったくれもなく、処分してしまって、平然と「ありません」と国会で答弁するのも国なのである。

 

 国民からのコメントもいただいた。

 

〇感染症に不慣れな中小民間病院のコロナ受け入れは、感染リスクが心配

 コロナ病床確保を民間病院に強いて、勧告に従わない場合は、病院名を公表することには反対だ。感染症対策に不慣れな中小の民間病院に広く患者を受け入れてもらえば、院内感染のリスクを高める心配があり、結果としてコロナ以外の日常診療が受けられなくなる。そうした病院には、コロナを受け入れる病院で診られなくなったコロナ以外の患者の診療や、回復後も引き続き療養が必要な患者を受け入れてもらう方が合理的だ。

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 新型コロナウイルスによる感染症は、現在は人類にとって脅威であるが、臓器で言えば呼吸器系の疾患である。呼吸器系疾患以外で医療を必要としている患者も間違いなく存在し、そしてその人数は、不幸にも新型コロナウイルス感染症となられた患者数と比較して圧倒的に多い。少なくとも我が国においては。その現実も忘れてはならない

<ワタキューメディカルニュース事務局>

 

 

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